白い希望2
あんな所行くんじゃなかった。
闇にまぎれ、草むらに座り私は膝を抱えた。
遠くで焚き火の光が見える。
彼の像は、本当の彼に似ているわけじゃない。想像で造られたただの石だ。
それでも、見ていると…
切なかった。
「ゼノ。」
憎くて、殺したい男。
何度も愛した人たちを殺され、何度も私を殺した神。
それでも…
私は彼に愛された記憶を、まだ愛している。
<君はとても情の深い魂を持つ。私はその魂の美しさが愛しい。>
かつて言われた。
今はそれが、恨めしい。
「ゼイノス…」
気付くと、側でロイがいた。
彼の名を呟いて、私をじっと見つめた。
「……神の名は、短く呼んではダメなんだってね。礼に失するから。…でも、君は以前うなされて、ゼノって呼んでた。」
私は予想していた。
ロイが気付くことを。
「僕はルリが嘘をつかないことを知っている。だから話して欲しい。僕は、君の話を信じるから…」
真剣な顔をして、ロイは私の隣に座った。
黙ったままの私の肩にそっと手を置いて、力づけるように彼は言った。
「…僕は、君が心に持つ闇を知りたい。知って…それをどうにかしたい。僕はルリを救いたい。幸せにしたい。知らなければ、できないから、だから教えて?」
ロイは、私に笑われるんじゃないかと思っているのかもしれない。途方もないおかしなことを言っているんじゃないかと躊躇しながらも、それでも私に問うている、そんな雰囲気だった。彼が決心して聞いている。私はそれに応えようと覚悟していた。
だから、微笑んでロイを見た。
Γ……それじゃあ、昔話を聞いてくれる?」




