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第7話 初恋のジンクス

「まさか、こうなるとはな~」


 自室にて僕は一人そうこぼしていた。

 まさか、雪音に彼女ができたって冗談を言って付き合うことになるなんて思いもしなかった。

 本当人生は何が起こるかわからない。


「でも、照れ隠しにしてはやりすぎだよな~」


 今まで受けてきた罵倒の数々はかなり心に来ていたのを覚えている。

 好きな人に毎日のように罵倒されるんだからさすがにあの時はしんどかった。

 でも、その日々があったから今があるともいえる。


「そう考えれば雪音に感謝なのか?」


 いや、それは違う気がする。

 そもそも雪音が最初から行き過ぎた照れ隠しをしなければもっとスムーズに事が進んだ気がするけど、まあいいか。

 結果的には付き合えたわけだし。


「初恋は実らないってジンクスは案外嘘なのかもな」


 天井を見あげながら僕は純粋にそう思った。


「にしても、雪音の用事って何だったんだろうか」


 今日は休日。

 本当はデートに誘ってたんだけ今日は用事があるからといって断られてしまった。

 まあ、付き合ってすぐに束縛なんてしたくもないからどんな用事かは聞かなかったけど気になりはするよね。


「う~んなんだかむずむずするな。しょうがないからどこかに行こうか」


 いつも雪音が隣にいたからどうしても一人でいるとむずむずしてしまう。

 あまりに暇だから僕は近くの街に出かけることにした。

 一人で出かけるのは久しぶりだけどまあいいか。


 ◇


「いや~久しぶりに漫画を大量に買ったな」


 出かけてからぶらぶらと街を歩いてると久しぶりに見る書店が目に入ったのでその中に入るとしばらく買ってなかった漫画の新刊が置かれていたからそっこうで買ってしまった。


「この漫画雪音も気になるって言ってたし今度一緒に見ようかな」


 戦利品の入っているビニール袋に目をやりながら一人そうこぼす。

 今度雪音と一緒に読もうと決めて僕は家に向かって歩いた。

 周りは既に少し暗くなっているから早く帰ろう。


「ここら辺はお世辞にも治安がいいとは言えないからな」


 歩く速度を少し上げて僕は家に向かう。


「きゃーーーー」


 家に向かっている途中にそんな悲鳴が聞こえてきた。

 ここは町から少し離れていて人通りも少ない。

 どう考えても面倒ごとの予感しかしない。

 でも、自然と悲鳴の方向に足が自然と向いてしまったのはその悲鳴の声が雪音に似ていたからなのかもしれない。


「まさかな」


 背筋に走る悪寒をなるべく気にしないようにして走って悲鳴が聞こえた方向に向かう。


「いいじゃねえか。俺たちと遊ぼうぜ?」


「そうそう。絶対に気持ちいいからさ」


「やめてください!私彼氏いますし」


「そんなの関係ねぇよ。いいからこっちにこい!」


 そこにはガラの悪そうな男二人に言い寄られている雪音がいた。

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