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第1話 異常枠5 特殊艦船とゲームの仕様(キャラ名版)

 複数のプレイヤー氏が跋扈していた桟橋から、かなりの距離を歩いて来た。本当に広大な桟橋である。流石に今の場所となると、停泊している艦船は殆どない。


 あるにはあるが、多分それは喧騒を嫌ったプレイヤー氏の艦船だろう。俺も喧騒は嫌いな方なので、彼らの思いは十分理解できる。


 程良いスペースが空いている場所へと移動すると、桟橋より海の方へと向く。仮想現実の世界とは言え、眼前には苦手とする大海だ・・・。足が竦むのは言うまでもない・・・。


 ただ、傍らのデュリテから尋常じゃない興味のオーラが発生しており、それはプレゼント艦船を速く見せろという威圧そのものだ。


 溜め息を付きつつ、胸にぶら下げるペンダントのプレゼントの艦船を解放した。ここも流石はゲームである。艦船の解放を促すウインドウが出現するのは見事なものだわ。


 決定の選択肢を選ぶと、ペンダントが光の粒子となって眼前の大海に舞い降りる。そこから先程テイアの空間で拝見した具現化大和へと様変わりしていった。どう言った仕様なのかと、俺としてはこちらの方が興味を引かれる思いである。



デュリテ「・・・・・。」

マスターT「そうなりますよねぇ・・・。」


 現れた大和を目の当たりにして、茫然自失となるデュリテ。普通なら俺の方も、少なくとも優越感が出るのだろうが、今は呆れ雰囲気の方が強く出てしまう。


 彼女の茫然自失な感じは、ゲーム内の羨ましさなどもあるのだろう。だが、その大半は俺と同じだと思われる。リアルではレプリカ大和を何度も扱ってきた手前、言葉は非常に悪いが見飽きた感じが否めない。


 それに、海王の艦隊を先行プレイしているデュリテにとって、高レベルの艦船ほど使えない現状を把握し切っている。特殊仕様の日向を使えないとしているのがそれだろう。つまり、俺は今現在目の前の具現化大和を使う事ができないのだから。


デュリテ「・・・貴方の強運には超驚かされます・・・異常枠ですよこれは・・・。」


 そう言いつつ、再びステータスウインドウを開いて見せてくる。指定されたページには、プレゼントとして頂ける艦船の様相が映し出されていた。



 創生者ことテイアから頂けるプレゼント艦船。これが何になるかは既に告知済みのようだ。デュリテが見せてくれたページには、その一覧がズラッと表示されていた。特に重要なのは、そのプレゼント艦船を引く確率である。


 大多数の艦船群は低確率が多く、彼女ご自慢の特殊仕様の日向は5%程度の確率だった。それに対して俺の具現化大和は、何と0.001%の確率とある。どれだけの低確率を引いたのかを痛感させられた。


 それに彼女が言うには、今の所大和を所持しているプレイヤーはいないらしい。あまりにも低確率なのと、やり直しが利かない点が所有率を下げ捲くっているようだ。更にはアカウントの問題もある。


 海王の艦隊のアカウント自体は、個々人が1つしか持てない仕様だ。どう言った仕様かは不明だが、プレイヤーの指定登録のウンタラとかで絶対に複数持つ事ができないようである。それを踏まえれば、超低確率の大和を一発で引く事は幸運極まれない様相だと言えてくる。


 そんな超鬼仕様的な感じ故に、俺が具現化大和を引いた現状。デュリテが茫然自失となったのは、それらも全て踏まえての事のようだ。



デュリテ「はぁ・・・何と言うかまあ・・・。」

マスターT「何とも・・・。」


 彼女は俺の超幸運の様相を、こちらは具現化大和を引ける確率の様相を見て、呆れるしかなかった。何と言うかまあ、本当に呆れるしかないのが実状である。


マスターT「まあ何だ、これがあっても今は使えないしな。現状は1回限りの使用になるし。」

デュリテ「大和となると、相当な赤字となりますからね。こちらから軍資金をお渡しする事は可能ですが、それでも2試合程度しか出せないでしょうし。」


 そう言いつつ、再びステータスウインドウを見せてくる。窺えたのは、彼女が今までに試合を行った結果表だ。その数は何と数万試合にも及んでいる。その中で分かったのは、1試合で頂ける軍資金は微々たるものである事だ。


 初期型の艦船は格安で入手が可能のようで、初回プレイ時に初期費用として所持している軍資金でも購入は十分可能となる。それ以降の上位ランクの艦船となると、結構な費用が必要となってくるようだ。


 デュリテが数万試合も行ってきたのは、それだけ試合を踏まないと軍資金が得られないという現れである。まあアレだけの艦船群を揃えている手前、そのぐらいの努力は必要となるのだろうな。


デュリテ「まあともあれ、私もこちらに日向を移動させます。ここを拠点としましょう。」

マスターT「日向に大和、か。非常に目を引く事この上ないわ。」


 徐に一服をしようとするが、今現在は煙草を持参していない。その様子を見て小さく笑う彼女。すると、懐から煙草セットを取り出し、その中の1本を譲ってくれた。


 海王の艦隊はVRMMOに属する。故に非常にリアリティある行動が可能だ。喫煙も同様であり、購入さえすれば無尽蔵に煙草が吸えるという。リアルでは有り得ない様相である。


