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幽冥界
パヤスと詩音が、川の前で立ち止まっていると、川の中から、突然巨大な魚が現われた。その魚が人間の言葉で話し始めた。
「おい、お前たち、どこへ行くのだ」魚の声は、大きかった。
「天国の門へ」とパヤス。
「なに? あそこへ行くには、トヒラーの帝国を通らなくてはならぬぞ」巨大な魚は、なにか怯えた様子だった。
詩音は、トヒラーとは誰なんだろうかと、疑問に思った。あのヒトラーみたいな独裁者なのだろうか?パヤスがいった。
「トヒラーなんて、パヤスの敵ではない」
「なに? あんたがパヤスか」
「そう、パヤスだ」
「噂で知っている。グアに魔法をかけられて、人形にされ、人間の願いをかなえるときだけ、もとの姿にもどるそうだな。その坊やがマスターか?」
「ああ、そうだ。死んだ母親に会うのが願いなんだ」とパヤス。
「何? ずいぶん無理な願いだな。まあいい。さあ、川を渡してやるから、背中に乗りな」
巨大な魚は、そういって、川辺へ寄ってきた。パヤスと詩音は、魚の背中に乗った。




