表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/68

再!謎のコスプレ集団!?4

俺の言葉に、一瞬の沈黙が落ちる。


でもそれはすぐに、レイの低い声で破られた。


「……アル」


「ん?」


「その集会。単なる情報共有じゃないよな?」


俺はゆっくりと頷いた。


「……ああ。ギルドに入るってことは、戦う覚悟を持つってことでもある」


リオが、表情を引き締める。


「戦うって……やっぱり、個体と?」


「それもある。けど、時にはこの世界のルールとすら戦うことになるかもしれない」


「ルール……」


ユラが小さくつぶやく。


「例えば、感情を抑えることが正義だとされてるこの世界で、泣くとか、怒るとか、それすら許されない空気に抗うことも、戦いなんだ」


俺は、サクラの手をそっと握る。


「サクラが感情を持ったことで、この世界は少しだけ変わり始めた。だけど、それに反発する力も、きっと動き出してる」


「ルカ……か」


レイがぽつりと呟く。


「そう。あいつが今どう動いてるかはわからないけど……ギルドにとって、最大の障壁になることは間違いない」


「……それでも、やるんだな」


「ああ」


俺ははっきりと言った。


「俺はもう、見てるだけじゃいられねぇ。サラがこの世界の希望で、サラの心がこの国の未来を決めるなら……その隣で、俺は戦う。どんな形でもいいから、支える。それが俺の役目だと思ってるから」


静かに、けれど確かな熱を込めて伝えた。


すると――


「……なら、私も」


ユラが立ち上がった。


「守るって決めたの。だから、もう迷わない。……この手で、戦いたい」


「もちろん、俺もだ」


レイが立ち上がる。


「女王さまを守るって決めた時点で、僕たちはもう、戦いに足を突っ込んでる。なら、やるべきことはひとつだけ」


「ふふふ……仕方ないなー」


リオが両手を挙げて伸びをしながら、にっこり笑った。


「アルくんの熱い告白、久々に鳥肌立ったよ。はいはい、僕も付き合うよ。戦闘はちょっと苦手だけど、サポートなら任せて」


「……お前が一番向いてなさそうで、案外頼りになりそうってのが腹立つ」


「お褒めにあずかり光栄です~!」


リオが軽口を叩く中で、俺は心の中で静かに誓った。


その時だった。


サクラが、そっと俺の耳元に顔を寄せて、こっそり囁いた。


「ねぇ……アル。ユラのギルドの紋章……どうにかカップル登録で回避できないかな?レイと」


「……はっ!?」


一瞬で脳内警報フル鳴り。まさかのとんでも提案に、俺の心臓が跳ね上がった。


「さすがにそれは難しくね?というか、当人の意思っ……」


「でも、ユラ……きっと本当は怖いと思うの」


そんな風に真面目な顔で言われると、反論できないじゃねぇか……!


「おい、何を耳打ちしてる」


――っと、そこへ。


レイのクールな視線が、ズバァンと俺に突き刺さった。


「うわっ……!い、いや、なんでもないっ!」


俺が慌てて肩をすくめると、サクラも気まずそうに俺の肘を小突いてくる。


「あの……」


サクラが、ぽつりと話し始めた。


「実は、私……ギルドの紋章、刻んでないの」


一同が一斉に「えっ?」とざわつく。


「でも、カップル登録って制度があって。それをすれば、どちらか一人が紋章を刻めばいいの」


「それがどうしたんだ?」


レイの返しが一秒も待たずに返ってくる。真顔。鋭利。察しゼロ!


「だ、だからね……その……ユラ、女の子だし……できたら、守ってあげて欲しいなって……」


「……誰が?」


冷静すぎる……!レイ!まじで冷徹すぎるぅぅぅぅぅ!!


「じょ、女王さま……私は、大丈夫ですっ!」


ユラが慌てて一歩前に出る。頬を赤らめながらも、きゅっと拳を握る。


「私、ちゃんと戦えますし、紋章も……怖くないですから……!」


お、おぉ……!?なんか健気すぎて涙出そう……


その時――


「ユラちゃんなら、僕が登録してあげようか?」


ドヤァッ!と現れるリオ。片手を胸に、もう片方を宙へかざすナルシストポーズ!


