0 はじまりのとき
まえがき ファンタジーなバトルもの書きたいのでチャレンジ!
「あの勇者、また魔王を討伐したんだって?」
「ああ、もうこの世界を20回は救っているらしいな。本当によく出来た素晴らしい方だよ」
小さなスライムを倒しながら2人の男が会話をしていた。その両方は鎧を身に付け、スライムの粘液が残る剣を所持している。おそらく傭兵だろう。
彼らの近くには馬車があり、どうやらその馬車を守っているようだ。
勇者
そうそれは、異世界から来た特別な力を持つ者。その力は、戦った経験がない者ですら最強にのし上がれるほどの物だ。天すらも操り、運命を切り開き、悪を倒す。正義の象徴でもある。
「いっつも疑問に思うんだけどな、自分の世界に帰らないんだ? 魔王を倒せば帰れると聞いているんだが」
勇者という存在は、魔王を倒せさえすれば自らの大地に帰ることができる。だから何十年も異世界にいて、何十回も魔王を倒す必要がないのだ。
「しっかし、その勇者を求めて人間同士が争ってちゃ意味ねえけどな」
この異世界にいる勇者とつながりが持ちたいと、いろんな王国が奔走している。ある国王は娘と勇者を結婚させようと、ある国王は勇者を奴隷化させようとしているらしい。
一個人すらも勇者を求めている。お兄ちゃんになって欲しい、弟になって欲しい、お父さんになって欲しい、娘になって欲しい、恋人になって欲しい、と。
そうこの物語は、あらゆる人に追いかけられる『勇者』の話である。