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第五十四章  ---アビリティ・メジャメント--- (3)

・・・壁沿いを進みだして、10分ほどが経過

しただろうか。


北道が大き目な声で、


「ここから、壁から少し離れて移動する!」


マリアが聞こえる様に

「お姉さま、前の女たちに聞こえる様に

 言ってますよ!」


アリスは小声で、

「・・・かわいいじゃないの。

 さっきマリアが言ったこと、信じたのよ。

 それより、そのクラスすごいスピードで

 来てるわね。」


アリスは他のクラスの子たちを暗視して、

楽しんでいるようだ。


「おーい!森の中に入れ!・・(しのぶ)~!!」


マリアは(あきら)めたトーンで、

「あ~あ・・・言っちゃったよ。」


マリアの背中を笑顔でさするアリス。


キャロライン()、3人も森の中へ入って

行った。


「エリアが、1キロないし1.5キロ四方(しほう)

 あったとして、もう少しで次のエリアに

 入ると思われる。

 先頭車両にいた、優秀な奴らがPvP狙いで

 H~J組をターゲットに最速で来る

 可能性がある。」

北道が独り言のように話す。


F~J組は魔道具の制作や、学問としての

魔霊法の研究を愚直(ぐちょく)に行うクラスだ。


中でもH~Jクラスは、普通の大学研究生

で量子電脳を持ち、最低限の魔霊法が

使える者がいる程度だった。


特に体力強化系や、偵察系又は斥候(せっこう)

ましてや攻撃系の魔霊法が使える者は、

皆無だったのだ。


「俺たちの方に向かって来るチームも

 ある(はず)だ。」


前方から結構、大きな声で

(ひら)けた~!!開けたぞ~!!」


叫んでいる人たちがいる。


「・・・急ぐぞ!!」

北道は独り言のように話し、身を(かが)め、

小走りに歩を進める。


前が明るくなりはじめ、森の切れ目が

判断できる所まで来た。


急に立ち止まって、

「・・・遅いぞ~・・・」


北道は振り返らずに、小さ目な声で

言った。


「・・・遅いのは貴方(あなた)の方では

 なくって!」


()左斜(ひだりなな)め後ろからマリアが話す。


北道は、驚いて振り返る。


(全く、音も気配も無かった・・

 ・・何故だ・・・)


「前の子たちにも、山に登るように言い

 ましょう。」


アリスが、北道の右後ろの、背の高い

雑草の奥の見えない所から話す。


(・・・・・!!)


北道はこちらも、把握できていなかった。


◇◇◇


---約8年前---


プロテノール・パピリオとの会話が

蘇った。


「シロー、あなた本当に隠形(おんぎょう)下手(へた)ね!」


「いや、師匠のように足音も消したつもり

 でしたが・・・

 師匠にしか、ばれませんって。」


「もう教えて、5年になるのよ!

 ・・・しっかりなさい!

 本物の隠形者はサーマルにも、本当に

 映らないそうよ。会った事ないけど。

 体術や霊法を極めても、その域に達する

 事の出来る者は、ほんの一握り・・・

 だけど、シローには達成してほしい

 のよ・・・出来るはずだもの・・・

 貴方は、伝説のチームラスティの

 親衛隊長の息子なのだから・・・!」

  

プロテノールの目に涙が浮かぶ。


10代後半で、今ほど筋肉も無く、

あどけなさの残る北道少年は、彼女の

一番弟子となっていた。


北道も母子家庭で育っていた。


母親はプロテノールの部下で、ある作戦

行動中の事故で、亡くなったのだ。


北道の母はプロテノールの2~3歳年上

ではあったが、責任感が強く、一番信頼の

置ける部下でもあった。


その後プロテノールは、13歳の北道シロー

を養子にした。


シローは、5歳で空手を始めており、

養子となった13歳の時には身長も170㎝

を越え、黒帯師範代となっていた。


当時、プロテノールに対し

「俺にかまうな!!!」


まさしく反抗期、


それが、シローの口癖だった。


有る時、ジュニアハイスクールからの

帰りに、後ろから薬品を嗅がされて、

何者かに倉庫の様なところに拉致された。


彼が気が付くと、両手両足を結束(けっそく)バンド

でフィジカルロックされ、布の袋を頭

から被せられていて周りが見えない。


どれ程の時間、眠らされていたのか、

セメントの床で、寝かされている

状態だ。


(俺を殺す気なら、もう既に殺されて

 いただろうな・・・)


周りには5~6人の人の気配と、金属の

リロード音からハンドガンを持って

いる事も判った。


(もう少し、気絶した状態を続けよう・・)


「まだ、連絡はないのか・・・

 もう一度、メールしてみたらどうだ?」

シローをさらった連中の声がする。


(俺をさらって、誰を呼ぶんだ・・・

 もしかして、あの女か・・・)


「見張りからの連絡はどうだ?」


「・・・・・・・・」


少しの間があって、


ザッ、シャ、シュ、シャ、シュ・・・


サーーーー!


驚くほど静寂になる・・・・


強烈な血の匂い・・・・


「ゲホッ、ゲホッ・・・」

シローは(むせ)いだ。


「シロー・・・大丈夫?

 私のせいで、ごめんね。」


聞きなれた、プロテノールの声がする。


パチン、パチン、

結束バンドが切られて、手足に自由が

戻る。


「まだ、袋は被ったままでいてネ。」

プロテノールが優しく言う。


その後、プロテノールは、シローが

世界一尊敬する伝説のMMAの頂点、

ビアノル・クラメルの一番弟子だと

知り、ますます傾倒していく事になり、

喜んで訓練を続けていくのだった。


(MMA:ミックスドマーシャルアーツ

     は総合格闘技の意味)


◇◇◇


我に返った北道は指示を出す。


「10時方向、岩山に登る!

 森を出たら急げ!」


先を行くキャロライン達が、もたもた

していた為、追い付いた。


「俺に、続け・・・


北道はキャロラインたちの前を進む。


「マリアさ・・ん(たち)は、殿(しんがり)を頼む・・」


言いにくそうに、独り言のように

言う。


「マジで言ってますぅ?」

マリアが反応する。


アリスが直ぐに言った

「判りました!男の人。私たちは

 最後から追いかけますから・・・」


「お姉さま、この人、舐めてますって」


「マリア、もう少しで楽しくなるわよ!」


アリスが少し悪い顔になっていた。

有難うございました。

続きが読みたい。いい感じ。興味ある。仕方ないな。

関心を持って下さった皆様。

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とても励みになります。

ブックマークも出来る方は、

どうぞ宜しくお願い致します。(りん)

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