憎しみは糧3
夕食は、皆で、焚き火を囲って食べている。私はずっと一人の時が多かったので、大勢で騒いで食べるのは新鮮だった。30人ほどのメンバーの内、女性は3分の1ほどの割合。ロイから聞いたところでは、ロッドを中心として仲間の商人が5人。補佐的な仕事をする者が私を入れて三人。護衛役がロイを入れて6人。食事等の家事や馬の世話をするのは、テレサ親子を含めて8人。それ以外にも、家族で行動している者もいるので、子どもが数人いる。
一番偉い立場のロッドは、彼らの中に混じって酒を飲み交わしている。上下関係は厳しくないみたいだ。
既に大半の男達は陽気に酔っぱらっている。仲の良さそうな雰囲気に、思わず笑みが零れた。
Γ笑った…」
隣のロイが、ぼうっとして私を見つめている。嫁ということでロイとセットで座らされている。無視して酒をくいっと飲んだ。
Γだ、だめだよ。まだ未成年でしょ?」
気付いたロイが、私の手から杯を取り上げる。
Γそれ言うなら嫁とかおかしくない?結婚できないでしょ?」
賑やかなので周りには聞こえないだろうが、一応声を落として話す。
Γ僕の生まれた国では、16歳から男女共に結婚できるの!」
Γじゃあ、無理じゃない。」
酔いが回ってきた私は、ついからかう口調になる。
Γもうすぐ16なの。………子ども扱いしないでよ。」
ムッとするロイ。私は弟でも見ている気分だ。
Γふうん。ねえ、大人のロイ。あなた私を買ってどうする気なの?」
Γ……………」
ロイは私の方を見ずに顔を赤くして黙ってしまった。私はその横顔を眺めていた。
Γ体が目的?」
Γち、ちがっ、違う!」
ストレートな問いに、彼は慌てて首を振った。動揺しながらも、今度は私の目を真剣に見返した。
Γそんなんじゃ、ない。僕は…」
Γ…………」
Γ君を見て……欲しいと…お、思って」
Γありがとう、ロイ。」
ロイは子どもだ。私は真に受け止めたりしない。助けてくれた事実を純粋に感謝したい。ロイの手を握って微笑んだ。
Γルリ。」
口元がにやけて嬉しそうなロイ。すいっとその手から杯を取り返した。ついでに彼が背中に隠していた酒瓶も。
Γあっ!え?!」
Γこのお酒、美味しい。」
ほうっと溜め息をついて、夜風の心地よさに目を細めた。
がやがやと騒いでいた周りから、突然一人のおじさんが立ち上がり注目を促す。
Γはい!ではこれからロイの結婚を祝い、歌います!」
ぱちぱちと拍手が起こり、微妙な気持ちでおじさんの美声を聴いた。




