08. アリスタ伯爵邸(2)
暖かさが漂う部屋のカーテンの間から日差しが差し込み、メリの顔に垂れ下がった。
「……うん」
まぶしさに徐々に意識が目覚め、メリが目を開けた瞬間に見えるのは見慣れない天井だった。
「えっ!」
席から飛び起きたメリを周りを見回した。
「うわぁ!うっかりしてそのまま寝ちゃった!」
ぴんと上がってきた茶色の髪を両手で握りしめながら、内的彷徨に包まれるが、横に慣れた存在が目に入った。
「ビビ!」
それはフェアリー·ドラゴン『ビビ』だった。
嬉しい気持ちでビビに飛びついたメリは、龍が眠ることも忘れて顔をこすりながら嬉しさを示した。
メリの激しい歓迎の挨拶にビビも目覚めた。
「ピー?ピィィー!」
目が覚めるやいなや見えるメリを、ビビも喜んでハウリングした。
そのようにしばらく抱き合って安否を交わす中、メリがビビを持ち上げた。
「どこか怪我はないだろう⁉︎」
あちこちでビビの状態を注意深く見て、けがはないか確認した。
幸い、大きな怪我はなかったようだ。
「うん?」
ところが、以前は見られなかった宝石のようなものが見えた。
ビビの額の上にある青い宝石のことだ。
「これは何だろう、宝石か?」
不思議に思いながらあちこち見ていると、ビビの小さなワラビのような手がメリの指を握った。
「ピィ〜」
「へえ!とてもかわいい! 分かった!あなたに集中しろってことだよね?」
心臓を揺さぶる攻撃に、メリの顔がぐにゃぐにゃになっている中、ドアをノックする音が聞こえてきた。
「失礼します。 お嬢さん」
お嬢さんだなんて、なんだか見慣れない、ぎこちない呼び方だった。
「はい!」
「ピぃー」
部屋に入ったハンナは、なぜか昨日より丁寧な姿勢でメリに挨拶した。
「お目覚めですか、お嬢さん。 準備をお手伝いします」
そのようにハンナの助けを借りて、とても暖かいお湯で顔も洗って整頓をした。
もちろんビビと一緒にね。
「え···えっと、本当にこの服を着てもいいんですか?」
「ピィ!」
お風呂で洗って出てくる時に、準備された服がすごく…華やかだった。
貴族が着るような華やかで繊細な緑のドレスだった。
一目で見ても高級な生地の材質に小さな宝石で飾られたドレスは、メリが着るにはあまりにも豪華に見えた。
「はい、準備の後は伯爵様と朝食が予定されています」
「あ、朝食ですか? 伯爵様とですか」
「ピーピッ!」
初めて聞く話に、メリはあまりにも驚き、ついつい手に力を入れてしまった。
「あっ、ごめんね。 ビビ」
ビビが驚いて痛がると、メリがすぐに謝罪した。
これを見守っていたハンナが、メリを鏡の前に導いた。
「時間があまり残っていないので、すぐにお手伝いします! ビビ様はしばらくこちらへ」
ハンナはビビをベッド畑に移し、すぐにメリ がドレスを着るのを手伝い始めた。
(いや、まだ心の準備ができてないんです!)
心の中で涙をのんで侍女の手に身を任せた。
「本当にきれいです。 お嬢さん!」
ハンナの助けで着てみた最初のドレスはとてもぎこちなかった。
「ハハ、ありがとう」
何と言えばいいのか、案山子が人の服を無理やり着た感じというか。
「もう髪の毛の手入れだけ手伝います」
意外にもハンナは着飾ることに慣れているように見えた。
「ハンナさんはとてもお上手ですね」
メリの称賛にハンナは笑顔で感謝の意を表した。
「ありがとうございます。 お姉さんたちの装いを手伝ってみたらとても上手になった方です」
「お姉さんたちですか?」
「ええ、私の家族はみんな6姉妹ですからね。 私はその中で4番目です」
「わあ、大家族ですね。 私は下に双子の弟がいます」
家族関係を皮切りに、好きな食べ物など、一つ二つ話をしながら仲良く会話の扉を開いた二人は、慌ただしく準備を終えた。
「さあ、完成しました。 それでは行きましょうか?」
「ありがとう、ハンナ」
ハンナに感謝の意を表しベッドの脇におもちゃで遊んでいたビービーを持ち上げた。
「少々お待ちください、お嬢さん」
ドアの方に出ようとしたら、ハンナが手にかわいい赤いリボンを持っていた。
目的に気づいたメリ がビビをそっと前に出した。
ハンナはそのまま手に持ったリボンでビビに結んであげた。
「ビビ様も準備完了です」
「ピーィー!」
ビビも満足しているように楽しそうな泣き声を出して喜びを表現した。
「それでは、ご案内いたします。 ついてきてください。 お嬢さん」
ハンナの丁寧な案内を受けながら、メリは初めて部屋の外を出た。
◇◆◇
少年が伯爵の邸宅に着いたのは早朝だった。
「お疲れ様。 インフェルノ」
自分の飛龍を撫でながら降りた。
予想より早く到着したため、出迎えに来た使用人がいなかった。
そうして少年が竜馬場に足を運ぶ仲。
遠くに少年を見抜いた伯爵邸の使用人たちが早く近づいていた。
「ふぅ、いらっしゃい。 ライゼン様」
「久しぶりだね。 執事長、叔父さんは?」
予想より早く訪れた若旦那を遠く見て、どれだけ走ってきたのか。
血統も血統だが、何よりも伯爵様のその気難しい従姉であるスターク侯爵の一人息子がまさにこの赤い髪の少年だった。
