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白い希望(ロイ視点)

白亜の聖堂に、たくさんの人がごった返す。入り口で剣を預けて僕は皆と同じように白い布を頭に被っている。そうしなければ、神聖な聖堂には入れないから。皆が同じように合わせた姿は、僕には異様に映った。


僕は、ルリの手を握ってはぐれないようにした。彼女を人の波から庇いながら、よく前も見えない状態で歩く。瞬く間にナディア達からはぐれてしまったが、それは想定内のことなので、慌てはしない。

握ったルリの滑らかな手の感触にドキドキしていた。

人混みをかき分け僕たちは、やっとの思いで神の像の元にたどり着いた。


誰もが知っている。


かつて、神と呼ばれる存在はたくさん在った。彼らは森羅万象様々なものをそれぞれ司る神々だった。


けれど人が増え人の世となった世界は、憎しみや悲しみ、争いや貧困に満ち溢れ、負の感情を嫌った彼らは天上に昇り、今は人間の世に干渉しなくなった。


ただ、一人をのぞいて…。


「…。」


ルリは黙ったまま、ゆっくりと像に近寄った。聖堂に祀られるこの像に、皆会いに来る。

かつて、ここは初めて神々が降り立った地なのだという。

人々がその像に触れ、キスして、ひざまずく。

人々の祈りが、その作り物である像に一心に向けられる。

…幸せを願って。


僕は近くから彼女を見ていた。


ルリは像を長いこと見上げていたが、急に肩を揺らして泣き出した。


そして、ふらふらと歩み寄り、像の足の辺りに額を付けて、しばらく目を閉じていた。


「…ルリ。」


その光景に、ふいに何か得体の知れない衝撃に頭を殴られたようだった。僕は、一つだけ謎が解けた気がした。


この世に留まる唯一の神。


彼の名は…


ゼイノス・クローノ・ルゼ


人を愛して止まない神…

その真の名の意味は、『希望』




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