ロイの性癖?3
周りの囃し立てる声を耳にしながら考える。さて、どうやって回避するか…
Γロイ、今すぐ腹痛起こして。」
溜め息をついて彼を見た。
Γ……………」
私の肩に手を置いたロイは…目をキラキラ…いや、ギラギラさせて私をじっと見ていた。
Γ…………ロイ、もしかしてキス、したいの?」
こくっこくっ、と二度彼は頷いた。
Γ初めて?」
………こくっ
Γ私でいいの?」
こくっこくっ
それから気付いたように聞いてくる。
Γル、ルリは嫌?……初めて?」
ああ、そうだった。私、初めてだ。
Γそうよ。」
見世物は嫌だな。まあ、減るものじゃないしいいか。同じくらいの背の彼の頬に、ちゅっとキスをする。
Γありがとう、助けてくれて。」
顔を離すと、ロイは頬に手を当て……物足りなさそうな表情をした。
全く…
注目をこれ以上浴びたくなくて、私は皆に、これからお世話になります、と挨拶してその場を離れた。一人馬車の中で休もうと思った。
Γルリ。」
縦に並んだ馬車の間。暗がりで腕を掴まれた。
Γ何?」
追いかけて来たロイが、私の視線から一瞬逃れ、それから覚悟を決めたようにこちらを見る。
Γ……何も知らないのはお互い様だけど、いい加減僕を子ども扱いしないで。」
Γでも年下だわ。」
長い時の記憶を持つ私には、尚更ロイは年下に見える。
Γルリ、僕は誰?」
Γえ?」
ロイは、私の態度に不満らしい。怒っているのかもしれない。
口元を歪めて笑う彼は、したたかで悪そうだ。
Γ君は僕が買った。僕のものだ。」
そんなロイに少し驚く。私のどこが良いのか?
Γロイ」
彼の頬を両手で包んでも、平静を装って動かない。私も意地になって、彼の唇に唇を近づける。目を見開くロイの唇を、自分の唇で封じた。
Γん?!ふぅ、ん、ん」
可愛らしいキスじゃない。深い濃厚なキスに、驚いたロイが意味無く手をバタバタさせた。
Γ…ん…あ、ふあぁ、ん…」
Γん」
その手が次第に力を失い、ロイが熔けるように目を閉じた。チュッチュッとリップ音だけがして、長く暗闇に響く。
Γは…はあっ、る、り…っ?!」
唇を離して息を吸い、角度を変えて再びキスを繰り返すと、ロイは身体を震わせた。私の腕にしがみつくようにして荒く呼吸をし、されるがままだった彼は、思い出したようにその手を背に回して、私を抱き込もうとした。その気配に、あっさりと離れる。
Γあっ!」
名残惜しげなロイの声に背を向けて、宙を漂う手を避ける。私は馬車の中に入り、幌をきっちり閉めた。しばらくは静かだった。離れた所から皆の喧騒が小さく聞こえた。
Γ………あ…う…」
ロイの呻き声が、かなり経ってから聴こえた。そして、ヨタヨタと何かにつまずくように足音が遠退く。それを耳にしてから、そっと唇に指を当てた。
Γ………あったかい。」
温かなロイの唇。生きている息吹を感じた。
輪廻の孤独の中、きっと自分は恋しかったんだろう。命の温かさが。
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テレサは草むらに転がる人影を見た。
Γひっ!ロイ?!」
Γあ……はあ…」
手で顔を覆い、身悶えている。
Γな、何やってんだい?!」
なんかぶつぶつ言っているので、近付いてみる。
Γ…はあ…ゾクゾクするぅ…ルリ…か、買ってよかった」
テレサにも気付かない様子で、ハアハア言っている変態に、彼女はこいつからルリを守ろうと決めた。




