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貴方の元へ5


「君が、身持ちが固いのは知ってる。でも、俺と君は夫婦だし。前世では、何度も愛し合ってた」

「今生の私は初めてなの」


さすがに恥ずかしくて、ぼそぼそと言った。


「…俺だって、初めてだけど?!何がダメなの?」


なんてバカな会話だ。


「…ま、まだ決着もついていない。そんな気持ちになれない」

「……わかった」


離れた彼に、ほっとしていたら、ロイがおもむろに剣を持ったので、えっ?!と思った。


「今から奴を倒してくる」

「な!?ちょっと!」


慌てて腕を掴んだら、彼はため息をついた。


また、ベッドに戻ってきて、私の隣にうつ伏せた。目だけで私を見つめ、恨めしそうに言った。


「約束して。決着がついたら、俺と結ばれると。俺の側を離れず、添い遂げると」

「…うん、約束する」


そう言いながら、私はうつ伏せたロイを見ていた。


この仕種…


照れた時や、ふてた時のレイリイにそっくりだ。

彼はよくうつ伏せて私と話していた。


「…うぅ、切ない…」


ぼやく彼に、思わず笑った。


「…レイリイ」


うつ伏せた彼の背中に、私は被さった。


「ふふっ、レイリイ。あなたにそっくりだ」

「あ…そう、だな。」


彼が気付いた。


私は拒否したにも関わらず、懐かしさと愛しさでロイの頬にキスをした。


「本当に君は強い人だ。主導権は君が持っているし、俺はそんな君に屈してばかりだ」


恨めしそうな彼に笑って、また頬にキスしてから、彼の耳にもキスをした。


「…ふふっ、レイリイだ」

「煽るか、煽らないか、どっちかに」

「おやすみ。今日はあなたの背中の上で眠りたい」

「え?」


私は彼の背中に頬をつけた。


ぱっとロイが腕を立てて向きをかえたものだから、私は振り落とされてしまった。


「ほら、おいで。嫌がることはしない」


彼は渋々といった感じで、自分の胸の上に私を乗っけた。


「せめて俺の胸で眠って。」


そう言って、両手で私を抱き締めた。


ゼイノスによく似た仕種に、懐かしさを噛み締めて、私は目を閉じた。


「…ロイ」

「ん?」

「…愛してる」

「それは疑う余地がないな」


二人で笑った。


「君を愛して、今も愛せて、人間になれて俺は幸せだ」


優しく髪を撫でられながら、私は彼に護られて安心して眠った。


幸せは続くから、幸せ。

だから、今度はずっと続くように。


とても安らかだった。


例え、どんなに姿形が変わろうが、彼の私を包むような優しさは変わらない。


肩を抱く彼の腕が心地よい。


***********


夜明けだろうか。


薄く明かりが射している。

彼が呼吸をする度に、胸の上で眠る私も小さく動く。


「…ルリ」


まだ寝ていたい。

彼の首もとに唇を寄せて、私は呼吸を繰り返している。

その吐く息の度に、彼の身体がぴくりと反応する。

寝ぼけて唇を動かして、彼の首をそれでなぞった。


「っ、はぁ…」


あれ、熱い。

彼の手とか、首とか…


「…もう…無理…」


えっ?


身体がくるりと回り、私はベッドに仰向いて寝かせられた。


まだ目を閉じていたけれど、キスされたのは気付いた。


「…ロイ」

「……」


首を辿っていた彼の唇が、私の声で止まる。

そっと目を開けたら、やはり朝の光が眩しい。


「昨夜、誓ったよね?」

「……」


ふいにドアの前から声がした。


「あ、あの…朝食を用意しましたので、宜しかったら一階にどうぞ」


「あ、はい。行きます」


動きを止めたロイを押し退けて私は返事をした。



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