第玖話『吉継の首』 大谷吉継 × 藤堂高虎
【今回の戦国マンは、この二人!】
大谷吉継(関ケ原前夜)
石田三成との友誼から、西軍に加担することを決意
した大谷吉継は、敦賀に戻り、戦の準備を始める。
7月下旬には、北陸方面の攻略と牽制のため、脇坂
安治・朽木元綱らと共に東軍の前田利長らと対峙、
北国で諸大名の調略を開始する。その後、三成から
出陣要請を受けると9月3日に関ヶ原に到着。最初は
山中村に陣を張るが、思うところあって、関ノ藤川
まで兵を進める。吉継は、関ノ藤川の背後に聳える
松尾山に強引に陣を張った金吾中納言:小早川秀秋
の動向に、細心の注意を払っていた……
藤堂高虎
徳川家外様筆頭となるまで、実に七度も主家を変え、
戦国時代を生き抜いた知恵者にして築城の名手とも
言われている。裏切り者、へつらい大名など、後世
の評判は必ずしも芳しくないが、実際は戦場で常に
先鋒を務めるなど数々の武功を立てており、主君を
変えるたびにその主君から愛され、所領を増やした
ことからも、ただの世渡り上手ではなく相当の切れ
者で、先見の明を持った能将であったことが窺える。
家康の死後も徳川家への忠義は変わらず、引き続き
秀忠~家光に忠実に仕え「烏の鳴かぬ日はあっても、
高虎が登城せぬ日はない」と言われるほどであった。
関が原の後、死闘を演じた大谷刑部の墓を建立した。
北国街道沿い、秋風が吹く、誰もいない関ヶ原。
大谷吉継と、その家臣・湯浅五助が藤堂高虎を待つ。
「そうだ、五助。命のやりとりを前に、つまらぬこと
にこだわるものだと笑うやも知れぬが、わしはな、
この病み崩れた首だけは、敵に渡したくはない……
最期が来たら、おまえはわしの首を、どこか誰にも
知られぬところに埋めよ。このことは、二人だけの
秘密に…… 何? おまえが先に死んでしまったら?
そのときは諦めが肝腎かな。わしは内府に楯突いた
逆賊だ。この首は、三条大橋※に晒されよう。是非も
なしよ。ふむ、懇ろに弔うてくれる、奇特な武将も
おるやも知れぬと…… ? いや、それはなかろう。
仔細はともかく、敵に回した相手にさまでの厚情を
望むのも、随分とまた、虫の良い話ではないか……
おお、参られたようだな。何…… お一人で? 」
藤堂高虎の馬のいななきが刑部の耳に届く。
「刑部殿…… 」
「おお、そのお声は高虎殿。変わりないか」
「此度はご足労を賜り、忝い」
「何の。斯様な折ではあるが、懐かしき友との再会が
叶おうとは、喜ばしい限り」
「お体のお具合は ……?」
「ご覧のとおりよ…… 病が進み、もはや、目も見えぬ、
足も立たぬ。馬に乗ることさえ不自由なれば、この
ように輿※を誂えさせた。身の回りの事は、此れなる
湯浅五助の手を借りておる」
「…… さまでに…… 」
「このわしの、あまりにも病み衰えた姿に、さすがの
泉州殿※も驚かれたかな?」
「いや、刑部殿…… お声に張りがございます」
「そうか? そうかも知れぬ。ここ幾年もなかった程、
気力だけは充実しておるからな。して、高虎殿……
御身のご用件は?」
「本日は内府から直々に、大谷刑部少輔殿へのお言伝
を持参してまいりました」
「ほお、徳川殿から? 珍しい。お聞かせいただこう」
「では…… 大谷刑部殿とは、入魂※の間柄なれば、戦う
理由が見当たらぬ。ただちに関ヶ原より兵を引かれ、
敦賀にて、ゆるりと病の養生に、専念されたし……
かよう申し伝えるように、との由」
「ふむ…… 」
「…… 刑部殿? ご返答はいかに?」
「忝き内府のお言葉。吉継、感謝にたえぬ。されど…… 」
「されど ……?」
「されど、左様なお心遣いは、何とぞ御無用に…… と、
お伝え願いたい。刑部の決意は変わらぬ」
「刑部殿…… それはそも、何故でございましょうか?」
「この期に及んで、理由など……」
「いや、是非ともお聞かせいただきたい。一度は刑部
殿も、内府からの呼び掛けに応えて、会津にご同行
なさるおつもりであったはず…… それが何故、俄に
お心を変えられたか?」
「高虎殿 ……」
「ご決意の程、変わらぬならば、是非もございませぬ。
