第14話
そうして着替えてからひと段落すると、クロナさんが私たちに話しかけてきた。
「二人とも気に入ってくれたみたいだね〜 って、そういえばまだ自己紹介をしてなかったね。 二人のことは先にフェルミちゃんからある程度は聞いているから改めて言わなくても大丈夫ね。 私の名前はクロナ、種族は人類種で見ての通りの魔法使い。 それじゃー二人ともこれからよろしくね」
私とマナさんは改めてよろしくお願いしますと言いながらお辞儀をした。
「そうだクロナ、有希の魔法の指導を頼んでもいいかしら? 多分あなたに頼むのが一番いいと思うのだけど」
「全然いーよー 正直この店人こないから暇だったしいつでも来てくれて大丈夫だよ」
「そういうことで有希は大丈夫かしら?」
フェルミさんにそう確認され、私は特に断る理由もないためすぐに大丈夫ですと返事をした。
あれから私たちはクロナさんの店を出て、カテロリアの中を三人で歩いていた。
辺りを見てみると私たちと同じような服装の人もいたが、庶民服のような服装の人が多い印象を受けた。
そんなことを思いつつ三人で歩いていると、大きな広場に出た。
広場では仕事のために移動をしようとしている人や、中央にある噴水の元でのんびりしている人など多くいた。
広場を見渡しながら歩いていると、その場に建てられていたひとつの銅像が目に入った。
おそらく等身大であろうその銅像はとても凛々しい女性のようだった。
私はこの銅像を見てなんだか不思議な気持ちになった。
どうにもこの人をどこかで見た事のあるような……そんなデジャヴ感を謎に感じていたのだ。
もっと銅像をよく見てみると土台のところには文字が掘られており、そこには、
第12代国王――サルビア・フリーズ
とだけ書かれていた。
私がそう銅像をみていると、フェルミさんが話し始めた。
「サルビア・フリーズ、今から一つ前の国王ね。 もう亡くなっているらしいけれどね…… ちょうどプレイヤーがこの世界に来るようになった頃の国王だった彼女はどこから来たのかも定かじゃないプレイヤー達をこころよく出迎えたようよ。」
「へえ…… この人が……」
「それに、噂によると、彼女もこの世界の人でありながら何か他の人とは違った力を持っていたって話もあるわね。 もしそれが本当なら、そのおかげでプレイヤーに対しての不信感が少なかったのかもね」
フェルミさんがそう言うと、マナさんが不思議そうに質問した。
「でもでも、プレイヤーが多いのはこの国じゃないんでしょ? そんなことがあったら普通ここにプレイヤーが多くなりそうだけど……」
「それが今の国王があまりプレイヤーを好んでいなくてね、プレイヤーに対してはちょっとした差別のようなこともあるわね。 昔は今の国王もプレイヤーに対して友好的だったんだけどね」
その後、広場から先に進む時、再び横目で銅像を見たあと、移動していった。
あれからしばらく国内観光をした後、私たちは元の家に戻った。
戻って見ると、家の中にはイキシアちゃんがいて、私たちの格好を見るやいなやとても絶賛してくれた。
あまり褒められ慣れていなかったので褒めてくれたことがとても嬉しかった……
その後は昨日と同じように夕飯を食べたあと、各々自分の部屋に戻った。
いろいろと手に入ってこれからの生活に胸を躍らせつつ、私はその夜は眠りについた。
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