拘束作戦二
皆本は再び麗野が殺害された場所に立っていた。今は一人だ。
一人の方が考え事に集中しやすい。一人の方が気が楽だ。だから家を出た。平瀬から離れた。
言い訳だな、とため息をつく。
皆本は今日起きた麗野の殺害について考えていた。
麗野の死因は射殺だ。それは外傷から間違いはなかった。眉間に弾痕があった。
麗野が倒れた方向から考えて皆本たちから見て前方から狙撃されたに間違いは無い。前方にいたのは姫路一人。
しかし姫路に犯行は無理だ。なぜなら麗野は上から撃たれていた。麗野よりも身長の低い姫路には殺しようがない。
それに加えて、姫路には麗野を殺すだけの理由がない。
麗野に死なれてしまってはエージェントの手がかりを失ってしまうからだ。
もっとも考えられるのは遠方からの狙撃だ。
皆本は周りの建物を見渡した。
ここは住宅街であり高い建物はない。せいぜい二階建てだ。
麗野の眉間の弾痕がどの角度から撃たれたものだったか正確には記憶していなかったが二階から撃たれた事は間違いないように思えた。
遠方から狙撃されたのだとして犯人の狙いはなんだったのだろうか。
皆本たちに麗野が捕まる前にもう一人のエージェントが口封じのため殺した?
玖珂のように平瀬を失っては困る組織がいて、そいつらが殺害した?
では玖珂が犯人か?
しかし彼は麗野の自宅付近にいたはず。だがそれを証明できる者はいない……。
玖珂は皆本たちと手を組むまでエージェントの存在を知らなかった。麗野殺害のタイミングとしては一致する。
だが、麗野を拘束しようと言い始めたのは玖珂だ。
玖珂が麗野を殺害しようとしていたのなら、最初から殺害を提案すればいい。これは明らかに不自然。
なんだ?なにかがひっかかっている。
麗野の殺害される前。
相澤との会話。
「そうか」
皆本は誰もいない住宅街で一人つぶやいた。人影はなく、日はすでに落ちていた。
街灯の明かりだけが皆本を照らしていた。
「ピースはそろった。あとはパズルを解くだけか」
この謎を解いたところで誰も幸せにはなれないかもしれない。
だが助けを求めている者がいる。
助けを求めているものには救いの手を差し伸べるべきだ。
「一人を救った程度じゃあ、おれの人生は報われない。全員まとめて救ってやる」




