第一話 理不尽な異世界
初投稿の作品です!
全く小説をかいたことがないのでおかしなところや誤字があれば教えて下さい!
優しくお願いします(*´ω`*)
異世界転生系のアニメや漫画が好きな人は一度でもこんなことを考えたことはないだろうか。
もし自分がチート能力を神様から与えられられたら~
もし自分の容姿がイケメンになって王国のお姫様か求婚されたら~
もし自分だけ魔法が使えて敵を圧倒出来たら~
もし自分がパンを咥えながら走り、角で美少女と衝突したら~
あ、最後のは今の自分の願望か。
俺は高校2年生高野幸次は食パンを咥えながら全力でダッシュ中だ。
教室ではいつも小説を読んでいる普通の高校生だ。
一応言っておこう。決してラブコメ展開を期待して食パンを咥えてダッシュしているわけではない。遅刻しそうなだけなのだ。
母は俺が8歳の時に交通事故で亡くなり、父は四六時中建設現場で仕事をしている。
いつもは自力で起きるが昨日のラノベが面白すぎて夜更かしをしてしまったからだ。
そう言い訳を心の中で呟いているところで通学路で最後の角に差し迫った。
「始業のチャイムまで残り2分か」
一か八か間に合うかどうかといったところだ。
仮に間に合わないんだとしたら、せめてラブコメ展開の一つや二つ起きてくれ。
先に言っていた言い訳を台無しにしたところで事件は起きた。
角を曲がった刹那、何かにぶつかり数メートル吹き飛ばされた。
もちろん美少女ではない。車だ。
一瞬だけ記憶を失い、目を開けると映る光景すべてが赤く染まり何もかもが歪んで見えた。
左手、両足の感覚がない。かろうじて動く右腕を少し上げてみると手が真っ赤に染まっていた。
混乱状態だったが、やっと自分が置かれている状況を理解した。
「大丈夫ですか!!意識ありますか!!誰かー早く!!」
通行人だろうか、必死に助けを呼んでいる。
でもたぶん無理だ。自分の体の状態は自分が一番わかっている。
視界も意識もさっきよりひどくなってきた。
徐々に周りが騒がしくなってきた。
助けを必死に呼ぶもの、悲鳴を上げるもの、動画を撮るものたちがかすかに見える。
そして、ゆっくり目を閉じて考える。
ーー俺死ぬのかーーー
意外と人間って死ぬ前は冷静なんだな。
もう転生したとかをいえる余裕はない。
でももう少し青春らしいことがしたかった。
恋というものを経験してみたかった。
もう少し生きたかった、、、
俺の意識は闇に包まれた。
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はっと目が覚めた。周りは明るい。
「俺、あの状況で助かったのか?」
現代の医療技術に関心していたが、実際は違った。
周りを見渡すと森、森、森。
木々たちが揺れ動き、さわやかな風が吹いている。
意味が分からず、自分の体に目線をあわした。
手には狩りでもするような革の手袋、グレーの半ズボン。
上半身にはグレーのTシャツ(?)のようなものを身に着けている。
自分の経験則で理解した。これは、
「異世界転生だ」
まさか自分が異世界転生するとはだれが考えただろうか。
最後の最後で生きたいと願っただからだろうか。
しかし、驚いているばかりではいられない。
今自分はどのような世界に転生されたのか、どこにいるのか
そして、お待ちかねの付与されたチート能力の確認だ。
転生されたということは何かしら特殊な能力は持っているに違いない。
ついさっきに死んだ人間とは思えないほどウキウキしている。
よし、まずは定番能力を確認しよう。
「もしかしたら身体能力があっがているかも」
走ってみた。全く変わらずあの時のままだ。
木に向かってパンチ、キックしてみた。痛かった。
木に向かって石を投げてみた。貫通とかはせずにただ跳ね返ってきた。
大丈夫だ、まだ慌てるような時間じゃない。
次は魔法系だ。
「ファイヤーボール!!」何も起きない
「サンダーストーム!!」何も起きない
「ウォータボール!!」何も起きない
もう一度言っておこう。まだ慌てるような時間じゃない。
「まだまだ、たくさん種類がある。絶対にチート能力は授かっているのきまってる」
目を覚ましたときは明るかったのにすっかり暗くなってしまった。
いろんなものを試した。武器の召喚、使い魔、人間以外との生物の会話。
ここら辺から怪しくなってきて、今検証できる限りの戦闘以外のも試してみた。
建物をすぐ立てれるようになっていないか、道具を作るのが上手になっていないか。
結論から言おう。現時点で何のスキルも授かっていなかった。
「いや、まだここでは検証できていなものもある。きっとある!!きっと、、、」
そう言い聞かせたものの、内心あきらめていた。
だって、神様に能力を授かるシーンがないもん!!あのラノベのシーンはどこいたんだよ!!
