幽冥界
詩音は、パヤスがそういうのを聞いて、一抹の不安を感じた。自分は、無理な願いごとをしたのだろうか?でも、お母さんには会いたい。詩音は、パヤスにいった。
「簡単じゃないことは、ぼくもわかってるよ。でも、どうしても、お母さんに会いたい」
「パヤスを信じろ」とパヤス。
詩音は、パヤスを信じることにした。突然、詩音は父親のことを思いだした。なにも言わずに、旅立ってよかったのだろうか、父親が心配して、あちこちと詩音を探し回っているのではないか。
詩音の表情を見て、ゴリアテスがいった。
「なにか、心配ごとがあるのかな」
「お父さんに黙って旅立ったから、心配しているじゃないかと思って」
「なるほど、それは気になることですね」とゴリアテス。
「だから、パヤスにまかせろ」とパヤス。
「でも、お父さんが」と詩音。
パヤスは、内心、詩音の心配はもっともだなとは思った。しかし、パヤスは、詩音にもっと勇気を持ってほしいと思った。パヤスは、今年で、1553歳になる。グアに魔法をかけられてから、300年。その間、25人のマスターの願いをかなえてきた。でも、詩音の願いが、いままでで、一番難しい。死んだ人間に会いたいというのだから。