されど、ご変心の真意を聞かせていただかなければ、
この高虎、内府から子供の使いと叱責を蒙りまする」
「…… わしの真意か」
「いかにも…… 刑部殿ほどの老練にして聡明な智将が、
徒に幼き頃からのご友誼に絆され、時局も弁えず、
冶部少殿に合力されたとは、得心がいきませぬ」
「左様にいわれてもなあ…… 三成はあの通り、世間に
類を見ぬ狷介者※ではあるが、豊臣宗家を思い、幼き
秀頼公を守り立てようとする忠義の心に、いっかな
嘘も打算もない ……」
「刑部殿…… 」
「そんな男が、このわしを友と見込んで、内府を敵に
回しての挙兵という大事を、打ち明けてくれたのだ。
しかも、名分はあくまで豊臣家を守る義戦であると
いう。さまで言われては、殿下のご高恩を賜った者
として、無碍に断るわけにもまいらぬでな」
「されど、それは ……!」
「分かっておる…… 分かっておるのだ、高虎殿。天下
が徳川に帰するは、内府の権勢が今や並びなく強大
となったからだけではなく、もはや豊臣家が天下を
統べる力を失ったからに他ならぬ…… 大名から市井
の民草に至るまで、口にこそ上らせぬものの、既に
人心は豊臣を離れ、徳川の治める天下を望んでおる。
そして、間もなくそれは実現しよう」
「そこまで情勢を見通しておられながら、なぜ……?」
「なればこそよ。天下の流れが全て徳川に向かうから
と申して、わしや三成までもが豊臣を見捨て、内府
の下に走ってしもうては、亡き太閤殿下があまりに
お気の毒ではないか」
「殿下が、お気の毒と……?」
「わしと三成は、幼少の頃に、長浜の城主であられた
太閤殿下に小姓※として召し抱えられた。殿下の格別
のお引き立てがなくば、わしらは今も近江で田畑を
耕していたであろう。いわば殿下は、わしら二人を
天下に送り出して下された、生みの親も同然なのだ」
「何と…… 太閤を親とまで申されるか?」
「いかさま。臣が君を見限るは、世の常。豊臣恩顧の
者が内府に靡くのを、殊更に咎めるつもりもない。
されど、親と子には、道理では割り切れぬ情がある。
子である我らが、親を見捨てるわけには参らぬのだ。
分かってくださらぬか、高虎殿?」
「刑部殿…… 刑部殿の太閤殿下を想われるお心、この
高虎、しかと承りました。真、尊きものと存じます。
されど、此度は…… 此度ばかりは何卒、枉げて※兵を
お引き上げいただきたく ……」
「ふーむ、わが真意を聞き届けながら、なおもわしに
友を裏切れと申すか。何故だ?」
「刑部殿が太閤殿下に恩を蒙られたのと同様、高虎も
刑部殿には、計り知れぬ恩義を蒙っておりまする。
大和大納言※家断絶の後、高野山に出家した某を還俗※
させ、太閤殿下に仕官周旋の労まで執って下された
のは、誰あろう、大谷刑部殿でございました」
「ふふ……それがまさか、かように敵と味方に分かれ、
対峙する日が来ようとはな。人の世は面白い」
「さればこそ、さればこそにございます! この高虎、
刑部殿を死なせる訳には参らぬのです! このまま
では某、己を世に送り出して下された恩人に弓引く、
恥知らずの輩になってしまいまする!」
「高虎殿、改めて申すが、お心遣いは無用。そもそも
戦とは、そういうものではないか。ましてや此度の
ように、天下分け目となる大戦に真っ向から臨んで
死に花を咲かせるは、武士の冥利に尽きようぞ!」
「されど、されど明日は…… 明日の関が原は、もはや
戦とはなりますまい」
「何 ……戦にならぬと?」
「明日の合戦は、欲得ずくの日和見と、寝返りが横行
する破廉恥な茶番にしかなりませぬ。斯様な猿芝居
で命を落とすは、まさに犬死に! 何とぞ、何とぞ
参戦は思い留まりくだされ!」
「ああ、金吾中納言※のことならば、既に聞いておるぞ。
黒田長政めが、調略に心を砕いたようだな」
「そ、それは…… 何処から?」
「名は明かせぬが、さる信に足る御仁からだ。草の者
を走らせ、知らせてくれた」
「では、刑部殿は、松尾山の小早川勢を牽制すべく、
敢えて関の藤川に陣を…… ?」
「うむ、すでに幾重にも馬防柵を設け、万全の備えを
敷いた。金吾に二心があろうと、食い止めてみせる。
