第四十七章 ---神聖科学--- (2)
(ヨーコ・L・ミナミ DHS本部呼出)
2221年04月15日(日)AM11:00
ワシントンDCとは約13時間の時差があり、
前日の土曜日の夜 PM10:30が現在の
DCの時間だ。
国家安全保障会議ではミナミからの
報告のあと、アケミ・ワトソンが彼女に
かみつき、宇宙軍国防次官のクリス・
ワーナーが仲裁する形となった。
ミナミは続ける・・・
「・・・エリア51・・・都市伝説では
無かったのですか?」
クリス・ワーナーはクスッと笑い、
「貴女は、楽しい人だ・・ライトハンド、
もっと怖い女性を想像していました。」
ミナミは目が点になる。
「・・・・・・・・」
クリスは続ける・・・
「貴女の言う通り、EVEは300年位、
前から科学的にその存在が証明されて
いましたが、確実な証拠はありません
でした・・・
今回のジパングで発見された転送陣は、
彫り込まれている図形もはっきり読めて、
考古学者は古代エノク文字と幾つかの
象形文字に近い文字が見てとれると・・」
マーシャル国防長官が咳をして入る・・・
「ワーナー国防次官、少し待て・・・・」
クリスは一瞬、喋りを止めて真面目な顔で、
「長官、申し訳ありません。【エリア51】
というパワーワードを、久し振りに聞いた
もので・・・脱線 致しました。」
クリスは又、笑顔に戻って、
「ミナミさん、取り敢えず優先事項ですが、
ジパングのゴルフ倶楽部で回収したキメラ
は、宇宙人ではありませんでした。
そのDNAから、全て地球上の生物内に
存在する組織から構成されている事が
判りました。
地下にあった研究施設は、キメラに
関する施設であった事に、間違いは
ありません。」
クリスは又、少し真面目な顔に戻って、
「そして・・・我々の持つ科学を凌駕する
組織の存在が、明らかになりました。
その根は私たち、軍部や官僚、政府組織
にまで入り込んでいるようです。
貴女はDHS(国土安全保障省)の特殊
部隊員である事はそのままに、今回、
国防長官特命次官を拝命して頂きます。」
ミナミはクリスの言う言葉に、追い付いて
行けて無かった。
勿論、英語は母国語の一つでネイティブでは
あるのだが、話の展開が・・・
ミナミは焦って、
「何です、その特命何とかって、刑事みたい
な事をするのですか?・・・」
何とトンチンカンな受け答えを・・ミナミは
顔が赤く火照るのを自覚した。
(穴が有れば入りたい・・・・)
マーシャル国防長官が話し始める・・・
「ミナミ君、君の給金や年金のアップは、
当然として、君は、ユニタリカにとって、
9人目の次官となる。
今回、軍部主導という事もあって、拝命式
などは行わない。
ただ、明日のワシントンポストなどで、
大々的に、お披露目とはなる。
君は、今後、私もいるが、この会議の
議長もやってもらう。
ただ、ヘキサゴンの3省に関しては、
私がそのままやらせてもらう。
その上で、DHS(国土安全保障省)の
内務次官が君のポストになる訳だ。
大統領のサインのある辞令証書だ。
これが感謝状だ。
月曜日、ヘキサゴンで受け取りたまえ。」
具体的に、実質DHSのトップという事だ。
私がボーっと動かない中で、ディスプレイに
大きく辞令証書が映し出される。
続けて国防長官が話す
「アケミ、NSA(国家安全保障局)の
局長の件、どうなった?」
アケミ・ワトソンがつんけん話し出す。
(アケミ ワトソン)
「彼は汚職などが発覚して、2日前に行方
不明となってから、まだ発見には至って
おりません。
家を出てからの足取りを、FBIがまだ
追いかけ続けています。
FBIに進捗を確認します・・・」
アケミはNSA長官、ロック・ヘドバン、
あの、いやらしい目つきが大嫌いだったのだ。
また、ミナミに対しても一気に役職を飛び
越された、妬みめいたものも存在した。
国防長官から今日、それを聞かされた
ばかりで、気持ちの整理もつかないでいる。
ミナミに対して必要以上に突っかかったのも、
そのせいだったのかもしれない。
アケミ・ワトソン、ジパング3世で
ワシントンDCでは、家族で差別を受け
続けた過去がある。
彼女は苦労人で、ジョージアユニバーシティ
をグラントやスカラーシップ等の奨学金を
得て、バイトを掛け持ちながらも主席で
卒業を果たした。
黒髪をグレイに染め、165㎝の小柄の身長
の割に、ミニグラマーと言われ、大学時代
は人気もあって、容姿に少しの自身もあった。
(アケミ バイト時代)
DCにあるバイト先のレストランで、軍の
将校たちと仲良くなり、大学卒業に合わせ、
彼のいるペンタゴンに入省した。
それから彼氏とも別れ約8年、国防長官付
となり、今や直轄組織の長である。
普通にエリートコースと言えど、考えられない
程のスピード昇進であった。
現在では、自分だけが、マーシャル国防長官の
お気に入りだと、思っていたのだ。
