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Prologue

「はあ……死んじゃったよ、アリエス。」


スマホ画面には“クリア”の文字。ありきたりな内容だったが、そこそこに面白かった。

主人公のエルナが次期皇帝の王子、アルスと婚約して、物語は終わり、ゲームも幕を閉じた。



しかし、私はまだ解せない。


死んでしまったのだ。悪役の、アリエスが。


私はこのゲームで誰推しかと訊かれると、迷うことなくアリエスの名を挙げていた。それを聞いた者達は揃って驚きの意を示すのだが、私にはアリエスなのだ。


ではどこがいいのか…?


決まっている。アリエスの、その意思の強さだ。曲がらないその想い。誰に何を言われても負けない。何があろうと諦めない。その強い信念に惹かれたのだ。


アリエスは主人公と違って強い女性だった。細身にもかかわらず護身術を習得しており、襲ってきた輩を難なく倒すことさえ出来ていた。


それがなんだか、私と対照的で。主人公はか弱くてただ可愛い、今にも崩れてしまいそうな陶器のような人で、顔はさておき、まるで私のようだった。


弱くて、自分に自信がなくて。いつも諦め気味で。ただ笑うことしかできなくて。


そんな自分にそっくりの主人公は、どうしても好きになれなかった。


だからこそ、アリエスは私にとって魅力的な女性だったのだ。


確かに、アリエスは悪役で主人公に非道とも思われることを幾つもした。酷い、と言って仕舞えばその通りなのだが、その強さが素晴らしいのではないか。わざわざラストで、処刑することなんて無かったんじゃないか。そう思うと、またため息が出た。


「アリエス…」


明日は休みだからと夜通しでこのゲームをプレイしていたため、もう外は薄明るくなってきていた。


「うぅ〜、頭が重い……寝よっと……」



その後数分もかからず、私は夢の中へ引き摺り込まれていった。



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