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南極へ
「そうなんだ。でも、厄介な願いでな」パヤスは、そう言って、顔をしかめた。
「どんな願いですか?」イルカは、興味ぶかげに尋ねた。
「死んだ母親に会いたいんだとさ」
「え? そんな無理なこと」
詩音は、パヤスとイルカの話しを聞いていて、なんだか自分が、えらくワガママな願いごとをしたのではないかと、不安になった。
「これから南極へ行って、ナトゥーラに会いに行くつもりだ」
パヤスがそう言うと、イルカは、驚いたように見えた。
「南極にある、ナトゥーラの城に入るには、門番をやってる、二匹の妖怪を、なんとかしたいといけませんよ」
「パヤスにまかせろ」