リンファの物語10
「ルリ…。」
「最低な私…」
「違うよ、ルリ。」
「え?」
私の顔に顔を寄せて、ロイはそっと言った。
「君は一つの生に、一人の男だけを真剣に愛した。それのどこがいけないんだ?」
「ロ、イ…」
「こんなふうに、ボロボロに傷つくほど、一人一人を愛してきたんだろ?それは悪いことかい?違うだろ?」
「…………え?」
「逆に言えば、一つの生に一人だけを愛するなら…その生では浮気をしないってことだろ?」
ロイは悪戯っぽく微笑んだ。
「じゃあルリは、今生では僕しか愛さないってことじゃないの?…嬉しいんだけど…」
「…………」
「ルリ、好きだよ」
「わ、私の話、聞いてたよね?ゼノは…」
ロイは静かに笑って、私を見つめた。
「うん、わかってる。それでも、僕はルリが好きだよ」
ぎゅっと抱き締められたまま、ルリは目を閉じた。
馬鹿だよ、ロイ
もう嫌よ、私は
「そもそも…なぜ、ゼノはそんなふうに変わってしまったんだろ?」
ロイが、しばらく考える素振りを見せた。
「……わからない」
そのことは、私の中で何千何万回も考えて、答えの出ないものだった。
私は疲れ果てていた。
「ルリ」
ぐったりともたれかかる私に気付き、ロイが私を毛布に寝かせてくれた。
私は顔を毛布に隠した。
泣きすぎて酷い顔をしているはずだ。
「……話してくれて、ありがとう。こんな…辛い話、ごめん」
私の髪を撫でて、ロイが言葉を探る。
「君は…強いよ。」
「そんなわけないっ…誰も救えなかったのに…」
「辛い記憶を持っていても、誰かをちゃんと愛せる。それは強いからだよ。君は強くて、情が深くて、凛として…とても綺麗だよ。」
「…………」
深い疲労感に吸い込まれるように、意識が遠のく。
ロイはそんな私の髪を撫でて、静かに見守っていた。
「大丈夫……大丈夫だから、眠っていいよ。」
何が大丈夫?
でも、そう言われると深い安堵が私を包むから不思議で…
「君を神には渡さない。僕が守る」
遠のく意識で、ロイの呟きを聞いた。




