私を嫌って2
闇。
そこには広い空間があるが、在るのは宙に浮く無数の岩石とその一つに腰掛けた一人の男。
彼が足元を見ている。そこには水でも張っているように揺らぐ映像が映し出されていた。映像の灯りが、仄かに男の姿を照らしている。
漆黒の髪、白い肌。身長はすらりと高く、この世のものではないほどに整い過ぎた目鼻立ち。中性的な美しさの青年。
Γ絶望には遠かったようだね。」
赤い唇を上げてクスクスと笑い、黒曜石のような瞳を細めた。
Γ君はしぶといから、なかなか来てくれない。憎しみで絶望に抗っているのだね。ああ、いつか私を殺すと言っていたか。」
岩からふわりと降り立ち、地面も無い空中を軽やかに歩く。
Γそれにしても邪魔が入る。まあ、それも使いようか。前世のように。」
映像の傍に膝を付き、彼は手を伸ばす。
Γ私は気が長いが、さすがに待ちくたびれた。だから、今生は必ず君を手に入れる。」
慈しみに満ちたかのように微笑み。優しいと思わせる仕草で映像に触れるその先には、私の姿!
Γ何度『生まれ変わっても』君を愛してる、愛しい魂。君の絶望が、私の極上の糧。焦がれ焦がれて…狂おしいぐらいに…君の心を引き裂きたい!」
見開いた瞳には狂気。
やめて!もう嫌だ!もうこれ以上は耐えられない!
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Γっ、う…………………!」
夢を、またしても見た。
目を開けた先には、座ったまま眠るロイ。早朝の太陽の光が微かに射し、彼の横顔を照らしている。
口元を手で覆い荒い呼吸を隠しながら、強く思う。
もう誰も失いたくない。どうすれば護れる?どうすれば、この人を。
夢は夢じゃない。
あの人は、未だに私を待っている。




