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少年にお買い上げ

皆の注目を浴びて、少年は奴隷商人を睨むように見ている。


Γ50銀。」


商人の掲示した額に、少年が顔をしかめる。


Γ30銀では?」

Γいや、45。」


僅かに下げて粘る商人。

………人の前で値段交渉。いい気分じゃない。


額に手を当て、少年が考える素振りを見せた。


Γ……いや、そんなに出せないな。25だ。」


呟きに、私はムカッとした。そんな私にちらっと目を向けて余裕ぶる少年。


Γなあ、この子売れ残ったら困るんじゃないのか?頬に傷有るし、性格も従順じゃなさそうだから買い手の寝首を掻くかもよ?」


そのつもりだ。もっと言うなら、アレも噛み千切るつもりだ。


Γ足元見やがって……40だ?」


食い下がる商人に、少年が腕を組んで顔を傾げた。


Γダメ、25!」


結局私は、メチャクチャ破格で少年にお買い上げされてしまった。売られること自体、そりゃあ嫌だけど、こんなに安く売られたことも腹が立った。


*********************


ぶっすううう


Γね、君名前は?あるんでしょ?」

Γ………………………」


少年に手の枷を軽く引っ張られながら、私は不機嫌に彼を睨んだ。街の通りを歩いている。皆見ている。そりゃそうだ。

裸足だし、両手両足に枷を付けて、いかにも少年に買われましたって分かるんだもの。頬から血を垂らしているし。


Γ………」


少年が同じくらいの身長の私を覗き込んで困ったような顔をした。


Γごめんって。安く買われたと思ってる?でもあれ、僕の全財産だったからさあ。」

Γえ?」


通りがかった暗い路地に目をやり、少年はススッと私を連れ込んだ。


Γ何?」


警戒する私に、


Γいいからそこ座って。」


無造作に積まれた樽を少年が指し示す。


Γ……ああ。」


枷で不自由な私に気付いて、少年が身を屈めた。そしておもむろに私を抱き上げた。


Γきゃっ!」

Γあ、そんな声出すんだ。女の子っぽい。」


笑って、そっと私を樽の上に座らせた。


驚いた。私を軽々と…。あどけない少年は、男なんだ。

なんだか急に恥ずかしくなった。




出会いまでが、長かった。いや、前から会ってたか?

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