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呪い

 あるところに、天才的な画家がいた。画家はその才能で多くの作品を世に残し、多くの人から愛された。

 ある日、一人の女性がその画家の家を訪れた。女性は画家に尋ねた。

「あなたの作品には不思議な魅力がありますね」

 すると画家はこう答えた。

「ああ……それは私の作品が呪われているからでしょうね」

 画画の言葉に女性は驚いた。

「なぜ、あなたの作品は呪われているのですか?」

「それは、私自身が呪われているからです」

 女性には画家が呪われているようには見えなかったが、呪われている理由を画家は話し始めた。

「私は幼い頃に両親を亡くしました。一人で生きていくために、私は絵を描き始めました。それからずっと絵を描き続けてきましたが、ある日気づいたのです。私の絵には人間の欲望が込められていると……」

 女性には画家の言っている意味が理解できなかった。画家は続けた。

「私は、自分の絵に人間の欲望を込めて描いていました。美しい景色を描きたいという気持ちと同時に、他人を支配したいという気持ちも込められていたのです。その欲望が絵を通して具現化してしまい、私の作品は呪われてしまったのです」

 女性は何も言えなかった。画家の作品にはどれもなんとも言えない魅力があるが、それが呪われていたものだとは信じられなかった。

 だか、画家が言っていることが本当だとしたら作品から何か悪い影響を受けるかもしれない。女性は画家に尋ねた。

「どうすれば呪いは解けるのですか?」

 画家は少し考えた後答えた。

「それは私にもわかりません……。ただ言えることは、私の作品を見ないことです。そうすれば呪いから解放されるかもしれません……」

 見ないことで呪いから解放される……果たしてそんな単純なことで本当にいいのだろうか。呪いに詳しくなくてもそんなことで本当に解放されるのだろうか。まだまだたくさん聞きたいことがあった。

 しかし、画家はそれ以上語らなかった。そして、画家は女性を家に帰した。


 それから数年後、女性は亡くなった。死因は交通事故だった。

 女性の家には画家の作品がいくつも布に覆われて置かれていた。


 あるところに、天才的な画家がいた。画家はその才能で多くの作品を世に残し、多くの人から愛された。

 しかし、画家には秘密があった。画家の描く作品は呪われていたのだ。その絵を見た者は必ず不幸になるという。

 それでも画家は描くことをやめなかった。


 なぜなら、画家自身も呪われていたのだから……

2025

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