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記憶喪失になったら婚約者から溺愛されるようになりました  作者: 四十九院紙縞


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8/9

8.――「今日はめいっぱい遊びましょうね」

 侑誠さんと遊園地に行く。

 そのことに思考の大半を占拠されているうち、約束の日がやってきた。

「おはよう、流華」

「おはようございます、侑誠さん」

 侑誠さんは、例によって約束していた時間よりも随分早くに迎えに来てくれた。

「あの、侑誠さん。顔色、ちょっと悪い気がするんですが、大丈夫ですか?」

「別に。……あー、いや、その。今日が楽しみで、あんまり寝れなかっただけだから……」

「あまり無理はなさらないでくださいね」

 でも、と私ははにかむ。

「楽しみにしていたのは、私も一緒です。今日はめいっぱい遊びましょうね」

「……そうだな」

 侑誠さんはまた耳を赤くして、そっぽを向いてしまった。

 今の私の発言に、なにか問題があっただろうか。

 そんなことを考え始めた刹那、侑誠さんはすっと私に左手を差し出した。

「そ、それじゃあ、行こうか」

「……はい! よろしくお願いします」

 その左手はエスコートする為のものだと信じ、私はそっと右手を出した。すると侑誠さんはその手を優しく握り返してくれたのである。私よりも大きな手。とても安心する。



 遊園地に到着し、お揃いのカチューシャを買った。

 侑誠さんは照れくさそうにしていたけれど、「たまにはこういうのも悪くないな」なんて言って不器用に笑って見せた。

 アトラクションは、とにかくいろんなものに乗った。

 ジェットコースターの種類が豊富な遊園地だったので、それを制覇することにした。どうやら私は絶叫系のアトラクションは得意なほうだったらしく、どれも、とても楽しかった。

 逆に、お化け屋敷はひどく苦手だったようで、私は終始侑誠さんの腕を掴んでいた。お化け屋敷を出ると、侑誠さんの顔は真っ赤になっていた。何故?

 昼食は、この遊園地で名物となっているものを食べた。ハンバーグもエビフライもオムライスもある、大人向けのお子様ランチのようで、とても美味しかった。

 たくさん遊んで。

 たくさん笑って。

 気づけば、日は傾き始めていた。



「……最後、観覧車に乗らないか?」

「良いですね。行きましょう!」

 この遊園地の観覧車はとても大きく、この辺り一帯を遠くまで見通せるらしい。時間帯的にも、少し早い夜景のようなものが見られるかもしれない。そう思って、私は侑誠さんの手を引いた。

 思えば、今日は朝からなんだかんだ手を繋いでいた。お化け屋敷でこそ顔を真っ赤にしていた侑誠さんだが、それ以外はずっと上機嫌に手を繋ぎ返してくれていた気がする。やっぱり優しい人だ、と思う。

 観覧車に乗り込むと、ゴンドラはゆっくりと上昇していく。

「……流華。ちょっと話したいことがあるんだけど、良いかな」

 外の風景を眺めていると、正面に座っていた侑誠さんは、とても真剣な佇まいでそう切り出した。

「は、はい」

 私もつられて、居住まいを正す。

 侑誠さんはそれを見てから、小さく深呼吸をし、話し始める。

「今まで、ごめん!」

 溜めていたものを放出するような大きな声で言って、侑誠さんは頭を下げた。

「え? え、いや、あの」

 侑誠さんの話したいことというものに予想がつかなかったのもあるが、まさか初手で謝られるとは思っていなかった私は、わかりやすく狼狽していた。


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