三成の本陣には、指一本触れさせぬわ!」
「刑部殿 ……」
「何も申されるな、高虎殿。確かに小早川一万五千に
対し、わが手勢は千五百にも足りぬが、修練と覚悟
の程が違えば、自ずと死地は開けるものよ。それに、
我が陣営には幾人か、与力※も加わっておる。数こそ
少ないが、それぞれに、なかなかの精鋭が揃うて ……」
「…… や、刑部殿…… しばらく!」
「どうした、高虎殿?」
「その与力とは…… 脇坂安治・朽木元網・赤座直保・
小川祐忠の、四名にございましょうか?」
「いかにも。ようご存知であることだ。さすが知恵者、
ぬかりなく探っておられたか」
「…… 寝返りまする」
「何、裏切り者がいると申されるか! 誰が寝返ると?」
「それが…… 四名が、四名とも…… 」
「な…… 何たること! 真か?」
「他ならぬ某が、脇坂に内応を取り付けました。残り
の三名は、脇坂がそれぞれに利を説いて、篭絡……」
「脇坂安治…… 賤ヶ岳の七本槍※が、また一人、内府方
に付くというのか…… 」
「元々が脇坂は内府寄り。会津遠征に参陣するつもり
が冶部少殿に関所で足止めされてしまい、やむなく
西軍に投じたまでのこと。内応そのものは、此度の
戦以前の話にございます」
「では、松尾山の小早川勢とも呼応して…… 」
「某が関の藤川の戦況を遠巻きに見守り、頃合を見て
旗を振る手筈。それを合図に、脇坂以下の四隊は、
側面から大谷隊に、一斉に射撃を仕掛けまする ……」
「ふうむ、前面には金吾の一万五千を相手にしながら、
味方にも裏切られるのか…… いやはや」
「畏れながら、万にひとつの勝ち目もございますまい」
「いや、さすがのわしも見抜けなんだ。高虎殿、見事
な策略よ。感服仕った!」
「……… お褒めに預かり、恐縮の次第」
「されど、解せぬな。かような話を敵に聞かせるのは、
内府への裏切りに他なるまい?」
「まだお分かりいただけませぬか? 高虎にとって、
刑部殿は敵ではございませぬ! 刑部殿がまさかに
冶部少方につき、病を押しても関ヶ原に出陣される
と存じておれば、この泉州、斯様な工作に走ること
など、ゆめ致しませなんだものを……!」
「高虎殿 ……もしや、今日このわしを呼び出したは、
内府の使いではなく、貴殿の独断…… ?」
「仰せのとおり…… 某、策略の手の内を明かすことで、
徳川内府を裏切りました。かくなる上は、刑部殿も
石田冶部殿を裏切られ、参陣を思い留まり戴きます
よう、伏してお願い申し上げる次第。此方に寝返る
必要はございませぬ。ただ敦賀へとお戻り下されば、
その処遇、内府に対して、及ばずながらこの高虎が
命懸けで取り成しまする。何卒お聞き届けの程を!」
「それは…… いかぬなあ、高虎殿」
「刑部殿?」
「今更、このわしに、おめおめと畳の上で、病と共に
朽ち果てよと申されるか?」
「ぎょ、刑部殿!」
「脇坂、朽木、小川、赤座…… 束ねたところで五千に
満たぬ。寝返り金吾一万五千の弱兵が、二万足らず
に増えるだけのこと。望むところよ…… なあ、五助?」
「や、されど…… !」
「構わぬ。何食わぬ顔で、段取りの通り、脇坂どもを
裏切らせればよい。わしも受けて立つ」
「で、できませぬ!」
「くどいな、貴殿も…… この大谷刑部が直々に構わぬ
と申しておるのだ。腹を決めて参られよ」
「で、では…… わが藤堂隊が突入し、刀槍を交えると
見せかけ陣構えに間隙を作ります。何とかそこから
お逃げくだされ! 誰にも後は追わせませぬ!」
「無用のこと…… さまでに見え透いた策を弄しては、
貴殿が内府から睨まれてしまうぞ」
「さ…… されど、刑部殿!」
「ここで手を抜いては、長年貴殿が築き上げてきた
内府との誼が悉く台無しになってしまうであろう。
この期に及んで、内府の機嫌を損ねることもない」
「それは…… それは皮肉でございますか? やはり、
刑部殿もこの高虎を、後ろ足で豊臣家に砂を掛け、
内府に尻尾を振る、日和見のへつらい大名と ……!」
「いや、高虎殿…… 左様な…… 」
「高虎、世評で如何に揶揄されようと、ただ損得勘定
のみで、内府に奉仕しておるわけではございませぬ!
