第11話
次の日、一階に降りてみるとイキシアちゃん一人だけが居て、朝食を作っているようだった。
「お、有希さんおはようございます。 よく寝れましたか?」
「あっ……うん。 ずっと歩いてたからかなり疲れてたみたいで……」
「それは良かったです。 もうそろそろ朝食が作れるので座って待っててください」
イキシアちゃんは笑顔でそう言うと作業に戻った。
私が言われた通りに一人で昨日座っていた場所にちょこんと座っていると、フェルミさんが階段から降りてきた。
フェルミさんともイキシアちゃんと同じような会話をした後、フェルミさんも昨日と同じ場所に座った。
しばらくするとマナさんも降りてきて、それと同じくらいに朝食が運ばれてきた。
朝食はパンと目玉焼きといった洋風のものだった。
全員が座り、食べ始めると、フェルミさんが話し始めた。
「そうだ、二人とも今日はカテロリアの王都に行くわよ」
「カテロリアって確かここから一番近い国でしたよね?」
私がそう聞くと、イキシアちゃんが誇らしげに答えた。
「そう! 世界で一番の人口と領土を持った国カテロリア。 人類種が一番多くて農業、剣術、魔法学など様々なものが発展している国よ!」
「二人とも服も武器も何も持っていないでしょう? だからそれらの調達と、せっかくだし観光とかもしていきましょう」
フェルミさんがそう言うと、マナさんは嬉しそうに喋り始めた。
「カテロリア! いやーどんな国なのか楽しみだなー!」
「いい国だから楽しんできてちょうだい!」
イキシアちゃんは嬉しそうにそう言った。
朝食を食べ終わったあと、フェルミさんの準備を待った後、私たちは外に出た。
「イキシアちゃんは行かないの?」
マナさんがそう聞くと、イキシアちゃんは未練の詰まった顔をしながら答えた。
「ははっ…… 本当は私も行きたいけど私はちょっとやることがあるからお留守番してるね」
「それじゃあ二人とも行くわよ」
「そういえばフェルミさん、ここから王都まではどのくらいかかるんですか?」
私がそう質問すると、フェルミさんはニヤッとして答えた。
「ほんの数分で着くわよ。 これ持っておいて」
そう言うとフェルミさんは私たちに荷物を手渡した。
すると、いきなりフェルミさんが光に包まれた。
いきなり光ったことに私とマナさんはびっくりしていたけれど、イキシアちゃんは特に驚いている様子はなかった。
すると、その光はだんだんと姿を変えたと思うと、あっという間に別のものに変化した。
その姿は私を襲ったものよりも数段大きい数人が乗れそうな程に大きな狼だった。
「これってもしかして……」
「もしかしてこれが変身の能力!? 一瞬で狼に変わっちゃった!」
マナさんは狼になったフェルミさんを見て無邪気な表情でそう叫んでいた。
すると、脳内に語りかけてくるようにフェルミさんの声が聞こえてきた。
「さあ二人とも乗って。 これならすぐに王都に着くわよ」
そう言われ、私たちは渡された荷物とともにフェルミさんに乗った。
すると、それじゃあ行くわよと言うフェルミさんの声がまた聞こえてきた。
すると、フェルミさんは私たちを乗せて走り始めた。
「みんないってらっしゃーい!」
声の方を向くと、イキシアちゃんがそう叫びながら大きく手を振っていた。
私とマナさんもイキシアちゃんに手を振り返して、カテロリアへ向かった。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
これから先が気になる!更新頑張って!など、この作品に少しでも興味がある!って方は、是非とも評価して下さると、書いていくことの原動力になります!
好評批評どちらも大歓迎です!
それでは!次回もお楽しみに!