再!謎のコスプレ集団!?6
「……今日はもう遅いし、ひとまず明日の早朝、リオンからの報告を待とうか」
俺が言うと、みんながそれぞれ軽く頷いた。
そのタイミングで、サクラがすっと立ち上がり、丁寧に一礼した。
「改めまして、ご紹介が遅れました。私の本名はカスガイ・サクラです。普段はサクラって呼んでください」
「了解〜。じゃあサクラ!」
リオンがさっそく元気に手を挙げる。
「ちょっと待ったぁぁぁ!!!」
俺が思わず叫んだ。
「レイルとリオン、お前らはサクラの呼び捨て禁止な!」
「えー、なになに、嫉妬?独占欲?まさかの独裁宣言!?」
リオンがニヤニヤしながら突っ込んでくる。
「言われなくてもわかってるよ、アルトくん。僕にはルアが待ってるからね〜」
リオンが胸に手を当てて満面の笑み。
一方、レイルは腕を組んだまま、冷静にこう言い放った。
「心配ない。女王には一切興味がない」
「なっ……おい、レイル!それはないだろ!?ユウラのこと気になってるからって、その言い方はちょっと!なぁ!?」
「……は?全然気になってないけど」
超素っ気ない!!
俺は思わず眉をひそめて言った。
「じゃあ俺がユウラのこと呼び捨てにしても問題ないってことだな?」
その瞬間。
「……それは……駄目だ」
レイルがぴしっと視線を向けてきた。顔、真っ赤。
「……っ」
隣のユウラも、一気に顔を赤くして、慌てて目を逸らしている。
な、なんだこの甘酸っぱさ!!
俺の後ろでは、サクラが俺の服の裾をぎゅっと掴みながら、頬をほんのり染めて小さく笑っていた。
「……とりあえず、明日帰ってきたら連絡するよ!」
リオンが気合のこもった声で言うと、みんなはそれぞれ頷いて立ち上がった。
こうして、俺たちはそれぞれの夜に向かって、静かに解散した。
部屋に残ったのは、俺と、サクラと――
「……なんでお前までいんだよっ!!!」
ミリ。
「今日は三人で寝ようと思っている」
「はぁぁぁぁぁ!?なんでそうなるぅぅぅぅ!?」
「予行演習だ」
「何のだよ!!?!」
「明日からのリハーサルに備えて、配置を決めておく必要がある」
ミリがまるで家具の並びを考えるようなテンションで、さらっと言い放った。
「配置って……ベッドの!?寝る順番のことかよ!?」
「そうだ。サクラ、私、アルトの順で並ぶ」
「えぇぇ!?な、なんの意味があんのそれ!?なにその指定席制度ぉぉぉ!」
「ミリ、さすがにそれは……!」
サクラも慌てて立ち上がり、顔を赤らめてる。
「問題ない。すでに清潔処理は済ませている。私たちはいつでも並列可能だ」
「並列っていうなぁぁ!!人間関係をマシン扱いすんなぁぁ!!」
俺が全力で突っ込むと、ミリはまばたきもせずに俺の顔を見つめてきた。
じとーっ……。
「……じゃ、じゃあ……私、ちょっと着替えてくるね……!」
サクラが顔を真っ赤にして、逃げるように部屋の奥へと小走りで消えた。
「なぁミリ、マジで今日は帰ろうぜ?な?二人きりの空気読もうぜ?ロボットにも間ってものがあるだろ?」
「理解している。だから私が間に入る」
「いやそういう意味じゃねぇぇぇぇぇ!!!」
──その時。
「お、お待たせ……」
サクラが、もこもこのルームウェア姿で現れた。ピンクの……うさ耳付き。
やばい。これはやばい。なんかもう、いろいろ終わる。終わらせたい。うさ耳最強……。
「……今、鼻血出そうな顔してた」
ミリの冷静な指摘に我に返る。
「してねぇ!!出てない!!ギリギリ寸止めだよ!!」
そんな俺をスルーして、ミリは俺とサクラの手をそれぞれ無言で掴んだ。
「行くぞ」
「え、ちょっ、引っ張るなって……うわあああ!!」
「きゃっ……ミリ、急に引っ張らないで……!」
ミリの腕力で、俺とサクラはポーンとベッドに投げ込まれる。
ふわっ、と跳ねた感触と同時に、俺はもふもふのクッションに沈んだ。
……そして、気づいたら真ん中にミリが鎮座していた。
「なんでお前が真ん中陣取ってんだよぉぉぉ!」
「安心の境界線」
「俺らの間に境界線なんかいらねぇよ!!むしろ今必要なのは距離感だよ!あ、いや、近づきたいとかじゃなくてだな!?」
「……ふふっ、アルト、落ち着いて」
サクラがぽつりと囁いて、俺の肩にそっと手を置く。
その手があったかくて、心臓がまたうるさく跳ねた。
「……なぁ、明日、リオンならやってくれるよな」
俺が天井を見上げながら呟くと、サクラが小さく微笑んだ。
「うん。……私は、リオンを信じてるよ」
「私もだ。彼なら可能性は高い」
ミリの無表情な声が、どこかやさしく響いた気がした。
「たまにはミリと三人で寝るのも悪くないかもな」
「あ、私も今、それ言おうと思ってた」
「ぐこここここ……ぐこここっぐこ!」
ミリの謎なイビキが部屋に静かに響く。
「くすくす……」
俺たちはミリを見ながら、お互いに目を合わせて笑い合った。
なんだかんだ、俺たちはミリに助けられてきた。
無感情に見えて、実はちゃんと見てくれてる。タイミングも、誰よりも正確に。
「……ありがとな、ミリ」
「ぐこここ……ぐこっ!ぐここここ!」
「ったく……爆睡じゃねぇかよ」
俺のツッコミを聞きながら、サクラがくすくすと笑った。
「サクラ、おやすみ」
「うん……おやすみ」
そして、ふわりと部屋の灯りが落ちる。
静かな夜の中――俺たちは、ミリに挟まれながら、不思議な安心感に包まれて目を閉じた。
きっと、明日もいい朝が来ると信じて。




