第6話
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出発してからはあまり背景の変化の少ない森の中を他愛のない話をしながら2人で歩いていた。
途中川を見つけて休憩したりをしていると出発してからおよそ5時間程が経とうとしていた。
2日連続でずっと歩いていたこともありそろそろ足もかなり痛くなってきた頃、急にマナさんが止まった。
「待って有希ちゃん」
真剣そうな声色でそう言いながら手を私の前に出して私を制止した。
「有希ちゃん、あれ見える?」
そう言いながらマナさんは視線を前に向けた。
同じようにマナさんの向いている方向を見てみると、そこにはまたしても今まで見た事のないものが存在していた。
森の少し開けた場所に何者かが1人何もせずに立っていたのだ。
普通の人が立っているのなら逆に新たな人を見つけたと喜ぶことが出来るのだが、その人、いや、人では無いのかもしれないそのものは明らかにおかしい見た目をしていた。
そのものは全身が黒い炎のようなものを纏っており、人型であることは認識できるけれども黒い炎はかなり濃い黒で見ているだけで吸い込まれそうな見た目をしていた。
そんな見た目だけでも異様な存在が今私たちの目の前でこれまた異様な状態でいるのだ。
しばらくその存在を見てから私たちはバレないように言葉を交わさずにアイコンタクトで意思疎通を行なうと、ゆっくりと別の方向へと向かおうとした。
が、その瞬間、いきなりあの異様な存在が動き出した。
それを見て私たちはもう一度動向を観察するために立ち止まった。
異様な存在はゆっくりと、まるで映画などに出てくるノロノロとしたゾンビのように辺りをうろつき始めた。
その不思議な行動に動くに動けなくなり、しばらく動向を見守っていると、またしても急に止まった。
その瞬間、再びアイコンタクトをとり、動こうとした途端、マナさんが焦った表情で叫んだ。
「有希ちゃん!後ろ!」
咄嗟にそう言われた私は反射的に後ろを見てみると、そこにはさっきまで遠くにいたはずのあの異様な存在が私の後ろにまで迫ってきていた。
声の出ない驚きをしつつも本能的に後ろに下がろうとすると、それを補助するようにマナさんが私の肩を掴んで後ろに引っ張りながら私の前に出て持っていた槍で異様な存在の頭を目掛けて突き刺した。
しかし、突き刺したはずの槍は一切の抵抗を感じずに相手の頭の中に入っていき、槍が相手の中に入っていくことでマナさんはバランスを失って倒れてしまった。
マナさんの手に持った飲み込まれなかった槍の部分を見てみると刃の部分などは無くなっており、長さも元の3分の1ほどにまで短くなっていた。
相手は倒れたマナさんの隙を逃さずに攻撃をしようとしているのか手をマナさんに向かって振りかざした。
その瞬間、
「まかせて」
どこからかそんな声が聞こえたように感じた。
その瞬間、私の横をものすごい速さで何かが通り過ぎた。
そしてその瞬間、マナさんを襲おうとしていた異様の存在の胴体が真っ二つに切り離れた。
いきなりのことで驚きつつも、私はおそらくこの異様な存在を切ったのであろうさっき私の横を通った人をじっと見つめていた。
片手に短剣を持ったその女性は私たちとは違ってしっかりとした服を着ており、それに何よりも目立っていたのは頭に猫耳が生えていることだった。
長めの茶髪に同じような色の目、また、動きやすそうな短めの服を着たクールなオーラを纏っているその姿は私にさっきまでのとはまた少し違った緊張感を与えてきた。
その女性は振り向くと今さっき切った異様な存在のことを見ていた。
すると、切られたはずの異様な存在は2つのパーツがその女性の方に球のような形になって飛んで行った。
ただ、その動きにもしっかりと反応してその女性は上にとても高くジャンプした。
そのジャンプの高さは木の高さほどまでに達し、その後マナさんの隣に着地した。
「あなたは下がってて」
落ち着いた声でマナさんに向かってその女性は呟いた。
マナさんも戸惑いつつもコクンと頷いて私の方に移動してきた。
その時彼女の体に何か違和感があるのを感じた。
違和感の正体を探るべく彼女の体を見てみると、少し足が曲がって見えた。
今度は人ではなく一瞬見た感じ氷の塊、いや、塊と言うにはもう少し小さくも感じる尖った氷のようだった。
その氷塊はそのまま再生しようとしていた異様な存在にダイレクトに当たり、その瞬間、氷塊によるものなのか体全体に氷が広がり始め、一瞬にして体全体が凍ってしまった。
そこをすかさず彼女がもう一度短剣を構えるとまたしてもとてつもない速さで異様な存在へ突っ込んで行った。
それによって異様な存在は凍っていたこともあり一気に割れて粉々になると、その破片が蒸発し始めた。
そしてものの数秒で元々異様な存在が立っていた場所には何も残っていなかった。
その一部始終を見ていた私たちはどうすればいいのか分からずにその場で立ち往生していた。
すると、彼女は私達の方に歩いて近づいてきた。
「えっと…… ありがと……」
と、お礼を言おうとしたらそれに被せるようにして彼女が私に質問をしてきた。
「あなた、名前は?」
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