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ティーナの物語17
がくん、と頭を反らして息絶えた弟を、両手で抱き締めて、ティーナは悲鳴とうめき声を繰り返した。
たらたらと弟の頭から血が流れ、彼女の胸や腹を赤く染めた。
息ができない。
衝撃が強すぎて…
思考が回らない。
「…ど、うして…?」
声が自分の声じゃないようだ。
かすれた声しか出ない。
「…絶望が心地いい。」
神が恍惚として言った。
Γ我は、ゼイノス。絶望に悦ぶ神。ティーナ、愛しき魂。君の、お前の絶望を捧げろ…魂を絶望で彩れ。さすればお前は、永遠に我のもの…」
「どうして…」
人に、なるのではなかったの?
私の、絶望?
「どうして!どうしてぇ!!」
「ああ…お前の絶望は、心地いいな…」
絶望?
ゆっくり近付く彼を見上げる。
愛しい人が、愛しい者を奪っていった…
まだ…
絶望、しない…
「許さない、許さないわ!!……何度生まれ変わっても、いつか…」
ティーナは絶望しないために、彼に向け今できるだけの呪いの言葉を吐いた。
ゼノの黒い光が、胸を貫く。
薄らぐ意識の中、ティーナは思った。
絶望よりも…憎しみを!
だって、わたしは…
貴方を、忘れないのだから…




