第四十八章 ---神聖科学--- (3)
2221年04月15日(日)AM11:00
古都、嵐山に存在する赤坂離宮を模して
建設されたという、荘厳な宮殿と呼べるような
ペタルズ所有の建物が、今の彼女らの住まいだ。
1階のダイニングは所々、木目調のプリントが
された強化タイルが使われ、耐震や対ショック
防御、耐熱に特化した建築強化が成されていた。
しかし実際に目で見ると、完全に和風建築の
佇まいで、少し洋風折衷した部分もあり、
和風モダンな雰囲気を醸し出していた。
窓からは前庭の整えられたクリーピング
ベントグラスと呼ばれる芝の緑が見えて、
大理石で出来た幾何学的な石柱が何本か
見える。
ダイニングの床は白い大理石タイルで覆われ、
約40帖の広さがある。
7m×2mの巨大なダイニングテーブルは、
ジパング南西部の島に群生する杉の巨木から、
切り出して、一枚物で作成されたものだった。
そのダイニングテーブルの、下座の議長席には
マリアが座り、10品目のアラカルトの皿で
卓上は埋まっている。
メイドがやって来て、空いた皿を取って、
代わりに料理の乗った皿をそこに置く。
今日のマリアは客室乗務員の様なスタイルだ。
赤や黄色と白の入ったメルメスのスカーフを
薄い桜色のブラウスの大きな襟下に巻いて、
正面でリボンを作り、白いタイトスカート
を合わせていた。
7m離れた上座の議長席には、アリスが座り
コーヒーカップを左手に持って、卓上には
カップソーサーのみが残されていた。
マリアは少し大きな声で、
「お姉さま、もうコーヒー三杯目ですよね!
少し何かお食べ下さい!」
今日は朝から何故かボーッとしているアリスを
気遣ってか、マリアは何か落ち着かないでいる。
アリスは真っ白なレースをあしらった
ワンピースのネグリジェを着ており、
上からピンクのカーディガンを羽織っている
だけの寝起きの状態だ。
「お姉さま、お買い物に行きましょうよ!
着替えてきて下さいよ!」
アリスはタブレットに向けていた目を、
マリアに向けて、
「マリア、貴女の声は小さくても聞こえるの。
私の聴覚を潰す気?」
今日のアリスは少し機嫌が悪い様子。
少しシュンとしてマリアは、
「お姉さま、月曜日から学校が始まります・・
どうされますか。」
アリスは少し反省して、少し笑顔を作って
「マリア、月曜日は何があるの?」
マリアも少し笑顔になって、タブレットを
観ながら、
「1年生だけアビリティ・メジャメントって
なってます・・・何か、能力検査的な、
そんな感じです。お姉さま行きますか?」
「マリアは、危険ね。絶対、能力を爆発
させちゃうわね。」
「お姉さま、約束しますからぁ、ほら、
他の子の能力、視てみたいと思いま
せんか?興味ありませんか?
お姉さまぁ、私は視てみたいのですぅ。」
「ほんと、甘え上手だこと。マリア、では
人間の出せるエネルギーを越えない事。
絶対、約束よ。判った?」
アリスも目が覚めて、少しすっきりしてきた。
「お姉さま、測定方法に面白いのが・・・」
その刹那!緊張が走り、
アリスの身体が霧のように消えた・・・
マリアの脳内にも、一瞬でエクサ単位の量子
情報が、コンマワンセカンドの間に、爆発的
に駆け巡った。
「お姉さま・・・メタトレース・・・」
◇◇◇
薄暗く、埃っぽい空間に転移した。
足の踏み場もない程の数々の瓦礫、地震と
いうより、爆発の後である事は疑いようも
ない。
マリアはアリスの少し後ろに転移した。
先の方に非常灯だけ点いたエリアがある。
アリスは周りの状況をゆっくり確認して、
その先に何人かの検査服を着た人間が、
倒れている方へ向かう。
小声でマリアが
「お姉さま、あれはプラネットゲートですね。」
アリスが困ったように俯いて、
「・・・繋がってしまったわ・・・」
「・・お姉さまが、すぐ切断したのですね。」
「まさか、早くも人が繋げる事が出来るなんて、
思ってもみなかったわ・・・
この惑星上なら、転移も問題無いと思って、
放置していたのだけれど・・・」
アリスは、倒れている人間をサーモモードで
見て、全員が生きている事を確認すると、
倒れている中でゴーグルを付けている男性に
近づくと、
「・・・ごめんなさいね・・・」
そう言って指先から稲妻をゴーグルに向けて
走らせた。
「マリア、帰るわよ・・・」
非常灯だけの薄暗い空間から二人は消えた。
直ぐに奥から、呼び声と共に数人の人間が
入って来た。
◇◇◇
自宅のダイニングの空いた空間に、球状の
光が現われて、直ぐ中に2人の姿がある
事が判った。
二人は元のテーブルの椅子に座ったあと、
沈黙が続いている・・・・
マリアは何十年か昔、あの人とお姉さまが
話していたいくつかの場面を思い出す。
(姫様はエデン最後の1人なのですから・・)
(この星系には、叔母様、貴女が居る、
何にも心配してないわ。)
(マリアがせめて一人前になるまでの間・・)
・
・
・
・
(エデンの科学者たちが造ったゲートを、
私は責任もって、潰さなければならない!)
