第17話
紫色の髪を片側に寄せている赤い目の彼女はそう言うと、後ろに数人いた鎧で身を包んだ人達の方を向くと、被害状況の確認を指示した。
実際にこうやって話しかけられたことは初めてではあるけれど、私はこの人を一方的に知っていた。
彼女の名前はイルヴァさん。
彼女はこの国で実質的なナンバー2にまで上り詰めているらしく、権力としては国王の次に強いとされているらしい。
どうして国王がプレイヤーを嫌っているのにも関わらずここまで権力を手に入れることが出来たのかいろいろと謎がある人物だけども、実際プレイヤーに対しての圧力の緩和のために行動しているらしい。
クロナさんにそう教わった時、フェルミさんとイキシアちゃんはイルヴァさんのことをあまり良いようには感じていないらしく、イルヴァさんのことは話題に出さない方がいいと釘を刺された。
「いえ……こちらこそ助けてくださりありがとうございました」
「いや、私は礼されるほどのことは出来なかったよ、実際あなたがいなければもっと酷い事態になっていたかもしれない訳だしね。 この礼はまた後日させていただけるかしら?」
そう言われ、私は一時は断ったが、イルヴァさんの方が引き下がらなかったため、私が折れて礼を受けることになった。
フェルミさん達には言った方がいいのかどうなのか悩みつつ、私は家に帰った。
帰る道中悩んだが、結局イルヴァさんのことは言わないことにした。
クロナさんがそこまで言うほどフェルミさんが嫌う理由も気になるけれども、いずれ聞く機会があるだろうと思い、眠りについた。
次の日、クロナさんとの練習の予定もチルドレンの討伐依頼もなかったため、やることがなかったため、カテロリアに向かった。
かなりの時間歩き続け、ようやく目的地の図書館に着いた。
王宮のすぐそばにある国家図書館、かなり大きさであるけれど、近くにそれよりも数倍大きい王宮があるせいで小さく見えてしまうその建物には多くの書物が置かれていた。
基本貸し出しはされず、読むには図書館の中で読むしかないため、暇で気が向いた時にここに来てはいろいろと歴史書などを見ている。
私はいつもの通りに適当な書物を取ると、近くの椅子に座って読み始めた。
あれからどれほどの時間読んでいたのかは定かでは無いけれど、2時間は超えていた気がする。
その時、私の肩を誰かが叩いた。
私が後ろを向いてみると、そこに立っていたのはイルヴァさんだった。
「こんにちは、昨日ぶりだね。 良かったら一緒に来てくれるかしら?」
この国で生活している以上、その言葉を断ることは出来なかった。
私が本を閉じ、戻そうと本棚に向かおうとすると、イルヴァさんが特別に本の持ち出しを許可してくれたので、私はその本を持ったままイルヴァさんとどこかに向かうことになった。
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