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ЯeinCarnation  作者: 小桜 丸
1章:サウスアガペー
12/365

1:0 "――――"


 途絶えていた意識が戻り、彼女は我に返った。真っ白だった視界に、暗闇に立ち尽くす杖を持った男の姿が映り込む。


「そうか。私の名前は、アレクシア・バートリだった。孤児院で食屍鬼と吸血鬼と戦って……」

「思い出したか」

「私はリンカーネーションとして、何度も生まれ変わってきたのか?」

「その通りだ」


 肩に届くほどの長さを持つ彼女の青髪。

 杖を持った男は、彼女の毛先を指でなぞる。


「お前は選ばれし転生者だ。それは既に決まっていること。お前はそこらの"異世界転生者"とは違う器を持っている」

「……異世界転生」

「覚えていないか。お前の実力は"入学試験"で他の者より頭一つ抜けていたことを」

「……入学試験」


 頭痛は収まらない。脳内に何かが引っ掛かるような感覚を覚えるほど、頭痛はより一層増していくばかりだった。


「お前が入学を望んだ先は"アカデミー"だ」

「……アカデミー」

「本試験を受けるための"仮試験"を受けただろう。これすらも覚えていないのか?」

「仮試験――ぐぅッ?!」


 彼女は頭の痛みに耐えられず、額を地面に押し付ける。


「しかしまぁ、お前には"石の上にも三年"という言葉は似合わない。すぐ行動に移したな」

「……三年」

「"本試験"ではらしくないことをしたな」

「……本試験」


 その言葉を耳にした瞬間、彼女の脳内に様々な光景が押し寄せ、視界が大きく揺らいだ。


「私は、私はっ――」


 再び真っ白に染まる視界。

 彼女の意識もまた、一瞬にして途絶えてしまった。



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