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第2話 こうして僕に彼女(空想)ができた。

「彼女ができたって嘘をつけばいいんじゃないか?」


 あれからずっと考えて僕はそんな結論を出した。

 流石の雪音でも彼女がいる男の家に上がり込もうとはしないだろう。

 この作戦で行くとして、彼女がいるっていう嘘が通用するかという問題が出てくる。

 今まで恋愛経験がゼロの僕がいきなり彼女ができたといって信じてもらえるか。

 写真を出せとか言われたらその時点で積みな気がする。


「でも、僕には一緒に写真を撮ってくれるような仲の女の子は残念ながらいない。それどころか女の子の友達すらいない」


 あれ? 彼女がいるっていう嘘通用しないんじゃないか?

 一気に不安になってきた。

 でも、やらないと僕に平穏はやってこない。

 バレたら散々馬鹿にされるだろうけど僕にはこの作戦しか道がない。

 ならば実行するほかないだろう。


 ◇


「ねえ秋そこの漫画とって~」


 やはり、というべきかやっぱり雪音は今日も僕の部屋にやってきた。


「その前に真剣な話があるんだけどいいか?」


「え? なになに秋が真剣な話って珍しいね」


「そうかもな。はっきり言うとな僕にその、、彼女ができた」


「は?」


 今まで聞いたことないくらい低い声を雪音は出していたけど僕は気にせずに続ける。


「だから、もう僕の部屋には来ないでほしい。さすがに彼女に申し訳ないし」


「え? は? あの秋に彼女ができた?うそでしょ!?」


「残念ながら? 本当だ。だから来ないでほしい」


「昨日まではそんなのいなかったよね?」


「昨日告白されて付き合い始めたんだ」


 とっさに嘘をついてしまったけど、こうでも言わないと雪音は引き下がりそうにない。


「、、、そう。わかった。それは彼女さんに悪いもんね。じゃあ、私は帰るよ」


「あ、ああ。ごめんな」


「別に秋が謝ることじゃないでしょ。じゃあね」


 雪音はそういうと、とぼとぼと僕の部屋から出て行った。


「なんか妙に聞き分けが良かったな」


 もう少し粘られたり彼女のことを聞かれるかと思っていたけどそんなことは無かった。

 まあ、これで当分の間は独りの時間を満喫できるわけか。

 そう考えると少し心が躍る。

 それに隣でずっと暴言を言われることが無くなるのだから最高だ。


「さて、今から何をしようか」


 いつもはこの時間雪音がいるから雑談とかしかしてなかったけど。

 久しぶりにゲームでもするか。

 雪音がいるとゲームしてると怒ってきたからできなかったんだよな。

 久しぶりにゲームの電源を入れてゲームを始める。

 でも、意外と退屈ですぐに飽きてしまった。


「う~ん。なんでだ?時間が経つのが遅い」


 雪音といたときはあっという間に時間なんて過ぎて行ったのに。


「まあ、いいか。買って読んでない本でも読んでれば時間なんてすぐに過ぎるだろう」


 そう思い本棚に積まれていたラノベを適当に読み進める。

 最近はラブコメがマイブームだ。

 高校二年になっても恋愛経験ができていない悲しい人間だからせめてラブコメでも見てにやにやしたい。

 というか、本当に彼女が欲しい。

 僕の何がダメなんだろう。


「顔はそこまで悪くないと思うんだけどな」


 自分で言うのもなんだけど顔はまだ整っているほうだと思う。


「性格か? そこまで悪いとは思わないけどこればっかりは主観じゃわかんないからな」


 そこで自問自答をやめて再びラノベに視線を戻す。

 そこから母さんに呼ばれるまで僕は黙々と読書を続けるのだった。

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― 新着の感想 ―
そら暴言吐いてくる輩なんざ、たとえ幼馴染だろうが許される事ぢゃないし、 普通に誰だって嫌な思いをするだけだわな。
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