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第8話 逃げるが勝ち

「あの~何やってるんですか?」


 流石に少し怖かったけど雪音が絡まれてるなら割り込まないわけにもいかない。

 最悪時間を稼ぐくらいのことはしなければ。


「あ!? 誰だてめぇ?」


「今俺たちがこの子と話してるんだよ。とっとと失せろ!」


 男二人がすごんでくる。


「僕その子の彼氏何であんまり怖がらせるようなことするのやめてもらってもいいですか?」


「はぁ!? お前みたいなのが彼氏? 冗談もほどほどにしてくれよ」


「ほんとだぜ。あははははは」


 男二人が腹を抱えて笑っている。

 正直どう思われようと知ったことではないけど早く雪音を開放してほしい。


「雪音帰ろうか」


「秋、」


 そんな二人を無視して僕は雪音のほうに歩み寄る。


「何無視してんだよてめぇ!」


 そういいながら一人の男が殴りかかってくる。

 全く最近の男ってしつこすぎやしないだろうか?

 もうちょっと潔さっていうのを身に着けてほしいものだ。

 そう思いながら隣から迫ってくる男の拳をぎりぎりで避ける。


「あぶなっ!」


 すっと頬をかすめるだけで済んだけどこれが直撃したら顔面が陥没しそうなので絶対にもろに喰らいたくない。


「何避けてんだよ!」


「いやいや、普通避けるでしょ」


 避けない奴は重度のドMか変態の二択だ。


「それよりもそろそろ開放しちゃくれませんかね?」


「ああ? お前がどっかに行けよ。今から俺たちがこの子と楽しく遊ぶんだからさぁ」


 話が全く通じない。

 襲ってくる頭痛を何とかこらえて男たちに向き直る。

 さて、どうしようか。

 まともに話して解放してくれるとはとても思えない。


「とりあえず絶対に僕から離れないでね?」


「う、うん」


 後ろにいる雪音にそう声をかける。

 後ろにいる限りは僕が盾になれる。


「さて、やるか」


 自分の中のスイッチを切り替える。

 勿論僕に人を殴った経験とかないし喧嘩なんてほとんどしたことが無い。

 そんな僕が唯一出来ること。

 それは、


「ていっ!」


 勢いよく男の股間に向けて蹴りを放った。

 男は反応が遅れたのかノーガードで蹴りが直撃する。


「うぉ、、、がっ」


 すると男は股間を押さえてうずくまる。

 その様子にもう一人の男が駆け寄っていく。

 その瞬間を見逃さずに僕は雪音の手を取って走り出した。

 こういう時は逃げるが勝ちなのだ!


「走って!」


「う、うん」


 2人で全力疾走する。

 幸いにも雪音は運動神経がいいため全力で走っても難なくついてきてくれる。

 少し走って明るく人通りの多いところまで走って一息つく。


「はぁはぁ、雪音大丈夫か?」


「うん。それよりもなんであそこにいたの?」


「いや、悲鳴が聞こえて駆けつけてみたらお前が絡まれててやばいって思って駆けつけた」


「そんな偶然あるんだ…」


「あったんだからしょうがないだろ? それよりも変なこととかされてないか?」


「うん。それは大丈夫。ちょっと危なかったけど秋が助けてくれたから」


 肩で息をしながら雪音は笑みを浮かべてくる。


「そっか。ならよかったよ。雪音の用事が終わってるなら一緒に帰らないか? 送っていくよ」


「もちろんお願いするよ。用事はとっくに終わってるからさ」


「了解。じゃあ、行こうか」


 自然と手を差しだす。


「うん!」


 雪音は差し出された手をぱちぱちと見つめた後に破顔して手を握ってくれる。


「さっきの秋すっごくかっこよかったよ」


「ん!?」


 いきなり耳元でそんなことを言われるものだから照れてしまった。

 全く心臓に悪い。

 でも、彼女にこういわれて嫌な気もしないので別にいっか。

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