第15話
あれから一ヶ月程が経過した。
一ヶ月も生活していると、当初は不安ばかりだったここでの生活も安定してきて、住めば都と言う言葉は本当なんだなと思った。
一ヶ月の間で変わったことと言ったら私が基礎的なものだけであるけれど魔法を使えるようになったことでたまに4人でチルドレンの討伐に向かったりすること、それと、小さなことかもしれないけれど、マナのことを呼び捨てで呼べる程には仲良くなることが出来た。
マナはどうやら17歳で私と同い年だったらしく、私が急に呼び捨てでマナと呼んでみたら驚いたようだったけど嬉しそうにしていた。
マナの印象は出会った頃とは変わらずに、元気のあるいい人って感じのままであった。
目新しいことなどに遭遇すると目を輝かせて嬉しそうにするため、その姿を見るとこっちまで元気が出てくる。
フェルミさんは最初はクールな真面目な人のように感じていたけれども、基本はそのままなのだが、たまに抜けている部分があり、逆にそこに人間らしさを感じて親近感が湧いた。
ただ、やっぱりフェルミさんは呼び捨てするよりもさん付けの方がしっくり来ている。
イキシアちゃんは最初は私たちよりも下の年齢であることで幼いような印象を受けていたけれども、実の所この4人の中で一番しっかりしていて、いつも私たちをまとめてくれている。
ただ、たまに見せる子供らしさがとても可愛く思える。
イキシアちゃんもフェルミさんと同じように、やはりちゃんが一番しっくり来た。
私は今魔法の練習をしてもらうべく、クロナさんといつもの王都から少し離れた平原に来ていた。
クロナさんはいつも落ち着いている喋り方をしていたり、ダウナーそうな見た目から何を考えているのか未だに掴めないけれども、指導に関してはとても的確にアドバイスをしてくれて、改めてクロナさんの凄さを感じていた。
練習が終わった後王都に戻ると、私たちは別れる前に二人で昼食にすることにした。
レストランのテラス席で私たちは向かい合わせに座り、料理が運ばれているのを待っていた。
特に喋ることは無く、クロナさんは黒い手袋をはめた手で頬杖をつきながら辺りを見ているようだった。
「クロナさんっていつも手袋をつけてますよね」
「ああこれね、昔ちょっと色々とあってね、手がかなり酷い状況なんだよね。 だから人に見せないようにずっと手袋をつけてるんだ〜 有希ちゃんもプレイヤーだからないとは思うけど怪我には気をつけてね。 これから先何があるか分からないんだし」
クロナさんがそう言い終わるのと同時に席に料理が置かれた。
「さ、早く食べちゃいましょ」
クロナさんはそう言うと、私より先に食べ始めた。
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