その分、この赤い坊ちゃんもやはり意中を把握するのが非常に難しかった。
「朝食前ですが、ご案内いたしましょうか?」
「お願い」
涼しい少年のクムアンが執事に向かう度に、執事長は毎回内的に驚いた。
帝国でも非常に高貴な血統だけが持つ目だったから。
「ああ、ただお宅にお客さんがいらっしゃるので、その方もご一緒にお食事なさるとおっしゃいました」
執事長の敷延にそのまま振り返ったライゼンが、片目をしかめながら疑問を示した。
「…お客様?」
「はい、この前事件に巻き込まれた少女だと聞きました」
(列車テロ事件のことですね)
アリスタ伯爵が列車テロ事件を解決したというニュースは、すでに一週間前から帝国を襲ったニュースだった。
しばらくこのニュースで騒々しかったので、首都内で知らない人がほとんどいない状況に至った。
ライゼンはすぐに気にしなくなった。
少女がいてもいなくても構わないので。
しかし、彼はこの時まで知らなかった。
その少女が自分をとても煩わしくする存在になるということを。
◇◆◇
「ごくり」
伯爵、私は本当にとても華やかだった。
廊下の柱一つ一つには精巧な模様が彫られており、その貴重なものとされる磨製石が散らばっていた。
ハンナから聞いた話では、夜に屋敷を輝かせる電灯の役割をすると。
(これが噂に聞いていた貴族の邸宅だな)
ハンナはとても見慣れた道のように道案内をしていた。
半分ほど魂が抜けた表情で伯爵邸を見物しながらハンナの案内について行くと、邸宅内の他の使用人たちが見えた。
群れを成してひそひそ話す使用人たちの視線が、メリと肩の上に眠っているビビを流してみるのが感じられた。
(わぁ、露骨な視線だね)
気が利かないと言われたメリが感じるにも、好意的な目つきは少し珍しく見えた。
(ビビは眠ったな…)
まだ幼いからか、ひときわ眠りが多いビビは、その一瞬の間、メリの肩の上でうとうとしていた。
(ふぅ、できる)
ミスしないと誓って、ビビが落ちないように気をつけた歩き方でハンナについて行くのに集中しすぎたあまり、ハンナとぶつかってしまった。
「到着···」
「あっ」
立ち止まったハンナの背中にぶつかってしまった。
「大丈夫ですか、お嬢さん?」
「はい、大丈夫です。 ハンナは?”
痛い鼻をこすりながら、ぎこちない口調でハンナの状態を確認した。
「私は大丈夫です」
「ごめ…」
よそ見をした私の過ちであることをよく知っているメリは、ハンナに謝ろうとしたが、ハンナが人差し指を持ち上げてメリの口をそっと塞いだ。
「しっ、お嬢さん。 今謝ってはいけません」
特有の琥珀色を輝かせながら、小さくささやいた。
「見る目が多いです。 謝罪は後で別にいただきます」
-くしゃっと
「うん···はい」
メリが片方の目をしかめたハンナを魅了したように眺めていると、見慣れない音声が聞こえてきた。
「ショーは終わったの?」
声が聞こえてきた方にハンナとメリの頭が自然に戻った。
その方向には何気ない表情の赤毛の少年が立っていた。 少年と青年の間の境界にいるようで背がとても高い少年は、特有の金の中をひんやりと輝かせながら2人を見ていた。
征服を着た少年は貴族の子息に見えたが、よくできた筋肉の上に服の形が素敵に見えた。 その後は侍従と思われる人々を帯同していた。
「えっと···」
でも、なんだか見覚えがあるか?
「はっ、ライゼン様!」
少年の正体を知っていたハンナが先に頭を下げながら、少し怯えた様子でライゼンに挨拶をした。
(確かにどこかで見たんだけど···)
顔をしかめながらライゼンという名の貴族少年を顔をじっと見つめると、ハンナが止める手が感じられた。
「伯爵様の甥です。 とりあえず、先に退いてください」
メリはハンナの言葉を聞かなかったように苦心していた。
「あ!」
その時ちょうど思い出したメリが伯爵の私から離れろと大声で叫び、指で少年を指差した。
「あの時あのポーションをくれた貴族!」
「…ハ?」
荒唐無稽なライゼンの反問と同時に、メリ がライゼンに向かって早足で動いた。
「本当にありがとうございます! すごく助かりました!」
ライゼンが防ぐ間もなく少年の手袋をはめた手を握ったメリが手を上下に振りながら感謝の意を表した。
「はっ!」
周辺の使用人たちがメリの行動に驚く声が聞こえてこないように、メリはさらにビビを紹介してくれた。
「おかげさまでビビが無事に生まれました。 あっ、ビビはフェアリー・ドラゴンだって···」
「…」
「ピーィー?」
その時、メリの肩からぐっすり眠っていたビビが目を覚ました。
目覚めた龍に皆視線が注がれた。
-ぱちぱち
ビビの緑眼がライゼンに向かった。
「ピーィー!」
「ビビ⁉︎」
突然、ビビに肩から起きたビビが嬉しいというようにライゼンの懐に飛んでいった。
ライゼンの肩の上にぶら下がって、精一杯喜びを表現するビビを、皆が荒唐無稽な目つきで眺めていた。
「…ハ」
ライゼンがあきれたように失笑が続くが、その間にビビに尋常でないことが起きた。
-くしゅん!
まさに赤ちゃんドラゴンのくしゃみだった。