いかに蔑まれようと、高虎には高虎の、武士の矜持、
意地と本分があればこそ…… 」
「高虎殿、聞かれよ!」
「ぐっ…… 」
「この刑部は貴殿の振舞いを、へつらいや日和見など
と思うたことは、ただの一度もないぞ。主を変える
こと七度に及ぶと雖も、その殆どは死別…… 裏切り
や出奔ではなかろう。貴殿は仕えた主君に最後まで
忠義を尽くし、決して人を侮らず、約束は必ず守る。
そもそも、ただ保身のために取り入ろうと謀れば、
誰よりも内府が真っ先に見抜くはずだ。主従の絆を
何よりも重んじる三河武士の頭領が、外様※の貴殿を
譜代※の如く厚く遇しておる。これ即ち貴殿の誠意を、
次なる天下人も認めておる何よりの証左ではないか?
余人が何と申そうと、刑部は藤堂高虎ほど義に厚い
漢を他に知らぬ。臆せず、堂々と胸を張るがよい」
「刑部殿…… この身には、過ぎたお言葉…… 忝い」
「何の。思うがままを申したまでのこと」
「わが心情を、誰よりも深く理解し、認めてくださる
恩人と、戦わねばならぬとは…… 高虎、情けなくも
口惜しき限りにございまする!」
「良いのだ、高虎殿…… 良いのだ」
「刑部殿……何か、某にできることはございませぬか?」
「お心遣いは無用。わしの最期を、高虎殿が見届けて
下さるならば……刑部はそれだけで、果報者よ」
「…… 見届ける…… ?」
「うむ。せっかく骨を折って寝返らせたのだ。存分に
脇坂どもを働かせるがよい。刀折れ、矢尽きるまで、
不届き者を成敗し、華々しく散ってみせよう!」
「刑部殿、刑部殿…… されば、やはり脇坂どもには、
一切の手出しを控えさせましょう」
「やれ高虎殿、頑固な! この期に及んで、まだ左様
なことを…… 」
「しばらく! 刑部殿のお考えになられたような意味
ではございませぬ」
「ん? では、どのような意味だと申される?」
「脇坂ども……いや、小早川にも手出しはさせませぬ」
「高虎殿 ……?」
「刑部殿、最後のお相手は、僭越ながら、この高虎、
自ら務めさせていただきまする」
「おお、高虎殿! それは…… 」
「わが藤堂隊と大谷隊との真っ向勝負……それならば、
内府も異存はございますまい」
「高虎どの率いる精鋭二千五百の藤堂隊と、わが隊が
……うむ、気に入った!」
「太閤殿下が、百万の兵を与え、采配させてみたいと
おっしゃった刑部殿の戦ぶり、高虎、楽しみにして
おりまする。手加減は致しませぬ故、ご覚悟の程を」
「望むところ。返り討ちにして進ぜよう。なあ、五助?
ん…… 五助、なぜ泣いておるのだ? 縁起でもない。
何もまだ、負けると決まった訳でもあるまいに……
泣くでない! みっともない。ああ、いや、高虎殿、
あいすまぬ。見苦しいところを ……」
「いや、五助殿の思い、よう分かりまする。ところで、
如何でございましょう、刑部殿。明日の合戦に臨み、
ひとつ、われらだけの取り決めをいたしませぬか?」
「面白い…… いかなる取り決めを?」
「勝敗はまだ分かりませぬが、勝った方が、負けた方
の墓を立てるのでございます。勝者の特権で敗者の
首を、他の誰にも見せず知らせず、戦の跡の関ヶ原
の、どこかに埋める」
「…… 首を…… ?」
「左様。誰の目にも触れぬように深く埋め、勝った者
にしか分からぬ目印を置きましょう」
「いや、高虎殿…… 誰にも知らせぬと申しても ……?」
「誰にも…… というからには、誰にも、でございます。
内府にも、冶部少殿にも、左近殿にも、小早川金吾
など論外でございます。場所を教えるくらいならば、
潔く腹を切りましょう」
「う、うむ…… 」
「さらにこう致しましょう。これだけの大戦、勝てば
報奨金も相当なものとなる筈。されば勝者は毎年、
気前良く、敗者の法要を欠かさぬことを、約束する。
敵の金子で弔われても、成仏など叶いますまいが、
そこは勝負の厳しさ、諸行なかなか侭ならぬものと、
互いに割り切るしかございますまい」
「高虎殿…… 貴殿…… 貴殿は……」
「さあ、いかが?」
「いや、高虎殿さえ、よろしければ、当方に不足は……
