表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
37/68

女王さまは思いのほか積極的!?

俺たちはしばらく、そのまま抱き合っていた。


夜風が、サクラの髪をそっと揺らす。 その柔らかい匂いに、心臓がまた跳ねる。


や、やばい……サクラ、近い……


ほんのちょっと動けば、額が触れ合うくらいの距離。


「……サクラ、顔……真っ赤だぞ」


勇気を振り絞ってそう言うと、サクラはビクッと肩を震わせた。


「アルトだって……!」


恥ずかしそうに小さな声で返してきた。


思わず、お互いに目をそらす。


……だめだ。


顔を見たら絶対に耐えられない。


「は、はやく……収納庫、行こうぜ……」


俺は顔を隠すみたいにして言った。


「う、うん……」


サクラもこくんと頷く。


俺たちは、手を繋いだまま収納庫へ向かった。


心臓はまだバクバクしてるし、隣を歩くサクラも、ちらちらっと俺を見ては、すぐに顔を逸らしてる。


その仕草が、もういちいち、かわいすぎて……


……やべぇ、今のサクラ、破壊力がレベチすぎる……


ふと、思い出す。


雑貨屋で、うさ耳ルームウェアを見つけたときのサクラのことを。


あのときも、サクラは楽しそうに笑って、自然に話していた。


だけど、今ならわかる。


あのときのサクラは、素のままを全部出すのを、ちょっとだけ躊躇ってたんだ。


急に変わったら、俺が戸惑うかもしれないって……


俺のことを気遣って、少しだけ控えめにしてた。


本当はもっと、言葉だって、気持ちだって、自然に出せたのに。


「私はアルトにしか見せない」


そう言ってくれたあの瞬間も、 ほんの少しだけ……遠慮してた。


けど今は、違う。


今、隣にいるサクラは遠慮なんかしてない。


全部、まっすぐ俺に向けて、想いを伝えてくれてる。


震える手も、真っ赤な顔も、ぎゅっと握った指先も。


全部、隠してない。


胸が、どうしようもないくらい熱くなる。


俺は、繋いでるサクラの手を、強く握り直した。


サクラも、小さく、指を絡め返してくれる。


「お、到着した」


「私……開けてくるね」


収納庫に着くと、サクラがぎこちなく鍵を操作して、パカッと開ける。


中には、スーパーで買ったお好み焼きの材料と、ほぼ俺の趣味で購入した――


うさ耳付きのモコモコルームウェア、ふわふわのルームソックスに、ヘアターバン、それと……エプロンまで。


紙袋からそれぞれがチラチラ見えていた。


……あああ……見える……やばい……


思わず目を背けた俺に、サクラがくすっと小さく笑った。


「アルト……そこばっかり見るの、恥ずかしいから……」


「み、見てねぇしっっ!!!」


あたふたする俺を、サクラはいたずらっぽく見上げた。


「ふふ、ほんとは、すっごく気になってるって顔に書いてある」


「なっ……!」


ま、まずい。


さっきまで抱き合ってたせいか、サクラが、やけに……甘い。


顔がもう、熱すぎて、溶けそうだ。


「さ、さっさと荷物持って帰ろう!」


慌ててお好み焼きの食材を抱え込もうとした、そのとき――


「……アルト」


サクラがそっと俺の腕を掴んだ。


「え、な、なに……?」


「……私も、持つ」


「い、いや、いいって!サクラは手ぶらで――」


「やだ」


きっぱりと言われた。


きっぱり言われたけど、その顔は耳まで真っ赤で、ぷるぷる震えてる。


「……一緒に持ちたい」


ぽつりと呟くサクラ。


……尊い。……無理、俺、無理……


心臓がまた破裂しかけたけど、俺は必死で耐えた。


「……じゃ、じゃあ……サクラには、軽いやつを……!」


俺は必死で選んだ。


サクラには、ルームウェアとルームソックスとターバン、そしてエプロンの袋を渡すことに。


「食料品は、俺が持つから」


「……うん。ありがと、アルト」


そう言って、サクラは荷物をぎゅっと抱えた。


ルームウェアの袋を大事そうに抱きしめてるその姿が、かわいすぎて……ほんと、やばい。


やべぇ……うさ耳ルームウェア……サクラが持ってる……すでに似合ってる……


「じゃ、じゃあ……行こっか……」


俺は震える声で言った。