 ただし、年齢制限の壁もある。成人を迎えていないプレイヤー氏には、喫煙や飲酒は不可能との事だ。ゲームの仕様から、それらを受け取っても使う事ができないらしい。強制的に身体が拒むようである。


 同様に犯罪的な行為も強制的に抑制が発生するようだ。ここまでリアリティある様相なら、男女間のアレも起こり得る。そうさせない仕様はしっかりと健在のようだ。


デュリテ「何やら如何わしい事を考えているようですが・・・。」

マスターT「何とも。」


 そんな俺の胸中を、見事なまでに読んできたデュリテ。これに関しては俺達特有の念話がそうさせてくる。VRMMO内に念話は持ち込めないが、リアルの俺達にはそれが常時発揮されているからだ。


 それに俺の胸中は見事なまでにダダ洩れ状態である。VRMMOを稼動中は、言わば夢心地の様な状態である。となれば、胸中で思った事など意図も簡単に流れ出るだろう。



マスターT「その犯罪的な行為で思ったんだが、プレイヤーキラー的な行為はどうなんだ?」

デュリテ「あー、その手の行為はカットされてますよ。」


 諸々の疑問を挙げると、再びステータスウインドウを開いて見せてくる。表示されたのは、海戦においてのルール云々だ。


 試合自体は複数ある。相手がCOMとの対決と、俺達と同じプレイヤー同士の対決だ。更に別の試合形式もあるが、大雑把に分ければこの2つが目玉と言える。


 先程挙がった疑問に関しては、味方同士ではダメージは一切通らないらしい。艦船同士の接触でもダメージは入らないようだ。ただし、敵味方の場合は致命的なダメージが入るとの事である。


 まあリアルから考えれば、味方同士であっても艦船同士の接触では轟沈の可能性もある。そこはゲームの仕様としてカットされているのだろうな。


デュリテ「この様に、味方同士ではプレイヤーキラーな動きはできません。ですが・・・。」

マスターT「敵を押し付けたりはできる、だな・・・。」


 デュリテほどゲームには詳しくはないが、同じ警護者として大体の様相は掴めてくる。敵側の艦船を無理矢理押し付けるそれだ。確かトレインと言われていると思われる。


 まあこれも試合の様相からすれば、押し付ける様な流れになってしまうのもある。これは推測ではあるが、そこはゲームの仕様がプレイヤーの心理状態を察知するのだろう。つまり、その行動が偶然的なのか意図的なのか、だ。


デュリテ「過去に何度かそういった様相には至りましたよ。まあその時は故意ではないので、偶然で起こった産物でしたけど。」

マスターT「直感と洞察力が鬼のお前さんなら、相手の心境など手に取るように分かるしな。」


 俺の言葉にニヤリと笑みを浮かべる。警護者になった当時のデュリテことデュリシラは、今ほど実力を有してはいなかった。それが各事変を経て、シューム達に匹敵する女傑へと変革していった。顕著なのが直感と洞察力である。


 シューム達に近しい力を経た手前、日常での危険な雰囲気を逸早く察知する術を身に着けるまでに至っている。リアルの様相を事細やかに再現されるVRMMOであれば、その能力は遺憾なく発揮されるだろう。それだけ、このVRMMOの底力を思い知らされる感じだ。


 それに、先程のデュリテの戦歴を見せて貰った所、負け数が非常に少なかった。これは彼女の直感と洞察力が影響していると思われる。危険察知能力がズバ抜けて高い証拠だ。数値に全て現れるとはこの事である。


デュリテ「私が思うに、マスターの力なら怖ろしい事になると思いますよ。私でさえ、ここまで動く事ができていますし。」

マスターT「ご謙遜を。お前さんと俺とでは、戦術的な観点が全く違うだろうに。」

デュリテ「ですねぇ。」


 お互いに笑い合う。デュリテことデュリシラは、エリシェ達と同様の中距離を得意とする。対してシューム達は近距離を得意としている。完全に戦闘スタイルが異なっている。


 俺の場合は全く異なる。彼女達のどれともマッチせず、オールマイティに動く事が可能だ。特に継戦能力を重視する戦術を得意とするので、長期戦だけは得意中の得意だ。それ以外の戦いは、流石に周りの面々には遠く及ばない。


 それに俺はスタンドプレイを得意としていない。誰かしらの護衛に回る事で真価を発揮する形だ。リアルでその戦闘スタイルを貫いているのだから、ゲーム内では更にその力量が発揮されるだろう。


    第1話・6へ続く。

 0.001%って高い方ですかね?@@; ワールドシップにて、コンテナから引けるランク8艦船の確率は0.15%だったような(昨年追加された大和の姉妹艦が該当)。それよりも遥かに低いとなると、相当な強運の持ち主と言わざろう得ないのかと(-∞-)


 まあここはオリストの話なので、あったらいいな~という願望もあったりしますが><; お察し下さいで済ませておきます><;


 しかし、詳細描写を前面に出すと、話の展開が遅いのか早いのか分からない感じです@@; これを探索者や警護者で行ったとしたら、今のアップ部分の倍以上か3倍は膨らむと思います。他に入れたい要因なども出てくるでしょうし><;


 ともあれ、大艦長の方は第1話までは連続アップさせて頂きますね><; 第2話以降からは、他の作品群と共に毎週アップの流れにしていきます。よろしくお願いしますm(_ _)m

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