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第五十章   ---BEAST---  (3)

15m以上高さのある天井も、ごつごつ

とした岩がむき出しとなっている。


ただこのエリアは、間違いなく人工的に

創造され、張り巡らされた、広大な洞窟

のスペースだった。


「・・・族長!上!」


副団長ダンケが気付いた時には、天井の

岩肌に擬態していた2体が羽を広げ、

銃を向けながら、3体を挟む様に舞い

降りて来た。


「ピューーピューーピューー・・・」


特殊な鳴き声が仲間に知らせる為の、

警報音だと気づく。


「ピュー!銃を捨てな!もう仲間もやって

 来る。大人しくした方が身のためよ!」


全身が茶色や白の羽根や毛で覆われた

2枚の大きな翼が肩から生えており、

顔はどちらかと言えば猛禽類に近い

造形をしている。


身長は3m程だが、色の変わる羽を

広げると5mを越える大きさがあった。


1体は白っぽい麻のワンピース、もう1体

朱色の麻のワンピースを着ている。


挿絵(By みてみん)

(ゴメリー)


挿絵(By みてみん)

(バーミリオン)


ゴッドネルは足元に静かに銃を置いた・・・

「皆、すまない・・・」


何かを悟った様に、団長ゲイルも頷いて、

静かに銃を置いて両手を頭の後ろに組む。


ダンケも愚痴(ぐち)りながら足元に銃を置いた。


「・・・バーミリオン、よくやった・・・」


一瞬で間合いを詰めて来たのは、餓狼族(がろうぞく)の囚人

たちのリーダーで、デクーと呼ばれていた。


バーミリオンと呼ばれたのは、朱色の

ワンピースを着た猛禽類族(もうきんるいぞく)の女性だ。


デクーに続き、後からぞろぞろと餓狼族の

囚人たちが追い付いてきた。


挿絵(By みてみん)

(デクー)


デクーがニヤリとして


「・・・・・ライオン族!

 ・・・・・ライオン族のゴッドネルだな!

 ・・・・・これは運が向いてきたぜ!!

 3人とも縛って、賢者モートンの所へ

 連れて行け!」


◇◇◇


1キロ程歩いた所に、朽ち果てた石造りの

3階建ての建物があり、所々に穴が開いている。


建物に入り、薄暗い廊下の突き当りに

研究室があり、猿人族の科学者、

モートンがいた。


挿絵(By みてみん)

(マッドサイエンティスト モートン)


「これは、これは放蕩息子のゴッドネル様、

 それに私を牢に入れてくれた、ダンケ!

 この恨み忘れた訳ではないぞ。」


モートンは少し落ち着いた口調で話すも、

ねちっこい性格は隠せない。


「ビーストの中でも3本の指に入る、

 マッドサイエンティスト、モートン!

 旗艦にお前が乗っているのを知ってたら

 俺様がとっくにスープにしてるぜ!」


両手に電子錠を()められ、銃を突き付けられ

ながらも、副団長ダンケはズケズケ言った。


「ク~、言わせておけば・・・」


デクーが割って入った。


「賢者モートン、待ってくれ、起動コードを

 調べてくれていただろう。

 ゴッドネルのバックパックに(つな)いでみろ。」


縦2m、横1mほどの金属製の箱を

モートンに渡す。


モートンは我に返って笑顔になり、


「デクーよ、初めて頭を使ったな。フォフォ

 これで起動できるぞい。」


そのバックパックから音声が流れる。


「恒星25番7号の重力崩壊が始まりました。

 爆発まで約15分です。

 ・・・この惑星への衝撃波の予想到達時間

 は、爆発から約10分後です。」


モートンがデクーに話す・・・


「もう、あまり時間がありませんな・・・・

 デクーよ、皆をゲートの近くまで連れて

 行くのじゃ。」


次にモートンが縛られたゴッドネルを見て、


放蕩息子(ほうとうむすこ)よ、お前にもう少し知恵が

 ありゃあのう・・・」


室内にある量子機器の画面を触りながら、

付属のケーブルをゴッドネルのバックパック

の端子に接続した。


バックパックの広い面が光って、パネル

となって多くの文字や記号が浮かび上がった。


モートンは無駄のない動きで、そのパネル

を次々にタッチして、室内にある量子機器の

パネルを観る。


「・・・よし!やはりバカ息子にもコードを

 持たせていたか。ライオネルは優秀過ぎる。

 優れた親は、何でも先回りしてやってあげ、

 子供に苦労をさせないのじゃよ。

 ・・・だからお前のようなバカになるのよ。」


ゴッドネルに対し、容赦のない言葉を浴びせる。


「父は尊敬に値するが、私の方が優秀だ!」

ゴッドネルは辛うじて反論する。


多くの囚人が(まと)まって建物の裏口から

外に走り出ていく足音が聞こえる。


「・・・本気で言っているなら恐ろしいわい。

 警備の部下も大変じゃのう、フォフォ・・」


モートンは話しながら、バックパックに

浮かんだ文字列を、量子機器の端末のパネルに

素早く打ち込んでいく。


それは500種類に及ぶ象形文字(しょうけいもじ)に似た記号を、

量子機器のパネルに配列された記号列の中から

同じものを探し、選んで押さえていく。


通常の獣人であれば、気の遠くなる時間の

かかる作業だった。


しかしモートンはその作業を行いながら、

普通に会話していた。


「・・・ドラゴン族のお前さんはどう思う。

 放蕩息子より、強いし頭も良かろう・・・

 バカな上司を持ったせいで、死に・・・」


ゲイル団長が言葉で(さえぎ)る!

