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今生の私2
お読み下さりありがとうございます!
自分の今の状況など本当はどうでもいい。
なぜなら人間は死ねば誰でも生まれ変わる。私はそれを知っている。
泡沫の生。繰り返される命。苦しみと憎しみの終わりが無い人生。
前世を記憶していると生きることも新鮮味が薄らぐようだ。今生の私の人生も最悪なようだ。
奴隷か……
手で壁を擦る。薄汚れた石壁。土や苔なんかが手に付いた。私は迷わず顔に塗りたくった。わざと汚くする。腰まである髪に塗る。
ぼさぼさに、みすぼらしく、みじめったらしくする。
これでいい。
私を検分した仲介人が言っていた。
Γなかなかの上玉だ。」と。
私は自分が綺麗だろうが醜かろうがどうでもいいことだったが、奴等の期待通りに儲けさせる気も無い。
明日、奴隷市で競りに掛けられる。ここにいる娘達全員だ。
最悪の人生だが、私にも誇りはある。飽きた人生だが、抗う力はある。
あの男に今生で会えるだろうか?
自らの憎しみの為に、この命を燃やす。
彼に会うまでは……