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ティーナの物語

… ティーナは、羊を放牧するため、朝食を食べると家を出た。

毎日の自分の仕事。

家では、小さな妹とまだ赤ん坊の弟の世話で母は忙しい。


16になるティーナは、家の手伝いをしている。

父は畑で小麦や野菜を作り、羊牧をし、それで生計を立てている。4つ違いの兄は、近くの家具工房に弟子入りし、タンスやら机や椅子などを作っている。まだ見習いのため、給料はとても安い。


貧しい家庭。

ティーナは、学校には行っていない。ここらの村の子どもは、大体そうだった。


でも、ティーナの家はいつも温かくて、笑いの絶えない家だった。兄に字を教えてもらって、ティーナは読書を楽しむことを知っていた。家族や自然豊かなこの土地を愛していた。

みんな明るくて優しかった。


いつもの草はらを歩く。

なだらかな丘をゆっくり登る。

羊たちを追い立てる。

爽やかな風。

登った丘からは、遠くの街までが見える。雄大な景色を見ながら、深呼吸すると体の内部まで清浄な空気で満たされて気持ちが良かった。


羊達が草を食む丘の端に、いつものように座りティーナは本を広げた。


広々とした緑の大地。

澄んだ空。

この開放感がティーナは好きだ。


羊達は、てんでに草を食んでいるが、彼らも慣れたもので遠くに行ってしまうことはない。


しばらく本を読んでいた。本の内容は、恋物語。

ティーナだって、夢見る少女なのだ。近所の友達から借りた少々古びた本だったが、その甘い砂糖菓子のような恋物語を佳境まで読み進めた時だった。


ふいに強い風が吹き、ドキドキして本に魅入っていたティーナはわずかに目を瞑った。


すぐに目を開けたら、すぐそこに彼がいた。

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