第一話~人ならざる者【前編】
機密情報処理班・第三分隊所属一覧
主人公~アルマ・シリウス
指揮官~クレメンス・ボンド
副官~ロジェ・タリス
先輩~ノウマン・アント
同期~クロード・エイス
後輩~アガト・リン
後輩~イリス・フェイト
新人~カロリーナ・ジェニー
いつもの朝日を浴び、
いつもの石造りの道を、
いつもの高級車で、
いつも通り通勤する。
地下駐車場の入り口に立つ警備員に挨拶を済ませ、車を駐車した。
「この車とも、今日でお別れか・・・」
感傷に浸る時間は、無い。
腕時計を見て、時間を確認したアルマは、急いで、建物の中に入る。
「おお、おお、アルマ。優雅に朝帰りか?」
厳つい風貌のクロードが、階段のすれ違いざまに、絡んできた。
「昨夜、『強盗犯が潜伏している』と、通報があった」
強盗は、一般人に紛れた公国人を指す。
「で、収穫は?」
「勿論、空振りだったが、」
「ははは、そうか。残念だったな!」
嬉しそうに笑いながら、アルマの肩を力強く叩き、階段を降りて行く。
「まだ、話は終わっていないのだが…」
クロードと別れ、最上階まで階段を上がると、エレベーターに乗った。
一見、意味不明な行動だが、ちゃんとした理由がある。
階段に備え付けられた防犯カメラには、生体認証の機能が付けられており、
階段を昇り生体認証が一致しなければ、地下への道は開かれない。
アルマが、複数のボタンを押すと、エレベーターが動き出した。
秘密のボタン…この仕事唯一のスパイ要素かもしれない
と思いながらも、地下に着いたエレベーターを降りる。
「アルマさん、お疲れ様です。・・・情報通り、居ました?」
書類を抱えるリンが、覗き込む様に近づき、問いかける。
「ああ。公国人は、居た」
空振りは、見つけた。
捕獲は、抹殺した。
逃亡は、居なかった。
外で使う時は、意味が変わる。
「よし!勝った…」
片腕を掲げると、ガッツポーズしながら、静かに飛び跳ねる、リン。
「お、昼飯は豪勢に!だな」
椅子にもたれて座るボンドが、背筋を伸ばし、立ち上がると、
電子モニターに小走りで向かい、料理画像を写し出した。
「報告書…置いて行きますので。私は、これで」
”長くなる”と悟り、話し掛けられる前に、エレベーターへ戻ろうとする。
「あ、アルマは何が食べたい?」
エレベーターまで、あと少しの所で、ボンドに話し掛けられた。
「私は・・・結構です」
嫌そう顔を、笑顔で誤魔化す、アルマ。
「いいのか?賭けに負けた、クロードの奢りだぞ」
「尚更、お断りします」
クロードが不機嫌な謎が解けた。




