第13話
カウンターにいる女性は黒い髪に、黒い目、そして目の下には軽くくまができていた。
魔女のようなローブに、手には黒い手袋をつけているようだった。
表情としては落ち着いているような疲れているような何を考えているのかよく分からない顔をしていた。
私がその女性にお辞儀をしていると、フェルミさんがその女性に話しかけた。
「久しぶりクロナ、昨日頼んだものは用意出来ているかしら?」
「もちろん用意出来てるよ〜、ちょっと待ってね〜」
そう言うとクロナさんと呼ばれていた女性は店の裏の方に向かった。
「そういえばフェルミさん、昨日頼んだっていつ頃頼みに行ったんです?」
マナさんが不思議そうにそう聞いた。
「ん? ああ、それはこれを使ったのよ」
そう言うと、フェルミさんは自分の耳についているイヤーカフを指さした。
「それは……?」
私がそう疑問に思っていると、クロナさんが戻ってきたようで説明し始めた。
「それは《《トーンリンク》》って言ってね、遠くの人とも会話のすることができるアイテムだよ、ほら、私の耳にも」
そう言いながらクロナさんは自分の髪をかきあげて耳を見せた。
すると、フェルミさんと同じものがクロナさんにもついていた。
「そんな電話みたいなのがこの世界にもあるんですね……」
私が驚きながらそう呟いた。
「とりあえず頼まれたのはこれで全部だね〜 二人の分の服とトーンリンクと鞄と……あとは、杖と槍だね」
そう言ったクロナさんの前のカウンターには今言われたものが置かれていた。
それらを見て私は昨日の夕飯の後の会話を思い出した。
夕飯の後、フェルミさんに使いたい武器とかはあるかと聞かれていた。
私はいろいろと考えてはいたけれども、正直何を持っても足でまといになる未来しか見えず、思い悩んでいた。
そうしていると、フェルミさんは特に何も無いなら魔法を使うのはどうかしらと勧めてきた。
理由としては剣とかよりも杖の方が身軽であったりってこともあるが、何よりもチルドレンを倒すためには魔法が必須であるからいると助かると言うことだった。
元から魔法についてフェルミさんが述べた時から少し気になっていたため、私はその提案の通りに魔法使いになることになった。
目の前に置かれた杖を見てみると、長さは手から肘くらいまでの長さの暗めの茶色の木でできていた。
その木の特徴なのか、そういったような装飾なのか、その杖はまるで硬い蔓が巻かれているような見た目だった。
恐る恐るその杖を手に取ってみると、思っていたよりもしっくりときた。
そのしっくりさに少し驚きつつ、その杖を少しの間見つめていた。
その後、マナさんの方を見てみると、マナさんもすごいすごいと言いながら自分の槍を手に持ってはしゃいでいた。
銀色でできたその槍は全てを反射しそうな程の金属光沢で、武器のことを知らない私でも良いものだとわかる程だった。
そうしてそれぞれ自分の武器を触ったあと、フェルミさんにどうせだし服とかも着ちゃってみたらと言われ、私たちは同じように置かれた服に着替えた。
私の服装は海外の学校の制服にでもありそうな軽めの服装に、肩にもうひとつ軽い布を羽織ったような感じだった。
杖は左の腰に刺し、いつでも右手で取れるようになっている。
マナさんの方はイキシアちゃんともまた違ったようなドレスアーマーのようで、背中に槍を背負っていた。
「おお! 有希ちゃんより可愛くなったね!」
マナさんが私の姿を見て嬉しそうに言った。
「私の服装はどうかな!?」
続けてそう言うと、マナさんは私の前で全体を見せるように一回転した。
「うん、いいと思うよ」
「へへ、ありがとう有希ちゃん!」
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
これから先が気になる!更新頑張って!など、この作品に少しでも興味がある!って方は、是非とも評価して下さると、書いていくことの原動力になります!
好評批評どちらも大歓迎です!
それでは!次回もお楽しみに!