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異世界帰りの勇者はせつなくて異世界転移も転生も禁止されたらすぐF●CKしちゃうの

 作品の性質上、誤字脱字が後から見つかっても修正はしません。

 つまりそういうタイプの一本です。

「大変よ、トシヤ!」



 バーンと言う乱暴なけたたましい音とともに、俺の部屋のドアが乱暴にけたたましく開け放たれた。


 入ってきたのはピンクのツインテールに角を生やし、幼さの残る整った顔立ちに反し出るとこが出てふっこむ所が引っ込む体の発育が大変けしからんボディーをした俺の相棒・姫騎士ドラゴンプリンセス巫女のティアだ。

 やれやれ、今日はどんなトラブルが俺の身に降りかかるんだ?

 と思ったら、ティアは何故か俺の部屋に置かれているPC-●Xにつまずき物凄い勢いで俺の方に転がってきて衝突、柔らかくて暖かい物が折れの顔をむぎゅうううっ挟み込む形になった。

 そこにゲーム機能のある家庭用鈍器ことゲーム●ューブが落下してきてティアの頭に直撃、ゴチンと音を立てた。


 通常であれば首から上が爆発四散、モンスター相手でもオーガクラスなら確殺できる破壊力のあるそれを目から星が出るだけで済んだのは、流石俺の相棒と言うところだ。



「オイオイ、俺は今超大手の邪悪毒牙邪書店主催のギガバイオティックデストロイヤーライトノベル大賞に応募する小説を執筆中なんだぜ?そんなに騒々しくしないでくれよ」


「そのギガバイオティックデストロイヤーライトノベル大賞が大変なのよ!ホラ見て、ここ!」



 立ち上がったティアが持っていた雑誌は邪悪毒牙邪書店の発行する最大のアニメ雑誌・ニシローランドゴリメージュだ。

 彼女が開いたページは、俺が狙っているギガバイオティックデストロイヤーライトノベル大賞の募集に関するものだった。

 そこに書かれている内容が俺の目に入った時、俺は凍り付いた。

 世界の全てが色を失い、まるで奈落の底に落ち続けているかのような感覚に陥った。

 その絶望はかつて、メガダークネビュラス大将軍の攻撃の宇宙広域洗脳電波攻撃より見方全員が洗脳されたとき以来の絶望のどん底だった。

 その時新しい力に覚醒して普通に何とかなったが。


 そこに書かれているのは、こんな内容だった



―――――ギガバイオティックデストロイヤーノベル大賞では、

異世界転移及び転生展開が含まれる作品を評価対象外とする―――――




~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~




 俺、神殴小路(苗字)敏也はどこにでもいる健全な男子高校生だ。

 ただちょっと人と違うところがあるとすればラノベ作家を目指している事、そして・・・異世界を救って帰ってきた元勇者ってことかな。


 異世界行きには大きく分けて召喚などによる転移、そして死んで生まれ変わる転生の2パターンがある。

 俺の場合はちょっと特殊で、ある日路を歩いていたら突然足元に魔法陣が出現し、普通に召喚されるかと思ったらそこにトラックが突っ込んできた。

 その結果原理は分からないが神と悪魔の両方の力由来のチートを手に入れた俺は、複数の世界にまたがる滅亡の危機のピンチの危機を救い、相棒ティアを連れて元の世界に相棒ティアを連れ帰ってきちまったわけだ。


 俺は自分の経験をもとに小説を一本書き上げデビューする目標を心の支えに、多元世界の熾烈な戦いを生き抜いてきた。

 このリアルな経験をもとに作った物語ならば、絶対に名作になるに違いない!

 アニメ化もされてウハウハだ!

 でも過去のつぶやきをうっかり発掘されて潰されるのは勘弁な!



 ・・・そんなパーフェクトな俺のプランが、ここに潰えたって言うのか?

 創造神と破壊神の融合体さえも打ち滅ぼした、この俺が!