「うん」


サクラも小さく頷き、荷物を抱えたまま――

そっと、俺の手を探して、繋いできた。


「……!」


サクラの指先がそっと絡む。


あったかくて、柔らかくて、繋いだ手からサクラの体温が、心臓までじんわり伝わってくる。


俺たちは、手を繋いだまま、ゆっくりと歩き出した。


夜道を、ふたりきりで。


サクラがふと、俺のほうを見上げた。


「ねぇ……アルト」


「ん、な、なんだよ?」


「私ね……今、すごく幸せ」


小さな声で、恥ずかしそうに言うサクラ。


俺はその言葉だけで、心臓が千回くらい跳ねた。


「……俺もすげぇ幸せだよ」


サクラは俺のその言葉にふわっと微笑んで、さらにぎゅっと、俺の手を握りしめた。


「手……離さないでね」


「離すわけないじゃん……絶対」


すぐに答えた俺に、サクラは――


今度はそっと俺の肩に、頭をコトンと乗せてきた。


「っ……!!」


やばい……やばい……やばい……


尊死。尊死待ったなし。


「……なぁ、サクラ」


「ん?」


「……俺のほうが、絶対……幸せだ」


ぽつりと呟くと、サクラはくすっと小さく笑った。


「じゃあ……おあいこだね」


広がる甘い夜。ふたり手を繋いで、寄り添って、荷物を抱えたまま――


ゆっくり、ゆっくり……夜の城へ、帰っていった。


「……着いたな」


俺がぽつりと言うと、サクラは抱えた袋をぎゅっと握り直して、小さく頷いた。


「……うん」


でも、ふたりとも動けなかった。


繋いだ手を、どちらも離そうとしない。


むしろ、サクラはこっそり指を絡め直して、ぎゅっと握ってくる。


……やべぇ、かわいすぎる……


「……どうする?」


「……このまま……行こ?」


サクラが顔を真っ赤にして囁いた。


俺も、頷くしかなかった。


「……うん、行くか」


荷物を抱えたまま、手を繋いだまま、ふたりで静かに城の中へ戻る。


城内の廊下を歩きながら、誰かに見つかりやしないかって、ちょっとだけ緊張して。


でも、サクラの手の温もりが、そんな心配を全部溶かしていく。


……やばい、今だけで、もう限界……


隣のサクラも、顔を真っ赤にして俯いてる。


そして、俺たちは、自分たちの部屋の前までたどり着いた。


「……着いちゃったね」


サクラがぽつりと呟く。


「……ああ」


でも、まだ手は繋いだまま。


離れる気配もない。お互い、顔を見れなくて、黙ったまま立ち尽くす。


……ここから……部屋に入ったら……ふたりっきり、だよな……


考えただけで、心臓が破裂しそうだった。


サクラも同じだったのか、真っ赤な顔で、荷物を抱えたまま、もじもじと足を動かしている。


「……さ、サクラ」


「……な、なに?」


「……と、とりあえず、入ろっか……?」


「……う、うん……」


でも、手はまだ繋いだまま。


ドアの前で、ふたりで顔を真っ赤にして、また立ち止まった。


「……手、離す?」


「……や、やだ」


即答だった。


サクラが、さらにぎゅっと指を絡めてきた。


「アルトと……もっと繋がってたい……」


か細い声で、そんな反則級なことを言う。


待て……尊死確定だろ!!こんなん!!


「……じゃあ、もう、ずっと離さない」


俺もそっと返す。


サクラは、ふわっと笑って、小さく頷いた。


そっと、俺たちは扉を開けた。


荷物を抱えたまま、手を繋いだまま、ふたりで部屋の中へ。


閉まったドアに、軽く背中を預けながら――


「……あの……」


同時に口を開く。


「「っ……!」」


目が合って、慌ててまた視線を逸らす。


ドキドキ、バクバク。


心臓の音が、耳をつんざくくらい大きく響いていた。


荷物はそっと床に置いたけど……まだ繋いだ手は離さなかった。


「……な、なぁ」


「……うん?」


「サクラ、その……」


ドキドキしすぎて、言葉が続かない。


でも、サクラも、顔を真っ赤にしながら小さく言った。


「……私、今、すごくドキドキしてる」


「……俺も、やべぇくらい……」


小さな声で、ふたりで笑い合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