第12話
イキシアちゃんが見えなくなるほどに離れると、またしても脳内に語りかける超えが聞こえてきた。
「それじゃあそろそろ飛ばすわよ! 掴まって!」
「えっ……?」
その言葉に私がそう反応するのとほぼ同時にいきなりフェルミさんはスピードを上げ始めた。
かなりの速度で体全体に凄い風が吹き、今にも飛ばされそうな程だった。
「ひやああああああ!!!!」
「おおおおおおおお!!!!」
私があまりの速度に悲鳴を上げる中、マナさんは楽しそうに叫んでいた。
その状態でしばらくの間進んでいくと、奥の方に今までとは違った景色がちらっと見えた。
そしてその速度のままその方に進むと、進んだ先は一昨日私の起きた場所のような広い平原だった。
ただ、ひとつ違うことがあり、先の方に小さく何かがあるのが見えてきた。
フェルミさんはその方向に迷うことなく進んでいった。
近づけば近づく程にその何かははっきりとしていき、大きな都市であるのがわかった。
周りには外壁が広く建てられているのが見え、その壁を遥かに超える大きさの城がここからでもよく見えた。
「うおおお! もしかしてあそこが!」
「そう、あそこがカテロリアよ。 さあ、あと少し、飛ばすわよ!」
フェルミさんはそう言うと、さらにスピードを上げた。
そして、それと同時に私の悲鳴が平原へと轟いた。
正面の門をくぐってすぐの路地裏で私はぐでっとのびていた。
「ごめんなさい、そんなになるなんて思ってなくて……」
狼から元に戻ったフェルミさんは申し訳なさそうに言った。
「いえ…… 大丈夫です…… ただ帰りはもう少し優しくお願いしま……」
私はそこまで言ったところで気を失った。
「あれっ!? 有希ちゃん!?」
そんな私を見てマナさんは驚きと心配さを含んだ声でそう言った。
幸いにもすぐに気を取り戻すことができ、起きると気分は少し楽になっていた。
マナさんが大丈夫と心配そうに言ったけれども歩けるくらいには回復していたから大丈夫だと伝えた。
「それじゃあそろそろいこっか。 二人とも着いてきて」
フェルミさんはそう言うと歩き出した。
フェルミさんに着いていくと、路地裏を抜けて大通りへと出ていった。
大通りへ出ると、そこはとても賑やかな街だった。
中世の世界観のようなファンタジーな建物に、辺りには多くの人がそれぞれの作業を行っていて、一言で言うと、とても活気に満ち溢れていた。
マナさんはそんな街並みを見て、すごいすごいと言いながらはしゃいでいた。
私もマナさんほどではないにしろこんな感じの所には来たことがないため辺りを見渡しているだけでもとても面白かった。
街並みに見とれてフェルミさんとはぐれそうになりながらも私たちはフェルミさんの向かっている場所へ進んでいった。
しばらく歩くと様々な店が並んでいる場所へ着いた。
それぞれの店には誰でもわかりやすいようにその店を表す絵が書かれた看板が店のドアの上の方に提がっていた。
すると、フェルミさんはある店の前で止まった。
その店の看板を見てみると、剣と杖がクロスになっている絵だった。
この絵から想像するに、きっと武器屋の類なのかと思っていると、フェルミさんはその店のドアを開いた。
私たちもそれに続くようにその店の中に入った。
中に入ると、中には色んな武器が置かれているのがまず目に入った。
普通の長剣に看板にもあった通りに杖も置かれていて、特殊なもので言ったらモーニングスターなんてのも置かれていた。
「おっ、いらっしゃい。 待ってたよ〜フェルミちゃんと新たなプレイヤーさん」
聞いた事のない落ち着いた声が店の奥の方から聞こえ、声の方向を見てみると、店のカウンターで頬ずえをつきながらこちらを見ている女性がいた。
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