(姫様、貴女は創始者デイタリウス殿下の
娘として育てられたのよ!
我がままばかり言わないで・・・)
(叔母様、ゲートを潰す事こそが、まず
ビーストを押さえ込む事になるの!)
(姫様、まず深刻なのはトラデスでしょう。
殿下以外、貴女しか太刀打ちできない
のよ!)
・
・
・
マリアの頭の中を走馬灯のように、昔の記憶
が蘇る。
この星のタイムスケールで、7億年~8億年
程の大昔、この銀河から約1億光年ほど離れた
銀河群に、エデンと呼ばれた銀河文明が
存在したらしい。
カルダシェフ・スケールでタイプⅢ
文明をも、遥かに超える規模のエネルギー
制御を実現していて、デイタリウス殿下とも
繋がりを持って、啓示を受けていた文明でも
あったと聞く。
神聖科学という技術を用いて、星間を移動
できるプラネットゲートを発明した。
半径1億光年の範囲の、多くの銀河内の
惑星に、生物の進化を促す多種多様な
DNAの様な物を散布して、このナイン
ファーナス内で、健全な多種族の繁栄と
高度な科学力の発展を狙っていた。
最終的にはディエスファーナスを
生成できる、高度神聖科学を使う文明の
創出を狙っていたと聞いた。
ディエスファーナス(第拾MCR)
・・・多次元創成第拾炉
エデンはナインファーナスの中でもトップ
クラスの神聖科学力を持ち、四次元をあと
少しで超える事の出来る、宇宙創成の為の
鍵の発見にもう少しで至るところにいた。
そんな平和の中、エデン文明の存在する
銀河内の至る所に、邪悪で巨大な悪魔の
軍団が突如、転移して来た。
そのトラデスの数は、1億体とも10億体
とも伝承されている。
その銀河内のエデン文明を有する惑星は、
反撃する間もなく、高度で高威力な攻撃に
さらされ、ひとつ、またひとつと消えて
いった。
デイタリウス殿下やセイントが駆けつけた
時には既に、雌雄は決しており、エデン
文明は多くの惑星ごと、葬り去られた
と聞いた。
殆どのトラデスの部隊が引き上げていった
後、エデン文明発祥の惑星、ガルエデンは
まだ存在した。
惑星は特殊なシールドで護られ、トラデス
でさえ、見つけることが出来なかったのだ。
ただこのガルエデンを照らす太陽の、
プラネットサンが、トラデスの多弾頭攻撃
により、終盤を迎えていた。
プラネットサンは核融合タイプの恒星で
目に見えて徐々に大きく膨らんできていた。
デイタリウスだけが、ガルエデンの存在を
しっていて、惑星上の生体反応を探す。
実はこの惑星はその昔デイタリウスが
護る為、特殊シールドを設けたのだった。
惑星ガルエンデの首都にある王の城の中に、
いくつかの生命反応が見受けられた。
デイタリウスは王の城に直接向かった。
惑星シールドのお陰で惑星上は適温が
護られているが、あと6時間ほどで、
この星は恒星プラネットサンに飲み
込まれる。
◇◇◇
有難うございました。
続きが読みたい。いい感じ。興味ある。仕方ないな。
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