奴隷じゃない3
Γ何だあ、ガキか?」
未だに私の足を固定していた男に言われて、ロイが怒鳴った。
Γガキじゃない!いいから死ね!」
ロイは背中の剣を抜かなかった。それどころか構えもせずに男に歩み寄った。跳ばされて転がっていた男達が起き上がる。私の足から、ようやく手を離した男がロイに殴りかかった。
ロイは、それを滑らかな動きで避けると、代わりにその男の手を軽く叩いた…ように見えた。
ボキッ
明らかに骨が折れる音が鈍く聴こえた。
Γあああああっ!!!」
耳障りな悲鳴を上げて、男が地面でのたうち回る。私は身を起こして見ていた。
Γ何だ?!何しやがった?!」
もう一人の男は腕に覚えが有るのか、身を低くして構えの姿勢を取った。
警戒もなくロイが動いた。
素早い身のこなしで、難なく男の懐に入ると腹を拳で殴った。今度は、あばらが折れたらしい。
Γぐあっああ!!!」
うずくまり、横腹を押さえて男が悶えている。
これは魔力を手に纏い強化させているのだろうか。力を込めた素振りは無かった。
息も乱さず、手を下ろしたロイが残った男を睨み付ける。仲間が容易く倒されたのを見て、呆気に取られているようで攻撃してこない。
Γさっさと行け!これ以上ルリの目を汚すな!」
ロイが言うと、弾かれたように男達がよたよたと逃げて行った。ロイは、それを見もしなかった。
Γル、ルリ!」
私の顔を見た途端、ロイの無表情が崩れ、みるみる内に泣きそうな表情へと変わっていく。駆け寄ったロイは、迷うことなく私を抱き締めた。
Γ………」
Γルリ…ルリ…」
呼ぶ度に、ロイはぎゅうっと力を込めて私を益々きつく抱き締めた。
今は…苦しいぐらいが、ちょうど良い。
ロイは…嫌じゃない、温かくて落ち着く。
ふっと力が抜け、同時に身体が震えだした。
Γご、ごめん!」
怯えていると思ったのか、震えているのに気付いたロイが、私から慌てて離れようとする。
私は追い縋るようにして、そんな彼の背中に手を回して…しがみついた。




