表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/68

謎のコスプレ集団?!2

「俺にしか使えない力ってなんだよ!?しかも目覚めさせるって……意味わかんねぇし!今んとこ分かったのは、お前らがマジでヤベェ奴らってことだけだ!」


怒鳴りながら立ち上がった俺の声に、部屋の空気がピリついた――その時。


ピピピピピッ……!


無慈悲な電子音が響く。


「……」


「……」


「……え、今の音、まさか」


リオが優雅に指を鳴らした。


「ちょっと待ってくれアルトくん。ラーメンが完成したようだ」


「ちょっと待てだとぉ!?真面目な話の最中だろ!?今それかよ!?」


ミリがすっと立ち上がり、静かに呟く。


「とんこつ醤油×1、ピリ辛味噌×1、追加だ」


「え、うそだろぉ!?それ俺の最後のカップ麺のストックなんだけど!?月末まで生き延びる命綱なんだけどおおお!!」


レイは電子ケトルを片手に、無表情で言う。


「お前の生活水準、危険だな」


「お前が言うなよ!!誰のせいで今、食料危機になってると思ってんだよ!!」


リオがフタを外しながら、優雅に笑う。


「安心してくれアルトくん。君の人生は、今日から劇的に変わる。ラーメンのことは忘れるんだ」


「はぁ?今はラーメンが一番重要なんだよおおおお!!!」


部屋にラーメンの香りと、俺の怒声が入り混じる中――


「ん〜、やっぱり僕が選んだカップ麺は、格が違うな……!」


リオがナルシストオーラ全開で、まるで高級フレンチでも食ってるかのような顔で、ズルズルズルゥゥッ!!と、盛大に音を立てながらラーメンをすすっていた。


「……なぁ、リオ」


俺がジト目で見つめながらツッコむ。


「お前、その見た目としゃべり方でその食い方……キャラに合ってねぇし。」


「美しい僕が食べれば、どんな食べ方もアートになるのさ」


キラッと笑顔をかましてきたその時――


「……いや、お前の食い方はきたない」


ぼそっとレイがクールに突っ込んだ。


「うっ……!」


リオの動きが一瞬止まる。


その横で、ピピピッと鳴ったタイマーにミリが手を伸ばし、カチッと停止ボタンを押す。


「……3分ジャスト。完璧」


「さて、俺たちも2杯目食うか」


レイがとんこつ醤油に手をかける。


「ああ」


「ズルズル……」


「ズルズル……」


「……俺の部屋で、俺のラーメン食って、よくそんな悠長にしてられるな!!」


思わず叫ぶ俺。


リオがラーメンをズルズルとすすりながら、優雅に髪をかきあげ、ちらっと俺の方を見た。


「みんなが食べ終わったら…アルトくんを目覚めさせるとしようか」


「……は?」


ラーメンの湯気が部屋中に漂う中、俺だけが取り残されたような気分になる。


「ちょっと待て、今なんつった?目覚めさせる?さっきから何なんだよ?」


「ふふ…その答えは、もう少し後で」


リオは再び麺を持ち上げ、ズルズルと音を立てる。


「ふざけんな!意味わかんねーよ!!てか、なんでそんな大事な話の前にラーメンなんだよ!?お前らさっきから話す順番おかしいだろ!」


「腹が減っては戦もできない、ってやつだよ」


「俺は戦う気ねーよ!!」


ミリが無言でピリ辛味噌のカップを口に運びつつ、冷静に一言。


「空腹は集中力を鈍らせる。栄養補給は理にかなっている」


「そういう問題じゃねー!!」


レイはレイで、空のカップを机に置きながら淡々とつぶやく。


「……カップ麺の優先度は、俺も否定しない」


「全員ラーメン脳かよ!!!」


そして――


食べ終わったカップ麺の空き容器が、テーブルにずらりと5個。


ピリ辛味噌×3、とんこつ醤油×2、


「あああぁぁ!!俺の非常食がぁぁああ!!!」


叫んでももう遅い。食い尽くされたあとだ。


俺が部屋の隅でシクシクしていると、


「……そろそろ、始めるか」


レイが立ち上がりながら、深い紫の瞳で俺を見下ろす。


「ルカがまた遅いって喚くだろうしね」


ミリも静かに立ち上がり、黒いマントがひらりと揺れた。


「ちょ、待て!なんだよ、始めるって……囲むな!近寄んなって!」


ジリジリと俺を中心に三人が円を描き始める。背筋が一気に冷たくなる。


「安心するんだアルトくん!」


リオが謎に爽やかスマイルを決めながら言った。


「君は今から、僕たちの仲間になるんだよ!」


「はあああ!?いや、仲間入りとか希望してねぇから!!」


「大丈夫。希望は問わない」


ミリが無表情で補足。


「それもう拉致だろ!!?」


「イメージするんだ、アルトくん」


リオが右手を差し出す。


「なりたい自分を。君の力は、そこから目覚める」


「意味わかんねぇ!てかお前ら、さっきまでラーメン食ってただけだろ!急に目覚めさせるとか言われても困るって!」


レイがスッと手をポケットに突っ込みながら、低い声で言う。


「……俺たちも最初は、わけがわからなかった。でも目覚めた時、全てが変わった」


「歩音、逃げるなら今だ」


ミリが唐突に言い出す。


「えっ、いいの!?」


「無理だけど」


即答。


「なんなんだよこの流れぇぇぇ!!」


レイが一歩前へ出た。


「感じろ、歩音。内なる衝動を」


「厨二病かよお前らああああ!!」


叫んでも、逃げ場はどこにもなかった――。


いつしか俺は、意識が飛んでいた。


そして――目が覚めた。


ぼんやりと天井を見上げて、俺は頭を振った。


「……どこだここ?」


見慣れた天井じゃない。家具の配置も、壁紙も、匂いすら違う。完全に俺の部屋じゃなかった。


「まさか……夢か?」


起き上がった俺は、ぼうっとしたまま辺りを見渡した。


けど、どこを見ても知らない部屋。


しかも――あのコスプレ侵入者トリオの姿も、どこにもない。


「……いない、アイツら。レイ、ミリ、リオ……どこ行ったんだよ……」


胸の奥に、何かが引っかかる。


不安というより、違和感。


体が軽いような、でも地面の感触が妙に遠いような――


「なんだこれ……いつもの俺と、感覚が違う……?」


そのとき、ふと壁に目がいった。


そこにかかっていたのは、見覚えのあるグレーの制服。


「……あれ、レイたちが着てたやつ……?」


なんだこれ。なにがどうなってる。


呆然としながら、俺は立ち上がり、近くの姿見の前に立った。


「………………っ!」


言葉が、出なかった。


鏡の中には――


銀髪に、グレーの瞳を持つ俺がいた。


「これ……俺なのか……?」


声まで少し低く、澄んでいる。


触れた頬の感触も、見慣れない肌の色も、全部……違う。


なりたい自分をイメージしてみて――


リオのあの言葉が、脳内にこだました。


「……まさか、これが……」


ここから、俺の目覚めは始まっていたのかもしれない――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