04 現状把握
そこにあったのは古城であった。蔦はそこにあったものを隠すように壊れた壁から中まで這い回り、その国家の偉大さを垣間見れる大きな時計は今はその役目を果たしていない。
その古城の一室、かつてはかなり栄えたのであろうことがかろうじて想像できる荒らし回された部屋…王室。
そこの隠し扉の先にその男はいた。
「ん~と、clocdisagen?ちがうな、ケホッ、clodbcagein?…これか?…よぉし、解読お~わり!」
男はさっきまでにやにやしながら見ていた古い本をぽいと投げ捨てた。投げ捨てた場所には同じような古本が大量に積まれていて、傍から見ると本の墓場のようだ。
「はぁ、これだけ無ければいいのになぁ…」
男は鏡を覗き込んだ。
男は豪華な法衣を着ており、それなりの地位にいることが窺える。髪は白髪、顔はかなりの美形だった。
「んじゃ~サクッとね♪」
男は懐からナイフを取り出すと、小指を切り落とした。
「ほかもいこっか♪」
男はまるで痛みを感じてないらしく、表情は笑顔だった。
最終的に指を全部切り落としたらしく、下には五本の何かと大量の血だまりができていた。
「えっと…あれどこだったっけな…」
男は何かを探した。
ほどなくして探し物は見つかったらしい。その手にはグロテクスなものが入った瓶が握られており、男はその瓶に自らマルメタ手を突っ込んだ。
次の瞬間その瓶の中に入っていたグロテクスな物はなくなっており、その中にはしっかりと握られた拳があった。
「よし。成功しろ!clodbcagein!」
そして光り輝き―――
------------------------------―――――――――――――――
「で、こうなってると?」
「まあそーだね。俺も正確に話を理解してるわけじゃないし、ようわからんけどね。」
俺が英輔に話した内容はこうだった。
①クラスの男に遊ぼうと呼び出された。
②そこで待っていた男に刺殺された。|(そのとき何か呪文のようなことを言っていた)
③なぜか家で起き、体が女になっていることと、謎の本が部屋にあることに気付く|(つまり①②が夢だった可能性があるが、無関係とは思えない)
④さっき英輔に会った
なるほどわからん。
「で、これからどうするの。」
「それなんだけどさ。実はさ、まだ言ってないことがあって…さ?」
英輔は少しむっとした表情になった。いいじゃん別に
「じゃそれは何。早く言って。」
これで夢だったらただの恥ずかしいやつだな俺。言えば良いんでしょう!言うよ畜生。
「『ステータスオープン』!」
英輔の目が変人を見る目に代わり、本から紙が飛んできて手の甲にペタッと張り付く。
これ絶対ラノベだよなぁ。もしかしたら俺の幻覚かもしれん。
___________________________________
名前 長原木祖 HP 100 MP 500(1) クラス 探究者
LV12
状態 IS789098654 overfr89
称号
『探究するもの ラザァーティニア
効果 MP最大値固定 MP回復アップ HP三分の一 スキル無限所得』
sukeroooo?
___________________________________
「ん?」
ちょっとまて。IS?overfr?sukeroooo?そのあとの数字はなんだ?
「なんだそれ!なにそれ!ちょっと見せろ!」
え、ちょい待て!
「え、は?…?」
英輔も混乱してるようだ。そりゃそうだろうなぁ。
「なにこれ?なんでこんなのが紙にかいてあるんだ?なんで紙はお前の肌に張り付いてんだ!?なぜこれに木祖の情報が載ってるんだ!答えろ!」
俺は突き飛ばされた。ああくそ
「いたっ!何すんの!だから俺は木祖だって何回も言ってるだろ!」
「つーか木祖は女じゃねぇよ!何回言わせんだこいつは!」
ダメだ聞く耳を持っちゃいねぇな。まぁ、こんな事態だから当たり前っちゃあたりまえなんだが。
「だから、どうしてそうなる!というかさっき納得してただろーが!」
「それはお前の会話に合わせたためだ!」
「はあ!?」
いやわけわからんし!
「落ち着けよオイ!」
「だから説明しろって言ってんだろ!」
「ん?まて。納得のいく説明ができるかもしれん。だから少し待て。意外と待て。」
「あ?ああ。」
やっと落ち着いたかこいつは。
とりあえずこのステータスの情報確認だ。
___________________________________
名前 長原木祖 HP 100 MP 500(1) クラス 探究者
LV12
状態 IS789098654 overfr89
称号
『探究するもの ラザァーティニア
効果 MP最大値固定 MP回復アップ HP三分の一 スキル無限所得』
sukeroooo?
___________________________________
まずは状態だ。このISとかoverfrとか言うのがどういったものなのかわからないといけん。
ラノべなんかだと意識を向けると詳細が出たりするもんだが……
意識を「IS」の文字に向けてみる。
……
………
何もなんねぇなぁ、じゃあ触れてみるか。
俺は内心心臓が飛び出るんじゃないかと思うぐらい緊張しながら、指の震えを押さえつけ「IS」の文字をチョンと押した。
何にもならない。
次は長押ししてみる。
何もならない。
あれ?
名前、HP、MP、クラス、クラス名、すべて試したが何も起きない。
あんれぇ?
「……あれ?」
次は念じてみよう。ええと、
『触れろ』
何も起きないのは予想内だ。
『表示しろ』
『詳細を表示しろ』
『IS』
何も起きねぇぞこれ。んーと?もしかして?
『ディテールオープン』
――――――
詳細 ?
キーワードを
入力してくだ
さい
――――――
おお出たっ!
『ディテールオープン IS』
――――――――――
詳細 IS
性転換の証。
なおこの表示がされる
のは呪いによって性転
換した場合のみであり
手術によって性転換し
た場合はISではなく性
転換と出る
(横の数字はどれだけ
呪いが進行したかであ
りoverfrが出た場合は
もう戻れない)
――――――――――
はい?性転換の証…呪いによって性転換…overfrが出たらもう戻れない!?
はい?
俺はその細長くて見にくいウィンドウらしき何かを前に硬直していた。
『××××××××××××××××』
『削除削除削除削除削除』
「ふぅ…」
なぁーるほどぉ!夢か!
いやーほらね?よく考えてみれば不審点はいろいろあったわけよ!
何故刺された後すぐにオフトゥンに戻った?とかあの不思議本は何?とかあの英輔の空前絶後の超思考は何?とか疑問点が天子盛ちゃんなわけですよ!
だけど夢なら全部解決!だって全てが夢だからの文字で完結するんだもの!
いやーでも夢だからなのかすぐ眠れる気がするな!うん!
オフトゥンステンバァ~イ!
レッツスリープっ!