「モートン!バカはお前だ!

 いずれ、間抜けな餓狼族の(えさ)になるぞ!

 俺たちと一緒に行くなら助けてやる。」


ダンケ副団長は突き放すように言う。

「モートン、俺たちホワイトウルフ族は、

 猿人は食わないが、奴ら犬コロは雑食

 だから食い物が無くなれば、真っ先に

 お前が胃袋に入るだろうよ。」


モートンがいやらしい笑みを浮かべる。

「そんな事は、誰でも予測できることよ。

 奴らがゲートを潜った後に、行き先を

 変えるのよ。

 残念・・・だったのぉ・・フォフォ。」


もう、先ほどのバックパックのアナウンスから

15分が経とうとしていた。


「・・・・・・よぉし。完成じゃ。

 お主らを(わし)に消す力は無い・・残念じゃが

 そのまま、ここでお別れじゃ・・」


バックパックを肩に担いで、室内から手を

付きながら、猿走りで出て行った。


直ぐにゲイル団長は口から超高熱線を出して

自身の手足の電子錠を解除した。


次にゴッドネル、ダンケを開放する。


「取り敢えず、ゲートに向かうぞ!」


ゴッドネルが指示を出す。


先頭にダンケ、ゴッドネル、ゲイルの順で

建物の裏口から慎重に外に出る。


400m程先の洞窟を抜けた先に、ゲートは

存在した。


挿絵(By みてみん)

(プラネットゲート)


ゲートから100m以内に、餓狼族の

囚人全員がばらばらに立った者、座って

いる者などが居り、モートンを待っていた。


「・・・フォフォフォフォ・・・」


ゴッドネルはまだ、建物の裏口近くで止まり

その様子を観ていた・・・


モートンの笑い声がして、餓狼族に近づく。


ゴッドネルは自身の尾に着いた、装飾品の

金属の環を、さっと抜き取った。


環の装飾品の金属表面が、スライドで開き

赤いスイッチが見える。


ゴッドネルは表情を変えず、スイッチを

押した。

「・・・・・終わりだ。」


次の瞬間、ドドドバーーン!


轟音(ごうおん)が響き渡り、地面が揺れた。

3体は対物理バリアを張った。


炎が半径50m位を焼き、数百メートルの

範囲を高温の爆風が通り過ぎた。


少ししてピチャピチャっと餓狼族の肉片

や、猿人の足が3体の近くまで飛んできた。


ゲート付近には囚人たちの影は無かった。


・・・キュピーキュピー


「・・・建物の中から声がする。」

ゲイルが(つぶや)く・・・


「族長、時間がありませんぜ!」

ダンケが言・・・


既にゲイルの姿は無かった。


建物の3階に跳躍し窓から侵入する。


縦横15メートルほどの朽ちた石だらけの

室内に2体の猛禽類が太い鎖につながれて

いた。


ゲイルは口の中から20センチほどの細長い

白いストローの様な器具を取り出し、

鎖に向けると、白い高熱線レーザーが出て

直ぐに断ち切る事ができた。


ゲイルは朱色の衣を着た1体に向け、

「このレーザーメスのお陰で、

 命拾いした。例を言う。」


深々と頭を下げた。そして、


「急げ、一緒に来い!」


2体に指示して、3階から飛び降りた。


それを待っていた、ゴッドネルは

「・・・あと1分も無い・・・走るぞ!」


ゴッドネルは先頭に立ち、ゲートまで

約30秒でたどり着いた。


ゲイル団長もダンケ副団長も、猛禽類族の

2体も遅れ無く、ゲート前に到着した。


「ゲートは失われた文明の創造物だ。

 地殻変動にあっても、起動するものも

 あると聞く。

 多少の爆発で壊れるようなものでは

 無いはずだ。」


ゴッドネルが自分に言い聞かせるように

話す。


ダンケが話す。

「・・・旗艦長代理、囚人ともども心中

 するのかと思いましたよ。本当に。」


ゲイル

「ゴッドネル艦長を信じるのだ。ダンケ!

 お前からゲートに入れ!

 ・・・もう10秒もないぞ!」


ダンケ

「・・・ひぇ、判りましたよ!」


ダンケが走り込み、

猛禽類族の2体が飛び込み、

次いでゴッドネル、

最後にダンケが走り込んだ。


次の瞬間、光で空が真っ白になった。


◇◇◇☆彡


近隣の宇宙空間全域が真っ白に光った。


恒星の爆発による高温衝撃波のエネルギー

は、彼らの居た惑星を数百万度の高温で

焼き尽くし、その衝撃により、公転軌道

を外れる事となった。


◇◇◇

有難うございました。

続きが読みたい。いい感じ。興味ある。仕方ないな。

関心を持って下さった皆様。

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ブックマークも出来る方は、

どうぞ宜しくお願い致します。(りん)

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