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短編とかその他

赤姫は笑わない

作者: リィズ・ブランディシュカ



 姫は国を守らなければならない存在。


 姫は民を守らなけばならない存在。


 超常的な力が引き起こした未曽有の災害。


 忌避すべきだった災いで引き裂かれていく国を見ながら、姫はそう言われていた。


 雷がなりひびき、地面が割れ砕け、火柱が立ち上り、大水が流れ込むその国を見ながら。そう言われていた。


 だから、姫は強く在ろうと心がける。


 いつかその国が再び、一つの平和な形になるその時まで。


 そして、心に、魔法で鍵をかける。





 どこかの国に、赤姫という少女がいた。


 その少女は、真っ赤な色の似合う少女だった。


 赤姫は、自分の目的に真っすぐだった。


 他の何を犠牲にしても、目的を遂行するという力強い意志を持っていた。


 だからその固い、固い意思を有した赤姫は。


 そんな強い心の持ち主である赤姫は。


 決して何があっても、笑わない。


 笑った顔にすることはできるけれど、心を笑わせる事はできない。


 感情を波立たせる事はない。


 赤姫の心は、静かに凪いでいた。


 心と言う湖面の表面に、波紋一つ、姿を見せない。


 赤姫は、燃えるような真っ赤な衣装に身を包んでいても、その心は静寂に満ちたまま。


 身に着ける真っ赤な衣装のイメージとは逆に、どこかでも冷徹であるのが赤姫の心の形だった。


 なぜなら。


 それは。


 感情に起伏があると、目的達成の障害になるからだった。


 バラバラに砕けた国を元に戻すのは繊細な作業。


 焦りは不安は邪魔に死からならない。


 不要なもの。


 だから赤姫は、感情を動かさない。


 己の中にある、灼熱のような真っ赤な情熱が力になると知っていても、そのリスクを無視できない。


 そのため赤姫は、目的を達成するその日まで笑う事はないだろう。


 大切な、大切な己の目的を果たすために。




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