ミナミのような人間は、映画スターみたい
な外見だし、蝶よ、花よ、と持て囃され、
何不自由なく育ったんだろうと思っていた。
そんな中・・・
ミナミは恥ずかし気に、誰にともなく聞く・・・
「あの、私はこれからどこに行けば、
よろしいのでしょうか・・・」
クリスが笑顔で、
「今ごろ、ジパングのあの現場に、大型の
最新スーパー量子コンピューターを
運ぶヘリが到着していると思います。
この後、ミナミさんは、上の方の階の
指令センターから、現場の指揮をお願い
します。」
少し経って、閉会して、3D映像の
出席者は全員が消えて、自分一人だけが
そこに居た事を思い出した。
◇◇◇
ミナミの出向いた指令センターは
そのDHS本部ビルの7階にあった。
災害対策室や疾病対策センターの指令室と
大差ない。
本部職員2名がフロアの大型端末に
分かれて座る。
土曜でも普通に交代で職員は出勤している。
ミナミは手前の5段ほどの階段の高さの
所長席に座って、このビルの電子頭脳、
AI情報端末に繋がるヘッドセットを被る。
前から見ると、フルフェイスに見えるが、
後ろ姿は頭だけのヘルメットに見える。
ミナミの付けるゴーグルの視野が、ジパング
のCSI(科学捜査班)古都チームリーダーの
ワイアット・ダンカンの被るゴーグルの
視野に共有された。
ダンカンは、ゴルフ倶楽部の地下2階の、
足元にコンクリートの瓦礫の散らばる、
エリアを抜け、瓦礫の片づけられたエリア
に存在する、空洞の高さ2.5m、横幅も
2.5m程の厚さ1mの見た目、石で出来た
正方形の囲い門の傍まで来た。
天井や壁に必要以上のスポットライトが
付いていて、ここだけは昼間の様に明るい。
石の囲い門は両方から2ヶ所づつ、
金属の棒で支えられ、動かない様に設営が
されている。
「DHSのミナミ。視野を共有した。」
ダンカンは畏まって、
「ミナミ先輩、通信状況クリア、こちら
の視野に問題ありません。オバー」
ダンカンの後ろから、端末や付随する機械
を持った白衣の者が5人、最後尾には
例によってアサルトを持ち、少し左足を
引きずる斎藤の姿があった。
ミナミは頭の下がる思いで、あの事件の後、
まだ義足の修理に行けてないんだ、と思う。
石の門の横の長いテーブルの上に、白衣の
男女が持って来た数々の機器が並べられて
いく。
外の大型スーパ量子コンピューターと、
繋げて、この石の門に接続して反応を
見るのだ。
◇◇◇
これには、遡る事、5年前・・・・
ユニタリカ国内のブラックロック砂漠の
地下約1000mに遺跡が見つかり、
崩れた建物の中に、倒れた状態の、
石の門が見つかり、通常より多い放射能も
検出された。
ガイガーカウンターや放射能半減測定器
など遺跡の年代が細かく識別できる事で
量子コンピューターも入れて、調査が
行われた。
その際に、量子コンピューターに自動的
に幾つかの情報が入力されていた事が
後になって判明した。
それは、銀河系を細分化して、まるで
住所の様に、何区、何番、何号と座標が
刻まれており、銀河の回転速度も踏まえ、
それに素数を絡めた完璧な3次元関数
位置座標だった。
それ以上に情報はあるようだが、石の門
の方が壊れていて、機能してしていない
ようだとの報告であった。
◇◇◇
5人の白衣の男女は、無駄のない動きで
てきぱきと配線を繋いで行く。
皆の手が止まった。
一人の白衣の男がダンカンの元に報告に
やって来た。
「・・・準備できました・・・。」
ミナミはその様子を、AIの説明を受け
ながら見ていた。
ダンカンは焦って、直ぐに言い出した
「接続ぅ~・・・・・」
ミナミは
(待て!ダンカン、バカヤロー!
先に石門の変化などを調べるべき
だろー!)
皆に聞こえない様に内線で注意する。
「ミナミ先輩、すみませんでした!
皆、石柱周りや配線も、もう一度
調べて下さい!」
5人は、ばらばらと立ち上がり、端末の
接続部分や、石の門にカウンターを
近づけて最終チェックを行う。
「問題、ありません。」
「問題、ありましぇん。」
「問題ないです。」
次々に声が上がる。
「ミナミ先輩、大丈夫です。」
「良し、ダンカン接続せよ!」
ダンカンは一呼吸おいて、
「良し!コンピューター接続!!!」
「接続します!」
白衣の男性2人が太い腕程のコードを
両方から支え、机に置かれたデスク
トップの端末に差し込む。
刹那、四角い石門、全体から光がスパーク
して、全員が跳ね飛ばされた。
衝撃でコードが外れ、光は直ぐに収まる。
ミナミは仰向けで天井の視野角しか
とれないダンカンに向け、呼びかける。
「ダンカン、何があった、大丈夫か、
ダンカン!」
同時にDHS本部の頭脳、AIが
緊急停止した。
有難うございました。
続きが読みたい。いい感じ。興味ある。仕方ないな。
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