「僕なら美と勇気と華を備えてるから、ギルド的にもバランス良さそうだし?」


「お前じゃねぇんだよ!!!」


即ツッコミが飛び出した俺。


「えー!?なになに、僕なら華やかでしょ?一緒に紋章を刻むなら、記念におしゃれなポーズで写真でも撮っ……」


「お前との写真なんて誰がいるんだぁぁぁ!!」


「……リオ、黙ってて」


サクラが小さくピシャリと言った。リオが「ふぇっ!?」と情けない声を出してしぼむ。


「……ま、まぁ、でも……」


再び沈黙が落ちる中、レイが小さく目を伏せた。


「そのカップル登録ってのは……別に、表面上だけでいいのか?」


ふいに、レイがぼそっと呟いた。


「え……?」


その一言に、場の空気が一瞬ぴたりと止まる。ユラが息をのんで、ゆっくりとレイの方を見る。


「……詳しくは分からないけど、手続きとしての登録だから、本気の恋人じゃなくても成立はするんじゃね?」


俺がそっとフォローを入れると、レイはほんのわずかだけ視線を横にそらしながら、低く言った。


「……まぁ、リオよりは、俺の方がユラには合ってると思うしな」


「……えっ……」


ユラの瞳が一気に揺れた。頬にみるみる赤みが差していく。


「レ、レイさま……それって、どういう……」


「そのレイさまって呼び方、やめろ」


レイの声は静かで淡々としているのに、どこか断ち切るような鋭さがあった。


「え……でも……その……では、なんと……?」


ユラが戸惑いながら小さな声で問い返す。


「レイでいい。それと、敬語もいらない」


「……!」


ユラが、息を飲むように一瞬止まり――それから、ゆっくりと小さく頷いた。


「……レ、レイ……わかった……です」


その名前を呼んだあと、すぐにユラは自分の膝の上でぎゅっと両手を握りしめた。耳まで真っ赤に染まっている。


一方、レイはと言えば、完全にそっぽを向いたままだが、首元までうっすらと赤い。


「……ふん」


それだけ言って、レイは黙り込んだ。


……いやいや、お前ら、初々しすぎるだろ!


なんだこの空気!こっちまで顔が熱くなってきたじゃねぇかぁぁぁ!!


サクラがこっそり俺の肘を突いてきた。


「……ねぇ、なんか、いいね。あのふたり」


「だな……思ってたよりピュアな展開すぎて、逆に動揺するわ」


俺がそうボソッと返すと、サクラもふっと笑って頷いた。


「一緒に俺も行って、オールにカップル登録も同時にできるか聞いてみるか」


俺がそう言うと、ユラが少し戸惑いながら口を開いた。


「ア……アルさま、登録って……ど、どうやってすれば……?」


「ああ、お互いの手と手を重ねて、端末の上に置くだけだと思うよ」


「え……?て、手と手……ですか?」


ユラが一気に顔を真っ赤にして固まる。目は泳ぎ、頬はどんどん火照っていく。


「……」


レイはというと、そっぽを向いたまま黙ってる。


おいおい、なんだこの温度差。


「なぁ、レイ?聞いてるよな?」


俺がツッコミを入れると――


「……聞いてる」


ぽつりと、そっけない返事だけ返ってきた。


「あの……レイさま、もし無理だったら……わ、私ひとりで紋章、刻みますので……」


ユラが小さく声を震わせながら言うと、その瞬間、レイがぴしゃりと返す。


「だから、その呼び方やめろって」


「えっ……す、すみません!」


「敬語も禁止」


「は、はい!」


「……ほら、また言った」


「……あっ……ご、ごめ……っ、ううん。……わかった、レイ……」


ユラが口を押さえて照れ笑いを浮かべる。


レイは無表情のまま、しかしほんの一瞬だけ視線を逸らした。……耳が赤い。


「手、重ねるだけだろ?別に……問題ない」


「えっ……っ、う、うん……!」


ユラは目を輝かせながらも、両手をぎゅっと自分の胸元に引き寄せて、顔を伏せる。


「ふん……」


レイはそれだけ言って、ソファに肘をついて再びそっぽを向いた。


でも……俺には見えたぞ。耳の赤み、増してる。


「……なんか、青春してるな……」俺が思わず呟くと、


「ア、アルさま!!」ユラが焦って振り返り、「……別に。どうでもいい」レイがつんと鼻を鳴らした。


その言い方、明らかに照れ隠しだろうが!!


「な、なんか……かわいい……」


サクラが隣で微笑みながら呟いた。


そして俺は、そっと心の中で思った。


……レイ、お前、そういうツンツン系なのか。


……いいぞ、もっとやれ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