 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~




「うおおおおおおおこうなったら直談判だあああああああちくしょおおおお出版社にいいいいいい文句言ってやるううううううう!」



 俺は街を全力で駆けていた。

 全てはギガバイオティックデストロイヤーライトノベル大賞を主宰する邪悪毒牙邪書店に俺の作品を認めさせるためだ。

 俺は集中力を最大限に集中して高めている状態であり、後は仕上げだけの状態になった俺の小説をスマホでフリック入力執筆しながら疾走することが可能だ。

 これは俺が超時空勇者のスキルを得たから可能な離れ業であって、一般人がやったら死ぬから絶対に真似してはいけない。

 歩きスマホでも危険なのに全力疾走スマホとかどれだけ危険か言うまでもないだろう。


 ドカーン!

 突然の爆発に俺は振り返った。

 中学校がテロリストに占領されているのに出くわしちまったんだ。

 やれやれ、こんなことに首突っ込んでる暇なんかないってのにな・・・。

 取り敢えず俺は校内に突っ込んでテロリストを全員殴り倒し、校庭に縛り上げておいた。


 もうしばらく走ると、冴えないOL風の女の人がトラックに轢かれかけていたのに遭遇したのでダッシュで助け出した。

 その人の荷物から新作の乙女ゲームのパッケージがはみ出しているのが見えた。

 ・・・間違いなく人命救助したはずなのに、なぜだか悪い事をしてしまった気がしてならない。


 それからもっと走ってビル街に辿り着くと、急にあたりが暗くなった。

 上の方から何か笑い声がするので見上げると、ビルの屋上でサラリーマン風の男が狂ったような高笑いしながら新世界の秩序とかパラダイムコントロールとか26次元ケイオスとか訳が分からないことを叫んでいて、その背後では幾何学上に光る何かへんなのが大きなエネルギーを出しつつ空中に浮いていた。

 何か良く分からないが世界の危機を感じたので魔法で隕石を落としておいた。

 


 そしてようやく俺は、出版界の最大手の出版社である邪悪毒牙邪書店の本社の前に辿り着いた。




 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~




 邪悪毒牙邪書店。

 創業者の名字を取った社名に「邪」の文字が二文字も入っていて、名前の時点でこれ以上なく不退転の決意を滲ませている。

 かつて陥とした魔王の城さえも思わせるその要塞のごとき超巨大な社屋には、数千門の次元破壊対空砲が備えられており近年危機に晒される表現の自由を守る牙城である事をこれでもかとアピール、それを侵す者は何人たりとも素粒子の一粒さえもこの世に残さないと言う鋼の意志を体現していた。

 最も巨大な次元破壊対空砲は木星まで届くという。


 ゆっくり登ってる暇はねえ、目指すは最上階だ!



「飛ぼう!うおおおおおおダイナミックエンタージャーーーンプゥゥゥ!」



 108の勇者技の一つであるダイナミックエンタージャンプは、ダンジョンが建物タイプでボスが最上階にいる場合直接ジャンプキックで乗り込む荒業だ!

 ドジャーン!

 核の直撃にも耐える防弾ガラスが砕け散り、俺は最上階の会長室に転がり込んだ。



「おやおや、随分と元気のいい来客が来たもんだ」



 一面真っ赤な絨毯の部屋の中心にはいかにも偉い奴が座る玉座っぽい豪華な椅子が据えられており、そこには一目で豪華そうなのが分かるスーツ姿で金髪のオールバック、筋骨隆々の大男が座っていた。

 邪悪毒牙邪書店グループを統括する創業者一族第99代当主にしてハイパーグレイテストCEO会長、邪悪毒牙邪殺殺殺殺殺丸だ。

 テレビでインタビューを受けていた時とはまるで様子が違い、勇者である俺に対し殺気を隠す素振りさえない。



「おい、邪悪毒牙邪殺殺殺殺殺丸ハイパーグレイテストCEO会長だな!異世界禁止についてお前に聞きたいことがある!」


「用件は分かっている。ギガバイオティックデストロイヤーライトノベル大賞の異世界禁止の事だな?」


「分かってるんなら話は早い!異世界禁止なんてやめろ!」



 俺の言葉を聞いた邪悪毒牙邪殺殺殺殺殺丸はククク、と笑いを漏らし最後にはハハハハ!と高笑いに変わった。



「何がおかしい!」


「禁止するに決まってるだろ!1000万本送られてくる小説の8割が異世界だぞお前!?似たようなテンプレを延々と読まされる身にもなってみろ、心が壊れた我が社の社員はクソゲー以外受け付けない体になって今も檻付きの病室の中だぞ!しかもブラック勤めを鬱とかで退職したと思しき応募者の手によるものはこりゃまた揃いも揃ってブラックサラリーマンが転生した代物ときたもんだ!せつねーんだよ!こっちが鬱になるわ!つーかなったわ!編集者が何十人田舎に帰って療養中だわ!」


