捜しだして4
考えると頭から離れなくなった。
昼ごはんを作り、家事をして、買い物をしている時も私は考えていた。
「イリア、ん?隣の人は?」
常連客の女性に出くわした。
彼女がじろじろと興味深げにロイを見ている。
そうだろう。
彼は人目を引く姿をしているから。
背中に長剣を携え、背は高く、顔のパーツも整って、若い女性なら誰もが振り返るようなカッコイイ青年なのだから。
「あ、彼は…」
「妻がお世話になっています。」
ふっと笑い、ロイが言った。
「ええ!そうだったの、知らなかったわあ!こんなカッコイイ旦那さんがいたなんて…美男美女で羨ましいわ!」
「え、ええ、ありがとうございます。」
にこやかに会釈をして女性と別れる。
「…ロイ」
軽く睨み付けた。
「ルリは俺のお嫁さんだよ。2年以上前から…」
「…………………」
負けじとロイは、私から視線を外さない。
私はそんな彼を、ついからかいたくなる。
彼の肩にわざとしなだれかかり、言ってみた。
「夫婦関係ないのに、夫婦って言えるの…ゾクゾクした?」
「…はあっ…ダメだよ。俺…以前より大人だからさ、あまり…その…あ、煽らないで…」
「え?」
ロイがそろそろと私を抱き締めようと、手を伸ばしてきた。
「我慢できなくなるだろ…」
!
目が据わってる。
しまった、以前のようにはいかないんだ。
ロイは男だ。
「あの可愛かったあなたは、どこへ行ったの?なんか淋しい!からかい甲斐がない!」
「あ、やっぱり子ども扱いしてたんだ!でも、もうそこまでウブじゃないから。俺18だから!男だから!」
私はなぜか得意そうな彼から、警戒して距離を取った。
以前よりドキドキするのは、多分そういうことを生々しく想像しやすくなったせいだろう。
やばいな、彼に抱き締めて欲しいと思う自分が…
夕御飯をロイに手伝わせて作り、頭を突き合わせて食べた。
「なんか新鮮だね。前は、皆と食べてたから」
ロイが言った。
「淋しい?」
私の問いに、ロイは笑う。
「いいや…ロッドたちと別れるよりもずっと…ルリと離れていたことが淋しかった…」
そっと指で私の手首に触れた。
「もう自分を傷つけないで…俺から逃げないで、俺を守ろうなんて考えなくていいから…」
「でも…」
「大丈夫だから…ああ、でも、君にそこまで愛されて幸せだよ。俺…」
どこかうっとりとして話すロイが、少し怖い。
夜。
「なぜ別なんだ?」
床に敷かれた布団の上で、不服そうなロイが聞いた。
「なぜでしょうね?自分の胸に聞いてごらん」
私はベッドから、彼を見下ろして言った。
夜は冷える。
毛布にくるまり、私は彼に背中を向けた。
「…ダメ?」
「ダメ」
「………………」
すごすごと彼が床に横になる気配がした。
灯りを消して、私は目を開けて、考え込んでいた。
もしかしたら…ロイは…
レイリイを思い出し、切なくて淋しくなった。
私は、身体の向きを変え、ロイの方を向いた。顔を下に向けて見ると、彼は横になったまま目を開けて、私の方を見ていた。




