第九話 反旗を翻す【前編】
餡子は?
つぶあん派~アルマ・シリウス
こしあん派~クレメンス・ボンド
こしあん派~ロジェ・タリス
こしあん派~ノウマン・アント
つぶあん派~アガト・リン
こしあん派~イリス・フェイト
こしあん派~カロリーナ・ジェニー
つぶあん派~神父
ポケットの電話が鳴る。
「…はい」
「お!繋がった。今、大丈夫かな?」
「今のところは…無事です」
燃え盛る炎を、一点に見つめる、アルマ。
辺りを気にする、ボンド。
「アルマ・シリウスに、スパイ容疑がかけられた」
「そうですか…そちらにも、第一班が?」
「いや。乗り込んで来たのは、第二班だ」
「第二班?」
第二班は、公国人の情報収集を専門としている
スパイ容疑の調査なら、第一班が動くはずだ
「おそらくは、”例の件”だろう」
「…なるほど」
「私は、追われる身なので、教会に行こうと…そちらは?」
「こっちは…探りを入れておく」
廊下で待機する部下達を見る、ボンド。
通話を切り、人混みの中に身を隠す、アルマ。
第二班の、異様な対応の早さ…
第三班の中に裏切り者がいる、と考えるのが自然だ
殺されたクロードが、第二班の協力者だった可能性もあるが…
保身のために、第二班が身内を殺すとは思えない
「上手く、利用されている様な、気がする」
一般人に紛れ、教会で祈りを捧げる、アルマ。
「では皆様、神のご加護を授けます」
お祈りを終えた神父が、本を手に持ち、祈りを捧げる者に近づく。
「神父さま。少しだけ、お時間を頂いても?」
加護を受けたアルマが、神父の耳元に、話しかける。
「ああ、悩みを打ち明けたいのでしたら、あちらの部屋に」
戸惑いながらも、懺悔室を指差す、神父。
「いえ。神父さまに、個人的なお話しがありまして」
扉の前に移動したアルマは、神父も部屋に入るよう、促した。
「はい?」
カチャ。
神父が部屋に入り、扉を閉めたと同時に、銃を突きつける、アルマ。
「…殺人は、神が、もっとも嫌う行いですよ?」
「問題ない。私は、信仰していない」
アルマに隠れ、扉を開けようとしていた手を、止める。
「貴方…軍の人間ですか」
「教会が、公国人を匿っていると、情報があった」
「…我々に、同じ神を信仰する者達を、見捨てろと?」
「罪を認めるんだな?」
銃を、神父の頭に近づける。
向けられた銃に頭を付け、アルマの目を見る。
「貴方がたは、罪の無い者を、なぜ、殺すのですか」
「公国人が、生きているだけで、死に値する存在だからだ」
「悪人では無い人間を裁くなど…間違っている!」
銃の先を掴み、激しく叱責する。
「反旗を翻す時を与えれば、悪人へと落ちる」
銃から手を離し、安らかな表情で、下を向く。
「可能性で人を殺すと…馬鹿げていますね」
「ああ…馬鹿げた仕事だ」
バンッ。
「公国人への協力は、立派な犯罪だ」
返り血を付けたアルマは、裏口から教会を出た。