「やめろ、そんな話は聞きたくないッ!・・・だがそれでも、それでも俺ならッ!」


「本物の転移者、もしくは転生経験者だからいい作品が書ける、か?」


「!!お前、何故それを!」


「あんなジャンプで窓割って来ておいて分からねえわけねーだろアホか!つーかお前と同じこと考えた元異世界の勇者だの魔王国皇帝だのがリアルな経験をもとに小説書いてきたのが大量にあるんだよ!それがニコポナデポでヒロインハーレムが増殖するわ何十人もいる部下が主人公の言う事が10秒前と変わっても流石○○様です!とか言って諫めもせず脳にチップでも埋まってるのかってぐらい全肯定するような展開ばっかで異世界のリアルどうなってんだって言いたいのこっちだよオラァン!?あと習得に時間と金が必要な詳しい専門知識もねえのに現代知識チートとかやってんじゃねえええ!」


「ぐッ・・・!」



 俺は言葉に詰まった。

 確かに俺の異世界の経験でも思い当たる節は多少・・・けっこう・・・いやかなりある。

 だがそれでも、俺は俺自身の勇気と情熱、何より俺自身の勇気と情熱を信じているんだ!

 俺にはあの世界で共に戦った仲間たちが・・・よく考えたらヒロインたちの顔意外あんまり思い出せないがすごく仲間たちすごい憑いている!

 だがどうすれば・・・どうすればこの行った事もない異世界に絶望した男に異世界のすばらしさが伝わる?

 そう思っていた時だっt



「だが神殴小路(苗字)敏也、お前には恩があるようだ。将来の作家や編集者などを育成するために我が社が経営する中学校をテロリストから救ってもらった事。幹部の姪をトラックと悪役令嬢転生の運命から守った事。それにもう一つ、応募された異世界小説を読み過ぎて気が狂い世界を滅ぼそうとした我が社の社員を止めてくれた事、だ。故に特例として、お前の作品だけは応募を受け付け厳正な審査の対象とする」



 やれやれ・・・勇者として目に入った人の悪事やピンチは見過ごせない、そんな生き方が染みついちまったのが俺を救ってくれたようだ。

 また自分でも知らないうちに勇者しちまったぜ。




~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~




「トシヤー!超大手邪悪毒牙邪書店主催のギガバイオティックデストロイヤーライトノベル大賞の選考結果のお知らせって封筒が届いたよー!」


「・・・ドア開けるときはノックしろって言ってるだろ、ティア」



 異次元フィールドで覆われた甲冑を持つ敵の内部に剣を差し込む剣術の応用で、音さえも置き去りにする速度でベッドの下に雑誌が隠された。



「あ、いいよ気にしないでトシヤ!男の娘だもんね!」


「うぐッ!」



 その術は俺に効く、やめてくれ。

 あと男の子の字が違う気がする。



「それで来たのがその封筒か?」


「うん、このペッラペラの封筒開けるね!」



 あまりのペラペラ振りに不安が拭えないペラペラ振りだが、意を決して俺は封を開けた。

 中に入った紙には、こう書かれていた。



『厳正なる審査の結果、神殴小路(苗字)敏也様の作品≪異世界に転落した俺が超魔神皇帝になって多次元世界を全部手に入れる!≫は残念ながら選外となりました。今後のご活躍をお祈りしております』




 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~




「ダイナミックエンタージャーンプ(ドジャーン)!こいつはどういう事だ邪悪毒牙邪殺殺殺殺殺丸どういう事だあああああああ!」


「しょうがねーだろ、お前の駄文普通にメッチャクソ普通に(重複)つまんねーんだよ!」


「うわああああああああチクショオオオオオオオF●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!F●CK!フ●アアアアアアアアアアアアアアアック!!!!!!!!!」



 その時の俺の叫びと悔しさが遥かな時間さえも超え、100億年前の超宇宙生命体を起こしてしまいこの世界がピンチに陥るのはまた別の話である。

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