表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/68

リオンとルシアの刻印準備?

「それでは、早速ギルドの紋章入れましょうか?どこか個別にお部屋あります?」


ライトが小首をかしげながら、丸っこい体をぽふっと揺らして尋ねる。その声色はあいかわらず丁寧で落ち着いていたが、姿とのギャップがすごい。


「あ、この部屋の中にあります。案内します」


サクラがスッと立ち上がると、部屋の奥にある扉を指差して先導した。


「ここ、好きに使ってください」


「ありがとうございます。さて、リオンさん、準備はよろしいですか?」


ライトがぴょこんと跳ねるようにして振り返りながら、リオンに優しく問いかける。


「もちろんだよ!僕のお尻も、いつでもオッケーって言ってるよ!」


「リオン……!」


ルシアが思わず立ち上がり、その隣に並ぶ。


「私も行きたい!」


「う、うん……行こう」


リオンは一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに顔を赤くして、こくんと頷いた。


「ふふふ……いいですね。行きましょう、二人と一匹で」


ライトがくるりと回転しながら先導するように歩き出す。


「がんばってこいよ!」


俺が思わず声をかけると、リオンは振り返りながら親指を立ててウインク。


「もちろんさ!愛と信念とお尻に、すべてを刻んでくるよ!」


リオンが胸を張って叫ぶと、その隣でレイルが小さくため息をついた。


「……リオン、一応言っとくけど、麻酔しても普通に痛いぞ。俺は入れた時、足ガクガクだったからな」


「えぇっ!?麻酔しても!?」


「効いてたかどうか、正直微妙だった。まあ……俺はちゃんと処置してもらったけどな」


その言葉に、思い出したかのようにサクラがくすっと笑う。


「アルトの時、思い出すなぁ……」


「……確か、アルトさんは麻酔なしだったんですよね」


ユウラがぽつりと呟き、サクラも頷いた。


「ライトが麻酔するの忘れてたってやつな」


レイルがため息混じりに苦笑いを浮かべる。


「……ああ」


俺は軽く頭をかきながら答える。


「終わった後に“あっ”って言いやがって。あれが一番怖かったわ」


「忘れてたって……」


リオンが完全に青ざめた顔で俺を見る。


ライトはぴくっと耳を動かしながら、申し訳なさそうに前足を揃えてお辞儀をした。


「アルトさん、あの日は大変失礼しました。今はきちんと手順通りに進めておりますので、ご安心ください……多分……ふふふ」


「おい!ライトォォォ!!」


「だ、大丈夫かなぁぁ!?ぼ、僕……お尻に一生モノを刻むのにぃぃ!」


「リオン、怖いなら……今からでも場所、変える?」


ルシアが優しく声をかけると、リオンはきゅっと唇を引き結んで、真剣な顔になった。


「だ、ダメだ……決めたんだ。ルシアの前で誓ったんだから……お尻に刻んで、堂々と愛を語る!」


「リオン……うん、わかった。そばにいるから」


「僕は負けない!ルシアと一緒ならなんだって乗り越えられるんだ!」


リオンの声が部屋に響く。自分の頬をパンッと軽く叩いて、決意を固めるように目をぎゅっと閉じた。


「よし!行ってくるよ。行こう、ルシア」


リオンは振り返り、緊張気味に微笑みながら、ルシアにそっと手を差し出した。


ルシアは一瞬、戸惑うようにその手を見つめる――けど、すぐにふわっと笑って、迷いなくその手を取った。


「……うん。行こう、リオン」


その声には、しっかりとした強さがあった。


「では、お二人、行きましょうか」


ライトがくるりと振り返り、ふわふわと前を歩き出す。


「き、緊張してきた……でも、でも、ルシアが手を握ってくれてる……!これはもう勝ったようなもんだね……!」


「リオン、手……汗、すごいけど?」


「えっ!?あ、ご、ごめん!ちょっと今、愛と覚悟が手のひらから溢れてるだけだから!」


「ふふ、もう……変なこと言ってないで、ちゃんと歩いて」


ルシアがくすっと笑いながら肩を並べると、リオンはさらに顔を真っ赤に染めた。


「ぼ、僕、がんばる……!全力で刻印受けてくるよ!」


「その意気です、リオンさん。では……こちらへどうぞ」


ライトが扉の先に進むと、リオンとルシアもそのあとに続いていった。


――パタン。


扉が静かに閉まると、部屋に少しの静寂が戻った。


「……なんか、リオンって……」


サクラがぽつりとつぶやく。


「……想像以上に、真面目だよな」


レイルが珍しく真顔で言い、俺も思わず頷く。


「緊張とギャグのバランス、ギリギリで成立してるのがすごいです……」


ユウラも呆れたように笑って、肩をすくめた。


「でも、ルシアさんがいると、リオンさんがちょっとだけカッコよく見えるのは……気のせいでしょうか?」


「うん……それは否定できないかも」


サクラが静かに笑いながら、そっと俺の手を取った。


そのあたたかさに、俺は小さく息を吐いた。


「リオンならやり遂げるよ。だってあいつ、誰よりも一途だからさ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