これ、五助、泣くな! 泣くなと申すに! 全く、
子供でもあるまいに! 高虎殿の声がよう聞こえぬ。
静かにせよ。泣くな。泣くでない…… な、泣くな…… 」
号泣する五助、言葉に詰まる吉継を、高虎が見守る。
「…… 失礼仕った、高虎殿。わしは…… それに五助も、
その仕儀なれば、いっかな不足はござらぬ」
「よかった! 刑部殿…… それに、五助殿も! では、
明日は、心おきなく、干戈を交えましょうぞ!」
「うむ、高虎殿!この病み衰えた体に、今だ残る焔を、
全て燃やし尽くし、全身全霊で、お相手仕ろうぞ!」
高虎「されば、これにて…… 」
吉継「ああ、高虎殿…… 」
高虎「は…… まだ、何か?」
吉継「ご厚情、刑部、言葉もござらぬ……忝し」
※脚注
三条大橋
鴨川にかかる、京都三条通りの橋。古くからの処刑、
晒し首の場として有名で、関ケ原の敗戦で刑死した
石田三成、小西行長、安国寺恵瓊の首も晒された。
輿
人を乗せ運ぶ乗り物。 二本以上の棒に台を載せて、
大勢の人間により運ばれる。
泉州殿
藤堂高虎の官職である和泉守を簡略化した呼称。
入魂
親しく、心安くしていることや、その様子。懇意。
狷介者
意志が固く片意地で、人に妥協しない気質の者。
小姓
身分の高い人に仕え、雑用を務める役職。
またはその役職の少年。
枉げて
「理をまげて」の意味。そこを何とか。是が非でも。
相手に請い願うときに使う。
大和大納言
豊臣秀吉の弟である羽柴秀長の官位に由来する通称。
人格者で、秀吉の天下統一に貢献した。
還俗
僧侶であった者が、戒律を捨て、俗人に戻ること。
金吾中納言
小早川秀秋の通称。関ヶ原の合戦で西軍を裏切って、
東軍の勝利を決定付けた。
与力
戦国時代では、侍大将や足軽大将に付属する騎士。
賤ヶ岳の七本槍
本能寺の変の後、織田家の後継者争いで豊臣秀吉が
柴田勝家を破った賤ヶ岳の戦いで活躍したとされる
秀吉の七人の近習。加藤清正・福島正則・脇坂安治・
加藤嘉明・平野長泰・片桐且元・糟屋武則。
外様
将軍家の一門ではなく、譜代の主従関係にない家臣。
譜代
代々将軍家に仕え、家政にも関わってきた家臣。
戦場の吉継エコルン「金吾ムカつくなりよ!」
【作者贅言】
吉継と高虎の関ケ原エピソードには諸説ありますが、
一般的?には小早川はもちろん与力にも裏切られて
敗軍の将となった吉継が自刃して果てた後の自分の
首を、家臣の湯浅五助に敵から隠すように伝えて、
主君の首を抱え戦場から離れようとしていた五助が
藤堂隊に見つかるも、自分の命は差し出すから吉継
の首は何としても隠してほしいと必死に懇願、願い
を聞き入れた高虎は吉継の首を隠して墓まで建てて
丁重に弔ったと…… 業病を患い負け戦と知りながら
友との絆に殉じ強大な敵に立ち向かった(とされる)
大谷吉継という高潔な悲劇の名将と、その忠臣への
判官贔屓というか、後世の吉継推しが仕立て上げた
いかにも日本人好みの美談とは思いますが、現実は
ともあれ、こういう形の語り草は全然ありですわな。
これはつまり、鎮魂歌=レクイエム。不幸な病への
同情や憐れみも含め、吉継を厚く称賛して共感して
要は思いやり、悼み弔っておるわけです。こうした
思いを心に留めて生きていくと、自ずと徳が積まれ
品性が高まって、人としても洗練されるかもです。
朝に礼拝、夕べに感謝。お手々の皺と皺を合わせて
幸せ。指の節と節を合わせて、不幸せ(←あかんよ)
お墓のない人生を、はかない人生いいまっしゃろ。
南無阿弥陀仏。南無観世音菩薩。合掌。
ウサギの軍配にルンルンの高虎エコルン
☆予告☆
さーて、次回の【戦え!戦国マン】は……!?
お待たせしました! ついに独眼竜☆伊達政宗、登場!
もう一人の戦国マンは、正宗の腹心、片倉小十郎重綱!
大坂の陣:最終決戦前夜、思わぬ人物から伊達本陣に
届けられた、想定外のガチ厄介な贈り物とは…… !?
第拾話『幸村の娘』 伊達政宗 × 片倉小十郎
この次も、ぜってぇ読んでくれよな!