ぐうぅ~~
体は正直に悲鳴を上げている。能力の確認で夢中になっていたからだ。
アドレナリンだかドーパミンだかが切れたのかわからないが気温が下がっているのもを感じた。
火おこしをしなければ凍え死んでしまう。
どうしようか考えていると本日二度目の事件が起きた。
「ガルルルル...ガアゥ!」
獣が威嚇するような声が聞こえ、周りを見渡してみた。
そこには人間の身長の5倍以上はあるほどのハスキー犬のような怪物が4匹ほどいた。
「ううああああぁぁぁー!」
思わず大声を上げ、近くにおちていた木の枝をブンブン振り回した。
怪物4匹はじりじりと近づいてくる。
そして、そのうちの一匹が一瞬にして距離を詰め、とびかかってきた。
・・・・終わった。
絶望感に満ちていたその瞬間、弓矢が飛んできて怪物の脳天を貫いた。
前方には時代劇に出てきそうな剣を持っている人や弓をもっている男たちが立っていた。
彼は次々に怪物を追い詰めていく。
捕食者側だったはずの怪物たちはバッサバッサと倒れていく。
そしてついに最後の一匹が倒された。
戦っている人たちをよそに恐怖と衝撃で脳の中が侵されて、半分ほど失禁してしまった。
全部は出してないから俺の勝ちだ。絶対。
ビクビク震えているおれに一人の男が話しかけてきた。
「おい、お前大丈夫か?ここらじゃ見ない顔だな」
よかった。標準言語は日本語のようだ。
もしこれで言葉まで通じなければ絶望パート3に突入していただろう。
さらに展開が進めば意味の分からず処刑とかになっていた違いない。
俺は少し緊張をほぐす。
だが問題はもう一つある。
「ほ、ほ、ほ、んとうにありがと、とうございまます・・・」
クソがつくほどのコミュ障なのだ。
前の世界でも父以外なら見慣れたコンビ二店員とかにしかしゃべることができない。
買うのをあきらめて昼ご飯を食べないということも珍しくなかった。
「どうしたお前?緊張でもしているのか?とりあえず俺たちの村に来るか?」
わっははと笑い、肩をたたいてくる。
何か答えなければと口を開けようとした。
そのとき、すべての力が抜けてしまったのか、俺は膝をついた。
体に全く力が入らない。
近くにいた男が何か訴えっているが、全く聞こえない。
ついに自分の意識が暗闇に包まれていき、ゲームのゲームオーバーの文字の如く目の前が真っ暗になった。
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俺は気が付くとベットの中にいた。
重い頭をゆっくり上げてみる。
周りを見渡してみると昔ながらの木造建築で、サンタクロースが煙突から出てきそうな暖炉や形がいびつなちゃぶ台のようなものがある。
意味が分からず混乱していると、木がきしむような音が近づいてきて、ゆっくりとドアが開いた。
ドアの先にはいかにもシスターと呼ばれそうな修道服に身を包んだ青髪の美少女が現れた。
「幸次さん、目を覚ましたのですね。2日も寝たままだったんですよう」
俺2日も寝てたのかよ。心の中でオウム返しをする。
ていうかなんで俺の名前を?
「あなたは一体・・?」
今更だがコミュ障が発動しない。
不思議とこの人と会話をするときは焦りも緊張もせずにしゃべることができる。
「自己紹介がまだでしたね。私はエリーネ・ベル・エルトラス。エリーネとお呼びください。」
「エリーネさん、俺はこの世界の人間じゃ、、、」
「はい、確か二ホン?というところから来たんですよね?」
なんでそれを?驚いているとエリーネさんはカードらしきものを取り出した。
「あなたのポケットの中に入っていました、アラキさんたちは文字を読むことができないんですよ」
目を凝らしてみるとマイナンバーカードだった。
おそらく俺を助けてくれた人がアラキさんなのだろう。
というかここに来た時点で服装とかは変わっているのに何で都合よくそれだけが入っているんだ?
疑問が膨らんでいたがエリーネさんが話をつづけた。
「いきなりこの世界にきて驚いていますよね。」
「この世界にきて?なんでそんなに冷静なんですか?普通違う世界から来た人だと知ったら警戒すると思いますが。」
「この世界だと異世界からほかの人が来ることは珍しくないんですよ」
まじかよ、記念すべき異世界転生人第1号だと思ていたのに。
「それに危険なスキルを持っているかどうかは保護する前に鑑定しますので」
ということは、、、
「じゃあ、この世界にはスキルとかがあるんですね!俺のは何だったんですか?」
転生時の時以上に興奮しているとエリーネさんが口を開けた。
「ありません」
「え?」
「鑑定の結果、どんなスキルにも該当しませんでした。サポート系や座雑用系、商売系などすべてを調べましたが反応はなしです。」
面玉という面玉が飛び出しそうになるほどの驚愕と絶望を味わった。
「これはめずらしいいんですか?俺だけじゃないですよね」
「いえ。私も初めてのことです。たぶん、この世界で初めてじゃないんでしょうか」
その第一号は本当に求めていない。
しかし、まずか助けてくれたお礼をしなければ。
「さっきは興奮しててお礼するのをわすれていました。助けてくれてありがとうございました。」
「そんなに礼をなさらなくても大丈夫ですよ。もしあなたが悪意のある方や危険なスキルをもっていたら牢獄送りになっていたかもしりませんし」
この子さらっと怖いこと言ったな。
そう考えるとスキルをもってなくてよかったもしれない。というかそう考えないと心がもたない。
俺はこれからどうしていけばいいんだ。心の中で嘆いた。
「幸次さん、家事は得意ですか」
いきなり何言ってんだこの子。
「一応、人並みにはできますけど、、、」
なんでこんな質問をしてきたのか疑問に感じながら答えるとエリーネさんはうれしそうな表情で答えた。
「よかったです。あなたにはこれから凄腕冒険者たちにお世話係をしてもらいます」
これは何かの冗談だろう。きっと、絶対。